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マニーステンレスバー「歯周外科用根面バー」の紹介

株式会社モリタ 商品企画戦略室 森 和男

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目 次

はじめに

この度、ステンレス素材を使用した根面処置用バー「歯周外科用根面バー」(マニー株式会社)が発売になります(図1)。
従来、研削用バー類には主にスチール素材が使われていましたが、2008年8月に切削部位にステンレス鋼を使用した「MIステンレスバー」(マニー株式会社)が発売されました(図2)。MI(Minimal Intervention)の観点から、う蝕感染象牙質の除去時、できるだけ健全歯質を残すことを目的にう蝕除去にステンレスが応用されたもので、その後、ステンレスバーが臨床の現場で使われるようになりました。
これは、MI治療の考え方が普及するに従い、感染象牙質を完全に除去するという考え方から、できるだけ健全象牙質を残そうとする考えに変化してきたことによるものです。歯の保存修復のために、感染象牙質を除去し、健全歯質を残すことには変わりはありませんが、治療の主体が健全象牙質をできるだけ残すことにシフトしたことになります。
使用されるバーが除去効率の高い素材から、健全象牙質に侵襲が少なく、歯質を少しでも残せるバーとしてステンレス素材が採用されたのです。
従来から使用されているスチール素材は焼き入れをすることで、ビッカース硬さが750~800(Hv)になっていますが、ステンレスバーの硬さは550~600(Hv)であり、スチールバーと比較すると、素材自身が軟らかいことがわかります。

「歯周外科用根面バー」について

今回、ご紹介する「歯周外科用根面バー」は、「MIステンレスバー」と同様のステンレス素材を採用した、歯周外科を目的にした根面処置用バーです。従来から、歯肉縁下スケーリングやルートプレーニングには、キュレット(特にグレーシーキュレット)が使用されています(図3)。
歯肉縁下ポケット内の根面を処置する場合、明視野で施術を行うことが難しく、根面のスケーリング、ルートプレーニングに使用するグレーシーキュレットは基本的には根面に当る側にエッジ(刃)が付いており、歯石などを取り除く時に、刃を起こし(図4)、除去操作を行います。また、直視できない部位の操作になるために、根面に付着した歯石等の存在をシャンクの弾性により感知をし、除去していくことが基本的な使用方法となっています。
「歯周外科用根面バー」は歯肉剥離掻爬手術(FOP)を行う時の根面滑沢、歯石や不良肉芽の除去などの根面処理に使用する目的で開発されました。
根面滑沢は歯肉の再付着を促すために、バイオフィルム、歯石、壊死したセメント質、セメント質に入り込んだエンドトキシンを除去する施術ですが、歯肉剥離掻爬手術時には、基本的には歯肉弁を開き、明視野での処置となります。
歯肉弁を開いた明視野での根面滑沢を行う場合であれば、敢てキュレットの特性を活かす必要もありません。そこで、今回、開発された「歯周外科用根面バー」は、歯科医師の先生方が日々使用されているエンジン用のバーの形態として製作いたしました。バーについては、日常の歯科治療で歯科医師の先生方が使用に慣れておられるということ、回転バーによる除去効率が高いということで、処置の時間を短縮することができます(図5)。
また、バーの素材として、ステンレス鋼材を使用していますので、根面にやさしい処置が可能となります。

「歯周外科用根面バー」の特長

「歯周外科用根面バー」には、次のような特長があります。

  • ①回転バーのため、手術時間が短縮される。
  • ②マイクロエンジン使用により、根面や骨面の感触が得られやすい。
  • ③刃の数をできるだけ多くしたために、根面に食い込みにくい(図5)。
  • ④ヘッドの形状を4種類準備し、根面の複雑な形状など、使用目的に応じて、選択が可能(図5)。
  • ⑤全長32mmとシャンクが長く、骨縁下ポケット内の根面に、当該歯の歯冠に邪魔されずにアクセスが可能(図6
  • ⑥素材にステンレスを使用しているので、根面にはやさしく、錆びにくい(図7)。

  • 歯周外科用根面バー アソート(ASS)の写真
    図1 歯周外科用根面バー アソート(ASS)
  • MIステンレスバー 28mm アソート(ASS)の写真
    図2 MIステンレスバー 28mm アソート(ASS)
  • ヒューフレディ社 グレーシーキュレット オリジナル 5/6の写真
    図3 ヒューフレディ社 グレーシーキュレット オリジナル 5/6
  • 顎顔面形態とAHI 改善率との関連(Stepwise regression analysis)の写真
    図4 グレーシーキュレットのエッジの断面、根面に当っている図
  • 歯周外科用根面バーの種類と仕様、主な使用部位と目的の図
    図5 歯周外科用根面バーの種類と仕様、主な使用部位と目的
  • コントラヘッドに入った歯周外科用根面バー(左)とスチールバー22mm(右)の比較の写真
    図6 コントラヘッドに入った歯周外科用根面バー(左)とスチールバー22mm(右)の比較
  • 歯周外科用根面バー(左)とスチールバー(右)水に浸漬してもステンレスバーは錆びにくい(水道水に24時間浸漬後)写真
    図7 歯周外科用根面バー(左)とスチールバー(右)水に浸漬してもステンレスバーは錆びにくい(水道水に24時間浸漬後)

最後に

歯肉剥離掻爬手術(FOP)は、歯肉剥離し、開放創のままの処置となりますので、できるだけ早く処置を終わった方が良いと思われます。根面滑沢には、一般的なスケーラーやキュレットではどうしても時間が必要となります。今回、ご紹介しました「歯周外科用根面バー」は、日々使い慣れておられるマイクロエンジンで使用できますので、歯科医師の先生方にとっては早く、確実に処置ができる器具であると考えます。また、ステンレス素材で刃は密に枚数を多く設計されていますので、根面にやさしく、侵襲をできるだけ抑えた処置が可能になります。
日々、お使いの一般的な歯周外科器具に「歯周外科用根面バー」を加えていただければ幸いです。

謝辞

「歯周外科用根面バー」のご提案から、開発、評価などのご指導をいただきました九州歯科大学名誉教授の横田誠先生には、誌面を借りまして、心より御礼を申し上げます。 また、製造にご助力下さいましたマニー株式会社デンタル部デンタル営業課・篠崎彰廣様にも御礼を申し上げます。

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