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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Dental Talk
日常臨床がダイナミックに変わる!!歯科用マイクロスコープの進化
代官山アドレス歯科クリニック 大河 雅之 / 澤田デンタルオフィス 澤田 則宏

■目次

  • 代官山アドレス歯科クリニック 大河雅之 先生
    大河雅之 先生代官山アドレス歯科クリニック
  • 澤田デンタルオフィス 澤田則宏 先生
    澤田則宏 先生澤田デンタルオフィス

“ガツーン!!”と頭を殴られたような衝撃
歯科用マイクロスコープとの出会い

澤田 私がマイクロスコープに出会ったのは、1994年頃に東京医科歯科大学で井澤常泰先生に教えていただいたのが最初です。井澤先生から突然「これ(マイクロスコープ)を見ながら診療してみなさい」って言われて、何のトレーニングもせずいきなり使いました。そのときマイクロスコープを覗いたときのインパクトはものスゴイものがありました。今まで肉眼だけで見ていたのが、いきなり“バーン!”と全てがクリアに見えましたから、それこそ、“ガツーン!!”と頭を殴られたような衝撃でした。

大河 私の場合は1998年にロサンゼルスで行われたSJCD(Society of Japan Clinical Dentistry)のサマーセミナーが初めての出会いです。セミナーでは「マイクロサージェリー」をテーマに、デニス・シャネリック先生、そのほかにデビッド・ガーバー先生(審美)、そしてウィリアム・アーネット先生(矯正)の3人をお呼びしたんです。それまでマイクロスコープを使った根管治療について話には聞いていましたが、実際には見るのは初めてで、シャネリック先生の講演を見てとても驚いたことを覚えています。さっそく私も実際に体験してみたのですが、初めて自分の目でマイクロスコープを覗いてみて「天然歯ってこんなにキレイなんだ、こんなキレイなものをあんまり削っちゃ暴力だな」と素直に感じたんですね。それが最初の出会いです。

今からマイクロを覗いていないと、後からあわてて導入しても間に合わない!?

澤田 一般の先生方の場合、根管治療は保険診療でされておられると思いますが、そこで採算を合わせるのは正直言って難しいと思います。そこで、私はいつも先生方に「マイクロスコープを使ってご自分が百点満点を付けられる根管治療を行ってください」というお話をさせていただいています。そうすることで、自信を持って患者さんに自費の補綴物を勧められるからです。治療内容に自信がないと「(また再発するかもしれないし、)上は保険で被せておきましょうか」という話になってしまいがちです。ですので、マイクロスコープでパーフェクトなエンド処置を行って、採算は自費の補綴物でとるようにすればどうか、と私は考えているのです。残念ながら混合診療の問題がありますので、エンドを自費で、とまでは言えませんが…。

大河 私は常々、修復治療とは “精密で手間のかかるもの”と考えていますから、時間のかけ方として、保険だとやっぱりペイしない状況です。自分がやりたいと思う治療や、患者さんにプラスになる治療をしようと思えば、やはりそれなりの時間とコストを投資しなければなりませんから、その結果どうしても費用はかかってしまいます。ですから、マイクロスコープを保険で使う先生もいらっしゃるとは思いますが、そこは切り離してお考えいただいて…、将来の来るべき時代に備えるといったイメージで捉えていただくのはいかがでしょうか。
例えば、先進国の中で、自分が質の良い医療を提供しようと思った場合、日本の保険診療と違った“世界のグローバルスタンダード”というものが存在するわけですから、私たちは常にそれを学んでいくことで、次の時代のために腕を鍛えておく必要があると思います。そう考えて、今からマイクロスコープを覗いていないと、そのときになってあわてて導入されても遅いかもしれません。

  •  21 12 のラミネートベニア修復後、3年経過時の正面観。形成はすべて縁上マージンとしている。
    21 12 のラミネートベニア修復後、3年経過時の正面観。形成はすべて縁上マージンとしている。
  • 同左、縁上マージン3年経過後のライカM320 マイクロスコープからの取り込み画像。マージン部の変色やギャップは認められない。
    同左、縁上マージン3年経過後のライカM320 マイクロスコープからの取り込み画像。マージン部の変色やギャップは認められない。
(写真提供:大河雅之先生)
  • マイクロスコープを使えば、低倍率でも近心頰側第二根管が存在する可能性を感じ取ることができる。
    マイクロスコープを使えば、低倍率でも近心頰側第二根管が存在する可能性を感じ取ることができる。
  • さらに高倍率でマイクロスコープを使うことにより、第二根管の存在を確認できた。
    さらに高倍率でマイクロスコープを使うことにより、第二根管の存在を確認できた。
(写真提供:澤田則宏先生)

「習うより慣れろ」 マイクロスコープのトレーニング法

澤田 次にマイクロスコープのトレーニング方法ですが、これはまず慣れていただくしかありません。私は今では、朝から晩までそれこそ8時間ずっと覗いていますが、見学に来られた先生がいきなり私と同じようにというのは難しいと思います。ですので、いつも先生方には、「ご自身の診療では、まず午前中15分、午後15分から始めましょう」とお話しています。そして1ヵ月後にはそれを30分に延ばしていく。そういった段階を追わないと、ご自分の臨床スタイルがすでに確立されている先生は特に導入しづらいと思います。今振り返ってみれば、私もその過程を経て今に至っているといった感じです。
サージェリーの場合も同じで、留学当時、私のボスであるキム教授は「切開と縫合は肉眼でするように」と常々おっしゃっていましたので、私もマイクロスコープを使うのはフラップを開けてから、そして縫合は肉眼でしていました。でも、今では切開から縫合まで全てマイクロスコープ下で処置しています。そういったステップアップの行程は必要だと感じています。

大河 確かにそうですね。私の場合、最初はルーペを多用していました。しかし現在の流れでいくと、MIの視点から“より精密な治療”を行うことがベースになっていて、特にヨーロッパの審美学会等ではそういうテーマがメインになっています。
また、できるだけエナメル質を保存して、その歯自体が持っているストラクチャーを重要視するという考え方が主流になってくると、歯肉縁上での間接法マージンがポイントになってきます。以前であれば、例えばポーセレンベニアの場合、施術直後はいいけれど、何年か経過すると辺縁の漏洩や、チップ等が起こって変色することが頻繁にありましたが、私はその当時から、長期的な予後のとれる審美修復にこだわって精密な治療をやりたいと常々考えていました。そうなってくると、2~4倍のルーペではやはり限界があって、マイクロスコープでなければ治療にならないのです。
以前は形成や印象の確認、仮着材の除去といったポイントを絞って使っていましたが、今では澤田先生と同じで、かなり使い慣れてきましたので“最初から最後まで使うのが当たり前”というふうになってきていますね。
あと若くて体力がある時は、多少無理な姿勢で診療を続けても疲れを持ち越すことはなかったのですが、最近では目や腰に疲れが残ることがあります。そうすると、今後長く診療を続けていきたいと考えたときに、正しい姿勢、疲れにくいポジションというものが重要になってきます。ヨーロッパでは歯科エルゴノミクス学会をはじめ、人間工学を専門で研究する学会もあるほどです。
そこで実際にマイクロスコープを導入している医院を見学すると、取り回し等、術者に無理のない診療スタイルについて実にいろんなことを考えながら診療されているのを目の当たりにします。そういう意味から言っても、マイクロスコープ診療は、今まさに時代のトレンドと言えるのではないでしょうか。

「HD動画撮影と記録装置を内蔵、あとはモニターに繋ぐだけ。とても画期的です。」
澤田デンタルオフィス 澤田則宏 先生

デビューから2年 「ライカM320」の評価について

澤田 最後に、発売から2年を経過した「ライカM320」の評価についてですが、私はとても良い機種だと思います。もちろんライカですからレンズは申し分ないですし、私の専門である歯内治療でも根管内はとても明るく鮮明に見えますので、非常に重宝しています。さらに、非常にコンパクトになっていて、取り回しも楽です。
そして特に素晴しいのは、そこに録画機能が入ったことです。私はこの機能をとても魅力的に感じています。最近では他のメーカーもカメラを内蔵した機種を販売しているようですが、録画システムが別途で必要となると、私たち開業医にとってはけっこう大変です。
それが「ライカM320」だとすべて標準で内蔵されていて、あとはモニターに繋ぐだけで映像ができるという、とても画期的な機種だと思います。一般の先生方の場合、設置するスペースも限られてきますので、ユニット周りに置いて、あとはモニターだけあれば、患者さんにその場で見せられます。これは素晴らしいことだと思います。
さらに私の場合、根管治療を行う上でLEDライトは外せない機能なのですが、「ライカM320」だと最大まで明るくしなくても根管内まで鮮明に見ることができます。レンズが悪いとどうしても照度を上げないと暗いところは見えづらくなるのですが、そこはやはりライカ製レンズのクオリティの高さなのでしょう。

「後で“M320を買っておいて良かった”とお感じになると思います。」
代官山アドレス歯科クリニック 大河雅之 先生

大河 ライカはとにかくレンズが良いし、取り込みのシステムも簡単なので、患者さんへの説明用としてはもちろん、例えば先生同士のコミュニケーション等の場合に、また自分のプレゼンテーション用としても便利に使えます。
マイクロスコープは機種によってオプションで買い揃えていくタイプもあってビギナーの先生方はそこで迷って尻込みしてしまうことも多いと聞きますが、「ライカM320」の場合、やはりライカだけあってクオリティは間違いありません。コンパクトなのに色々な機能が付いているので、最初からこれを買っておけば絶対損することはありませんし、後で「M320を買っておいて良かった」とお感じになると思います。
ライカといえば医科の顕微鏡では圧倒的なシェアを持っているメーカーです。それが歯科専用として乗り込んできたわけですから、歯科ではどの程度のクオリティが必要なのか、という部分もかなり入念にリサーチされたんだと思います。
澤田則宏先生と大河雅之先生その結果として、この「ライカM320」が登場したことを考えれば、“なるほど納得”と思うことは多いですよね。さらに、海外で製造するメーカーのクオリティがいくら良くてもそれを輸入販売する代理店の姿勢はさらに重要です。私たち開業医は一日ずっと院内で診療していますから、やはり対応が気になるところです。

澤田 本当にそうですね。

大河 そのレスポンスの部分がディーラーさんによっても違ってきますから…。その中で、モリタとライカのコンビというのは、おそらく皆さんにもかなり受け入れられやすいのではないでしょうか。今後のさらなる展開に期待したいと思います。

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