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私の臨床
天然歯の色に近似した4層グラデーション(ML)生活歯症例に適した高い透光性(HT)
東京都台東区大谷歯科クリニック院長 大谷 一紀

■目 次

■天然歯の色に近似した4層グラデーション(ML)生活歯症例に適した高い透光性(HT)

大谷一紀
東京都台東区 大谷歯科クリニック
院長 
大谷一紀
7、8年前まで私の医院では審美的な要求が高い方をはじめ、特別な理由をお持ちの患者さんに限ってオールセラミックによる審美修復をお薦めしていましたが、最近では患者さん側にもメタルフリー診療への理解が深まったこともあり、ジルコニア前装クラウン(以下、PFZ)によるオールセラミック修復を選択するケースが増えています。ただPFZの場合、適した色を出すために歯質の切削量が増えてしまい、MIの観点からも生活歯などには応用しづらいケースがあったことも事実です。
例えば、支台歯の状態が良く、できるだけ抜髄を避けたいケースの場合、これまではPFZではなくポーセレンジャケットクラウンを選択することが多かったのですが、PFZほどの強度はないため症例によっては適応できませんでした。しかし、今後販売予定の「ノリタケカタナジルコニア HT」のように高い透光性と強度の両立が可能な材料ならば適応症例も増えると思われます。
私自身、PFZでここまで繊細に歯の色を表現できることを実感して以来、大谷歯科クリニックではファースチョイスとしてお薦めする機会が増えています。
また、今回クラレノリタケデンタルから発売された「ノリタケカタナジルコニア ML」では、従来のジルコニア製品に比べて透光性が向上したこと、4層の自然なグラデーションが付与されたことで、より自然な色が再現できるようになり、さらに多くの適応症が考えられるようになってきました。
これまでコスト面の問題から、特に下顎の臼歯、上顎の小・大臼歯までは、ハイブリッドセラミックスを選択する患者さんが多かったのですが、長期的にみた場合、咬合面の摩耗が気になります。
今後の経過観察を慎重に行う必要はありますが、モノリシックで口腔内における経年的変化や摩耗が少ない材料という意味では、“ハイブリッドの費用で選択できるセラミック”という位置づけで、臼歯の審美修復にも積極的に使っていけるものと期待しています。 東京都台東区 大谷歯科クリニック

  • ノリタケカタナジルコニア MLを用いたフルクラウン
  • 図1 支台歯形成後の状態。45 の既存の補綴物を外し、④⑤6 のブリッジで補綴することになった。
    図1 支台歯形成後の状態。45の既存の補綴物を外し、④⑤6のブリッジで補綴することになった。
  • 図2 模型上でのワックスアップが完了した状態。
    図2 模型上でのワックスアップが完了した状態。
  • 図3 同、咬合面観。
    図3 同、咬合面観。
  • 図4 色調は「ノリタケカタナジルコニアML A Dark」を選択。模型上での完成。
    図4 色調は「ノリタケカタナジルコニアML A Dark」を選択。模型上での完成。
  • 図5 同、咬合面観。
    図5 同、咬合面観。
  • 図6 術後の状態。メタルフリーのブリッジが装着され、患者の満足を得ることができた。
    図6 術後の状態。メタルフリーのブリッジが装着され、患者の満足を得ることができた。

■生活歯の症例では高い透光性を持ったフレームが有効

湯浅直人
歯科技工士
湯浅直人
従来のノリタケカタナジルコニア(KT、KD)と比較して「ノリタケカタナジルコニア MLおよびHT」の透光性は高くなりました。これらを用いれば、今までのフルジルコニアクラウンのように不透明度が高すぎて色が全く調和しないといった状況は多少軽減されると思われます。
さらに「ノリタケカタナジルコニア ML」はディスクそのものが濃度の異なる4層グラデーション構造となっており、完成したクラウンもより天然歯に近いグラデーションが付与されます。
これは今までエクスターナルステイニングもしくは完全焼結前の着色により付与しなければならなかった部分ですから、この工程が省ける可能性があるという意味では理想に近づいたと言えます。
実際に何度か臨床応用したところ、「A Dark」が比較的調和しやすい状況が多いと感じています。具体的には、透明度の高い天然歯ではなく、若年代の天然歯のようにエナメル質が明るい天然歯に調和しやすいでしょう。
しかし、支台歯や目標歯の色の条件によっては当然調和させることが困難な症例もありますので、高度な色の調和が望まれる症例においては、調整範囲の広い「カタナジルコニアフレーム+セラビアンZR(PFZ)」の適応が第一選択となります。
また、「カタナジルコニアフレーム+セラビアンZR(PFZ)」を適応する症例においても、今後販売予定の「ノリタケカタナジルコニア HT」のように高い透光性を有したフレームが使用できることは大きなアドバンテージとなります。
石灰化の進んだ透明度の高い天然歯を模倣しなければならない症例や、形成量が大きくとれない生活歯の症例(図712)ではより透光性の高いフレームが必要になりますので、強度を犠牲にせずこれを実現するHTには期待しています。

  • ノリタケカタナジルコニアHT+セラビアンZR
  • 図7 支台歯形成後。本症例の支台歯は生活歯であった。歯髄の保存を考慮し、必要最低限のクリアランスで支台歯形成を行った。
    図7 支台歯形成後。本症例の支台歯は生活歯であった。歯髄の保存を考慮し、必要最低限のクリアランスで支台歯形成を行った。
  • 図8 患者の希望シェードはNW0.5程度で、ディスクは「ノリタケカタナジルコニアHT White」を選択した。図はフレーム調整が終了し模型に戻した状態。
    図8 患者の希望シェードはNW0.5程度で、ディスクは「ノリタケカタナジルコニアHT White」を選択した。図はフレーム調整が終了し模型に戻した状態。
  • 図9 インターナルステイニングによりフレームに若干の色調整を行う。
    図9 インターナルステイニングによりフレームに若干の色調整を行う。
  • 図10 オペーシャスボディ・ボディ・エナメルを築盛し、インターナルステイニングにて象牙質構造のキャラクタライズを行う。
    図10 オペーシャスボディ・ボディ・エナメルを築盛し、インターナルステイニングにて象牙質構造のキャラクタライズを行う。
  • 図11 完成した「ノリタケカタナジルコニアHT+セラビアンZR」クラウン。
    図11 完成した「ノリタケカタナジルコニアHT+セラビアンZR」クラウン。
  • 図12 術後。透光性の高いジルコニアフレームを使用することで、最低限のクリアランスで自然感を表現することができた。
    図12 術後。透光性の高いジルコニアフレームを使用することで、最低限のクリアランスで自然感を表現することができた。

デンタルマガジン 147号 WINTER