会員登録

138号 AUTUMN 目次を見る

DOC-5発売30周年記念特別インタビュー

世代を超えて選ばれ続けるDOC-5

前田 憲昭

PDFダウンロード

■目次

前田 憲昭前田 憲昭先生
モリタが歯科医院総合管理システム「DOC-5」を発売以来、今年で30年。デジタルネットワークの進化とともに、業務の効率化から患者さんとのコミュニケーションまでをトータルにサポート、本誌上でも発売当初から「使っています」コーナーを設け、ユーザーの先生方を紹介してまいりました。今回はその第1号でご登場いただいた医療法人社団皓歯会 前田 勝先生の後を継ぐ前田憲昭先生にDOC-5をめぐるお話を伺いました。

前田先生にはお父様の時代に試作品のモニターもお願いするなど、DOC-5との縁は深いと思いますが、当時のエピソードをお教えください。

「晧歯会」は、これからの若い人たちを育てていくために、父を含めた3人の歯科医師が自分の診療所とは別法人をつくったのが始まりですが、その教育システムの中心が、Dr.ビーチが提唱し、モリタが具現化した「スペースラインコンセプト」でした。モリタは当時から「すべてのテクノロジーは“人”中心であるべき」というコンセプトを掲げ、その考え方にマッチした診療環境を実現するための器材や設備を開発していました。私たち晧歯会のメンバーは、Dr.ビーチの“普遍的な考え方”とモリタの“ものづくりの姿勢”にいたく感動して、忠実に実践すべく、チェア・ユニットはもちろん、専用キャビネットやインスツルメントを導入し、そのコンセプトの普及活動を始めました。それがモリタにお世話になるきっかけでした。その後、モリタ大阪本社が現所在地への移転に合わせて社内に診療スペースをつくる際、当時の森田福男社長に声をかけていただき、以降嘱託医として週一回社員の皆さんの検診を現在まで続けています。

そういった関係から、お父様(勝先生)にはDOC-5の開発にご協力いただけたのでしょうか。

そうだと思います。モリタといえばチェア・ユニットなど大型器材のイメージが強いですが、歯科用コンピュータの開発も早くから手がけていました。当時他にも数社が販売していたはずですが、歯科メーカーとして本格的にオフコンを始めたのはモリタが最初だと思います。そういう意味からも“産みの苦しみ”というか、試行錯誤はある程度必要だったのでしょう。 私はその時期兵庫医科大学に勤務していて、DOC-5導入に至るエピソードは詳しく知りませんが、販売前のテストは大変だったようですね。1981年8月のお盆休みに納入したものの、バグが多くてまともに動かず、何とか動いても動作が遅くて、患者一人分の入力に30分もかかっていたこともあるとか・・・。モリタの人も開発会社の方と一緒に診療所に寝泊まりしながら復旧に懸命で、父が朝出勤すると、常に何人かが交代で作業や仮眠しているような状態が続いていたと聞いています。

そこまで前田先生が開発にご協力くださった背景とはなんでしょうか。

チェアサイドで診療の合間を使ってスピーディにカルテ入力。キャビネットは医院のイメージに合わせて別注。チェアサイドで診療の合間を使ってスピーディにカルテ入力。
キャビネットは医院のイメージに合わせて別注。
その当時は「いずれコンピュータが人にできないことをこなしてくれる日がくるだろう」という予感はみんなが持っていた時代でしたから「いつかこういう時代が来る、いつか役に立つだろう」と思って取り組んでいたようです。そうは言っても医療というのは、それこそ症状に応じていろんなケースがありますから簡単にマニュアル化できない分野です。だから「ホントにそんなことができるようになるの?」と半信半疑の部分もありました。ただ皓歯会はそういった新しい技術を率先して取り入れてチャレンジしていこうという空気というか気概を持った場所だったんだと思うんです。幸いモリタという心強いパートナーもありましたし(笑)。もし個人でやっていたらここまで開発に協力できたかは正直わかりません。ただここでは父をはじめ、三人が知恵を出し合ってやっていましたから、新しいものに対して取り組みやすかったんでしょうね。

以降、モデルチェンジごとに導入、ご愛用いただいていますが、思い出に残るモデルチェンジはどの機種の時でしたか?

前田 憲昭
1999年に初めてのパソコンモデル“DOC-5win”を導入し、レセプトコンピュータからカルテコンピュータに変わった時が一番ですね。以前は手書きのカルテを受付に渡して、受付でレセプト作成や会計のためにカルテ内容を入力していましたが、D O C - 5 w i n 導入を機に、各診療台まで院内LANシステムを引いて子機を設置、ドクターがコンピュータでカルテを入力するようになりました。入力と会計に二人必要だった受付スタッフが、この時期から一人でOKになったんです。その時はチェアサイド入力用の子機をどこに何台設置するかで、当時のモリタ担当者と打ち合わせを繰り返したのが思い出されます。カルテコンピュータのシステムの導入に際して、スタッフの使い方や日々の診療スタイルを観察してもらい、提案してもらったのが今の環境。最終的には別注のキャビネットを作ってもらいました。現在も大事に愛用しています。

私はやはりモリタが持つトータルのシステム力を高く評価しています。

DOC-5の使い心地はいかがですか?

患者さんが来院されて、診療から支払い、領収書発行から、次回のアポイントまでを一括管理。業務の効率化によって患者さんにもたらすメリットは計り知れない。患者さんが来院されて、診療から支払い、領収書発行から、次回のアポイントまでを一括管理。業務の効率化によって患者さんにもたらすメリットは計り知れない。
私を含めスタッフはDOC-5以外使ったことがなく、他との比較はできません。ただ、慣れてしまえばすごく使いやすい。治療後や治療の最中でも時間が空いたらどんどん入力していきます。チェアサイドで入力したデータをタイムラグなく受付で処理しますので、治療後の患者さんの待ち時間も減少しています。診療以外の面では、特に新しい機能ではありませんが、とても重宝なのが「処置頻度表」。例えば根管治療について新しい機器の導入を検討する場合、うちの診療所での年間あるいは1ヵ月の根管治療の実施回数を調べます。そうすると、導入すべき台数も必然的に分かりますし、どのくらい備品が必要かも割り出せます。また、統計から患者さんの年齢層や地区、処置回数なども把握できるので、自分の診療所の強みや、将来の舵取りについて考えることもありますよ。

トラブルや疑問点・不明点などが発生した場合、どのように対処しておられますか?

入力トラブルはほとんどないんですが、受付ではアップデートに時間がかかるとか、起動しないことは数回ありました。そんな時はすぐモリタの担当者かサポートセンターに連絡して来てもらったり、電話でのフォローで解決しています。なんといってもモリタは院内ネットワークをすべて独自に開発していますから、何かあってもまったく心配していません。この安心感は大きいですよ。コンピュータやソフトは日進月歩ですが、モリタの手厚いサポートは30年間変わらないすばらしいメリットだと感じています。コンピュータの導入だけを考えるなら、多くのメーカーそれぞれにメリットもあるでしょうが、私はモリタが持つ“トータルのシステム力”を高く評価していますから、これからも迷うことはありません。モリタも私のような存在がいることで、さらに上を目指して精進してくれると信じています。

今後、DOC-5そしてモリタに求めることとはどんなことでしょうか?

現時点ではまだ処置内容を記録していくだけですが、将来的には記録に基づいて治療の筋立てまで入っていければ…。「せっかくの情報を何に使うか」ということですよね。確かにトリニティコアでは、はじめに口腔内の状態を入力すれば治療計画を立てられますが、この部分が電子カルテとしてDOC-5に細かく反映・連携・蓄積できるようになればさらにいいと思います。モリタならできるのではないでしょうか。他社で“診療のコンセプト”まで持っているところは少ないでしょう?モリタに期待しているのは、他社がやらない、できない、「コンセプトに基づく診療の流れ」を作ってほしいということ。それができれば、患者さんも歯科医院を信頼し、安心して診てもらえる。それが結果的に、歯科医院、歯科産業にとってもプラスになるのではないでしょうか。

前田憲昭 先生

前田憲昭

PROFILE

1947年生まれ

1972年
大阪大学歯学部卒 口腔外科学第一講座入局
1977年
大阪大学大学院修了 歯学博士
1979年
大阪大学助手
1981年
兵庫医科大学助教授 歯科口腔外科学教室
1994年
医療法人社団皓歯会 理事長 現在に至る

※トリニティ・コアは患者プレゼンテーションソフト 詳しくはこちら

DOC-5の歩みオフコンと呼ばれた時代からパソコンへ

  • 30年前に本誌で紹介した「使っています MyDOC-5」
  • DOC-5 初代モデル
    DOC-5 初代モデル ●本体はオフィスデスク型で、シート自動めくり式タッチパネルで入力 ●メインメモリは320KB(キロバイト)、ハードディスクは20MB(メガバイト) ●8インチ(約18cm)フロッピーディスク、24ドット日本語プリンタを装備
  • DOC-5 PLASMA
    DOC-5 PLASMA ●治療の進行に合せてページが変わるオレンジ色の電子タッチパネル ●ディスプレイは、カラーCRT(ブラウン管)かモノクロ液晶が選択可能 ●オプションで磁気カード診察券や領収証専用プリンタもラインナップ
  • DOC-5 win
    DOC-5 win ●初めてWindowsパソコンに搭載し、マウスまたは画面ペンタッチで入力 ●デジタルX線画像処理システム「Digora for Windows」とも連携が可能 ●レーザープリンタを標準装備し、レセプトはフォームオーバーレイ印刷
  • DOC-5 PROCYON
    DOC-5 PROCYON ●「i-VIEW」や「Trinity Core」と連携し院内ネットワークシステム「D・O・O・R」を形成 ●電子レセプト対応で、「Chirpy」や「SOAP」対応カルテ等の多彩なオプション ●メモリ2GBは初代の6.5万倍、ハードディスク160GB×2は初代の16万倍
  • 情報公開時代へ対応する診療スタイルは、「SOAP」記録方式のカルテから。カルテを MORITA SOAPstyleへ!

他の記事を探す

モリタ友の会

セミナー情報

セミナー検索はこちら

会員登録した方のみ、
限定コンテンツ・サービスが無料で利用可能

  • digitalDO internet ONLINE CATALOG
  • Dental Life Design
  • One To One Club
  • pd style

オンラインカタログでの製品の価格チェックやすべての記事の閲覧、臨床や経営に役立つメールマガジンを受け取ることができます。

商品のモニター参加や、新製品・優良品のご提供、セミナー優待割引のある、もっとお得な有料会員サービスもあります。