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歯周病ケアのための音波式電動歯ブラシ「DENT.EX systema VibratoCare」(ビブラートケア)
ライオン歯科材株式会社 統括部 遠藤 和俊

■目次

■1. はじめに

厚生労働省の平成23年歯科疾患実態調査によれば、何らかの歯周疾患の所見があるものの割合は、35~69歳の年齢層で依然として約80%と高いままになっています。また、4mm以上のポケットがあるものの割合は、30歳以上で20%以上、45歳以上で30%以上、55歳以上で45%以上と、年齢が高くなるにしたがって高い割合を示しています(図1)。過去の調査結果と比較して、4mm以上のポケットを有するものの割合は、若年層では減少傾向にありますが、高年齢層では残存歯数の増加とともに増加傾向です。このような状況を改善していくために、プラークコントロールレベルの改善を目指していく必要があることは言うまでもありません。
電動歯ブラシは、目的部位にしっかり毛先を当てることができれば、簡便にプラークコントロールができるため、手磨きがうまくできない方や、より高いレベルのプラークコントロールを目指す方に活用され、歯周病ケアのためにも、有用なツールの一つとなっています。
しかし、従来の電動歯ブラシでは、

  1. ①振動数の高さが刺激となり、歯肉辺縁部に毛先を当てるのを敬遠しがちで、結果的に、歯肉辺縁部のプラークコントロールがうまくできない。
  2. ②ハンドルが太くて重量感があるため、長く磨くと疲れてしまい、じっくり磨けない。

という患者様の声がありました。このような声に対して、ライオン歯科材株式会社は「DENT.EX systema VibratoCare」(ビブラートケア)(図23)を開発しました。

  • 4mm以上の歯周ポケット保有者割合の推移(厚生労働省、歯科疾患実態調査)注1)平成11年と平成17年以降では、1歯あたりの診査部位が異なる。注2)被調査者のうち対象歯を持たない者も含めた割合を算出。
    図1 4mm以上の歯周ポケット保有者割合の推移(厚生労働省、歯科疾患実態調査)
    注1)平成11年と平成17年以降では、1歯あたりの診査部位が異なる。
    注2)被調査者のうち対象歯を持たない者も含めた割合を算出。
  • DENT.EX systema VibratoCareパッケージ
    図2 DENT.EX systema VibratoCareパッケージ
  • DENT.EX systema VibratoCareと付属の充電器、替えブラシのセット
    図3 DENT.EX systema VibratoCareと付属の充電器、替えブラシのセット

■2. 製品開発 DENT.EX systema VibratoCare(ビブラートケア)

ビブラートケアは、毛先先端0.02mmの「スーパーテーパード毛」とタテ・ヨコの「マルチアクション音波振動」によって、歯周ポケットに毛先が優しく届いてプラークを除去する「歯周病ケア」のための音波式電動歯ブラシです。また、軽量・スリムなボディで持ちやすいことも大きな特長となっています。

1)スーパーテーパード毛(ST毛)

DENT.EX systema歯ブラシに採用され広くご推奨頂いているST毛が、音波振動との組み合わせにより、歯と歯肉の境目をやさしく、かつ、しっかり清掃します。有限要素法によるコンピュータ解析でも、ST毛は、従来のテーパー毛と比較して、ポケット侵入時の歯肉ストレスが軽減されることが示されています(図4)。

2)軽量スリムハンドル

ビブラートケアは、複雑なギア構造を持たず、偏芯おもりをヘッド部分により近いところで回転させたときの機械共振という現象を利用して、ヘッド部を直接振動させることで軽量スリム化に成功しています(図5)。そのため、重さ約62gと食パン1枚(8枚切り)やポテトチップス1袋並の軽量さです。これは、主要な歯科向け音波式電動歯ブラシの約半分の重さで、ハンドル太さも1/2~2/3程度となっています。そのため、じっくり磨いても疲れにくく持ちやすくなっています。

3)独自の「マルチアクション音波振動」

電動歯ブラシの植毛部の動きは、一般的には、手磨きのような前後運動やヘッドの首振り運動、円形ブラシ部の反復回転運動など、毛束に対してヨコ方向のみの動きですが、ビブラートケアは、毛束に対してタテ(毛先)・ヨコの両方向に振動するという手用磨きでは実現できない独自の動きが大きな特長です(図6)。タテ(毛先)方向の動きとST毛との組み合わせで、歯周ポケットなどのより狭い隙間へ毛先が届きやすくなっています。
また、動作モードの切り替えでは振幅だけを調節するのではなく、13,000回/分~33,000回/分まで7段階に振動数を調節可能です。
動作モードの切り替えと、ST毛のコンパクトMブラシ(ふつう)、コンパクトSブラシ(やわらかめ)やワンタフトブラシとの選択で、ビブラートケアは、様々な口腔状態に合わせて幅広い組み合わせで対応できるようになっています。

  • 歯周ポケットへ毛先が侵入する際の歯肉ストレスの比較(有限要素法解析)赤くなるほど、ストレスが多い状態 a:スーパーテーパード毛、b:テーパード毛
    図4 歯周ポケットへ毛先が侵入する際の歯肉ストレスの比較(有限要素法解析)
    赤くなるほど、ストレスが多い状態
    a:スーパーテーパード毛
    b:テーパード毛
  • ビブラートケアのブラシ駆動構造
    図5 ビブラートケアのブラシ駆動構造
  • マルチアクション音波振動によるブラシの動き
    図6 マルチアクション音波振動によるブラシの動き

■3. 清掃効果

このような特長を持つビブラートケアの清掃効果について以下に症例をご紹介します。

1)症例1

20歳代女性です。DENT.EX systema 44Hで3分間鏡を見ずに磨いていただいたところ、歯頸部、歯間部を中心に磨き残しがみられました(図7)。次に、ビブラートケアを1週間使用した後、同様に鏡を見ずに3分間磨いていただいたところ、ブラシをタテにあてて磨くなどの工夫は特にしていませんが、手用で不十分であった部分もきれいにできました(図8)。

2)症例2

20歳代女性です。辺縁歯肉に軽い発赤があり歯肉炎の状態でした(図9)。ビブラートケアで術者磨きをしたところ、石灰化したプラーク以外は、舌側転移した部位を含めてきれいに清掃できました(図10)。また、普段のブラッシングでは毛先の到達していなかった辺縁歯肉部での微小な出血がみられ、歯肉溝や歯周ポケットに毛先がしっかり到達していることが分かります。

  • 症例1:20歳代女性、自分磨き、DENT.EX systema 44H(手用)。鏡を見ずに3分間ブラッシング後の状態。かなりきれいになっているが、歯頸部、歯間部を中心に磨き残しが見られる。
    図7 症例1:20歳代女性、自分磨き、DENT.EX systema 44H(手用)。鏡を見ずに3分間ブラッシング後の状態。かなりきれいになっているが、歯頸部、歯間部を中心に磨き残しが見られる。
  • 症例1:20歳代女性、自分磨き、ビブラートケア。鏡を見ずに3分間ブラッシング後の状態。手用では不十分であった下顎前歯にタテにブラシをあてて磨くなどの工夫をしていないが、よく磨けている。
    図8 症例1:20歳代女性、自分磨き、ビブラートケア。鏡を見ずに3分間ブラッシング後の状態。手用では不十分であった下顎前歯にタテにブラシをあてて磨くなどの工夫をしていないが、よく磨けている。
  • 症例2:20歳代女性、ブラッシング前。辺縁歯肉に軽い発赤がある歯肉炎。歯頸部に沿ってプラークが認められる。
    図9 症例2:20歳代女性、ブラッシング前。辺縁歯肉に軽い発赤がある歯肉炎。歯頸部に沿ってプラークが認められる。

  • 図10 症例2:20歳代女性、ビブラートケア。ノーマルモードで術者磨き後。プラークが除去されているとともに、これまで毛先が届いていなかった歯肉溝にしっかりと毛先が到達したために起きた、辺縁歯肉の微小な出血がある。

■4. まとめ

このように、ビブラートケアは、歯頸部、歯周ポケットを狙ったプラークコントロールに威力を発揮する音波式電動歯ブラシです。歯周病の進行状況に合わせて適切なモードやブラシを選択いただけるため、これまでの電動歯ブラシでは、刺激が強すぎて使用を敬遠していた方などにもお使いいただけます。
また、近年症例が増えているインプラント埋入後のメンテナンスや矯正装置を装着している方にもお勧めいただきたい音波式電動歯ブラシです。

症例写真提供:
医療法人財団健和会 みさと健和歯科 かばら歯科診療所歯科部統括歯科衛生士長 佐藤美智代さん
柳原歯科 土田昌巳先生