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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Clinical Hint
ダイアグノデント ペン活用法
木原歯科医院 歯科衛生士 牧江 寿子

私の1日の大半の仕事は治療後のメンテナンスや予防のために来院されるリコール患者さんのケアです。患者さんの平均年齢が高い当医院では、加齢による唾液の分泌量の減少により、根面カリエスに罹患する患者さんが多く来院されます。歯周治療後の露出した歯根面の歯質の管理や、補綴治療後の補綴物のマージン部の歯質の管理にダイアグノデント ペンを利用しています(図1)。
歯頸部のカリエスを進行させてしまうと抜歯に移行する可能性が出てきます。近遠心のカリエスは透過像として早い段階でレントゲンで確認できますが、頰舌側のカリエスがレントゲンで発見されるときにはかなり進行した状態になっています。レントゲンで観察できない初期のカリエスを観察するための道具がダイアグノデント ペンなのです。
ダイアグノデント ペンは患者さんのセルフケアにより再石灰化したことを数値でお知らせすることもできます。再石灰化したかどうかを肉眼で判断はできませんので、数値で示すことで患者さんのセルフケアはさらにモチベーションアップされるわけです。
咬合面カリエスの経過観察でもダイアグノデント ペンは活躍します。怪しい小窩裂溝を見ると探針で刺して確認したくなりますが、それを行うと再石灰化しかけているエナメル質を侵襲しかねません。ダイアグノデント ペンの数値が大きくなり、治療の必要性が生じた時に初めて探針を使いたいものです。
また、ダイアグノデント ペンの数値が安定しないという意見をしばしば耳にしますが、おそらく使用前の歯質の清掃不足が原因していると考えられます。
ダイアグノデント ペンの利用方法ダイアグノデント ペンの作用機序は、歯面及び小窩裂溝のプラークや歯石の粗造面に侵入しているプラークにレーザー光が蛍光反射し数値を検出しています。
私はダイアグノデント ペンを使用する前に歯面清掃器を使い小窩裂溝の深部まで清掃してから使用するようにしています。その場合、ハンディジェットの粉の選択はPMTCを利用しています(図2)。
歯質の廓清を確実に行うと安定した信頼性の高い数値を得ることができます(図37)。
定期検診時、経過観察中の初期カリエスのダイアグノデント ペンの数値が低くなると患者さんはモチベーションアップされますし、患者さんの努力により歯質が石灰化したことを数値でお知らせできるので、かなり説得力があります(図8)。
昨年末に新登場したダイアグノデント ペンのペリオプローブは歯周ポケット内の隠れた根面カリエスや歯根面の状態を音と数値で検出するとのことで半信半疑で使ってみると、SRP前は高い数値(90以上)になり、SRP後は低い数値(20以下)になるので驚きました。
熟練者であれば、ペリオプローブを使用しなくても、探針で根面を触れば歯石を探知することは容易にできます。
しかし、歯根面の凹凸が歯石でない場合もありますので、ペリオプローブはその凹凸の正体を検出するために利用できます(図910)。
SRP時の血液がペリオプローブにどのように影響するかが気になりましたが、SRP後水洗すれば大きな誤差が数値に表れることはないように感じています。歯根面の状態を検出する際は、血液よりもプラークに数値が左右されるので、再評価時の使用はクリーニングをしっかりしてから行うことが大切です(図11)。
カリエスの診断、歯周ポケット内の状態を今までは経験値で判断してきましたが、ダイアグノデント ペンで数値化されることで、より正確なケアを患者さんに提供できるようになりました。

  • ダイアグノデント ペン ペリオ用プローブ
  • ダイアグノデント ペンの数値計測による根面カリエスの経過観察。
    図1 ダイアグノデント ペンの数値計測による根面カリエスの経過観察。
  • ダイアグノデント ペン使用前にハンディジェットのPMTC粉末を使用し、歯面を清掃。
    図2 ダイアグノデント ペン使用前にハンディジェットのPMTC粉末を使用し、歯面を清掃。
  • 萌出途中の 7 はブラシが届かず、プラークに埋もれている。
    図3 萌出途中の 7 はブラシが届かず、プラークに埋もれている。
  • タフトブラシを指導する。
    図4 タフトブラシを指導する。
  • ハンディジェットで清掃後、ダイアグノデントペンで数値計測。
    図5 ハンディジェットで清掃後、ダイアグノデントペンで数値計測。
  • 3ヵ月後、ダイアグノデント ペンで数値計測。数値はアップしたが大幅アップではないのでさらに経過観察。タフトブラシの使用とフッ化物含嗽剤の使用の継続を促す。
    図6 3ヵ月後、ダイアグノデント ペンで数値計測。数値はアップしたが大幅アップではないのでさらに経過観察。タフトブラシの使用とフッ化物含嗽剤の使用の継続を促す。
  • 歯質の強化にフッ化ナトリウム洗口液を使用。高濃度フッ素を院内で定期的に塗布するよりも家庭用低濃度フッ素を毎日継続したほうがムシ歯予防効果は高い。
    図7 歯質の強化にフッ化ナトリウム洗口液を使用。高濃度フッ素を院内で定期的に塗布するよりも家庭用低濃度フッ素を毎日継続したほうがムシ歯予防効果は高い。
  • 定期検診時にダイアグノデント ペン測定値を記入し、経過観察。
    図8 定期検診時にダイアグノデント ペン測定値を記入し、経過観察。 6 467 6 治療済。
  • 6 の遠心歯根面に歯石のような凸面がレントゲンに写っているが、ダイアグノデント ペン ペリオプローブの数値は低いので、エナメルパールまたはセメント質の過剰添加物ではないかと推測した。
    図9 6 の遠心歯根面に歯石のような凸面がレントゲンに写っているが、ダイアグノデント ペン ペリオプローブの数値は低いので、エナメルパールまたはセメント質の過剰添加物ではないかと推測した。
  • 6 抜歯時に確認。レントゲンに写っていた凸面はエナメルパールで数値は8、エナメルパールの下に沈着する歯石の数値は92。
    図10 6 抜歯時に確認。レントゲンに写っていた凸面はエナメルパールで数値は8、エナメルパールの下に沈着する歯石の数値は92。
  • SRP後、ダイアグノデント ペン ペリオプローブで歯根面の状態をチェックする。血液の数値への影響はほとんどない。
    図11 SRP後、ダイアグノデント ペン ペリオプローブで歯根面の状態をチェックする。血液の数値への影響はほとんどない。