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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Field Report
高い象牙質接着性と経年劣化による変色の抑制新しいセメントシステムへの期待
北海道札幌市 千葉歯科クリニック院長 千葉 豊和

北海道札幌市千葉歯科クリニック 「美しい微笑み」とは健康な歯から作られてくるものである。その考えのもと、歯科の立場から患者さんの健康をサポートし、札幌の地で開業して18年になります。
その間、歯科医療の世界ではさまざまな進歩がありました。中でも接着技術の進歩には目覚ましいものがあり、耐久性や審美性を兼ね備えながら、不必要に歯を削り過ぎないMI(ミニマムインターベンション)の考えに沿った治療を行う上で、現在では欠かせない技術となっています。
耐久性や審美性、MIに対するニーズは今後も高まることは想像に難くありません。そうした中、臨床家として歯科用セメントに求めるものは、高い歯質接着性、天然歯に近い色調の再現性、経年劣化による変色の抑制であることは、どの先生方も同じではないでしょうか。
今春発売となった高接着審美セメントシステムパナビアV5の適用用途は広く、クラウンやブリッジをはじめ、コアやポスト、CAD/CAM冠など多岐にわたります。
当クリニックにおいても主にラミネートベニアの接着といった透過性を求めるケースを中心に、さまざまな症例で現在、使用しています。
ラミネートベニア修復は、補綴物をエナメル質に接着させることが理想的です。しかし、現実にはエナメル質の範囲を越えて象牙質にまで及ぶケースも存在します。メーカーのカタログによれば、パナビアV5の歯質接着性は高く、特に象牙質接着性は従来品と比べると3倍以上の接着力を有しています。
前歯部に限らず、臼歯部においても歯質の削除量を極力減らす昨今の流れに沿う術式として、テーブルトップラミネートベニアが有用であると考えています。こうした補綴物への需要増大を鑑みたとき、歯科用セメントの象牙質接着性に対する関心は今後、高まっていくのではないかと思っています。
色調はユニバーサル、クリア、ブラウン、ブリーチ、オペークの5種類がラインナップされています。当クリニックでは歯質の色を拾い自然な形で色調が出せるクリアを選択することが多いのですが、従来のセメントではなかなか出せなかった透明感が、きちんと再現されている点が気に入っています。
ただし、経年的変化については念頭に置いておかなくてはなりません。セメントの変色の主な原因は化学重合触媒のアミンにあるとされています。アミンは熱の影響を受けるため、例えば、日常的に熱いお茶を飲む患者さんは変色しやすい傾向にあります。しかしながら、パナビアV5はアミンフリーですから、長期的な変色に対する抑制も期待できるのではないでしょうか。
操作性については一液型であるため煩雑さがなく、ペーストの硬さや流動性に関しても感触的なものとしてはまったくストレスがありません。
余剰セメントの除去についても、3〜5秒ほど光照射した後、半硬化した余剰セメントが一塊で除去できるので容易です。ただ、ペーストのフローがもともと良いので、光照射せずとも余剰セメントを拭き取りやすい感触があり、使い勝手という面ではとても良いのではないかと思っています。
パナビアV5の臨床的な評価は、当然ながら長期的な年数を経なければ正しくは行えません。しかし、操作性の良さ、あるいは歯質接着性や色調の長期安定性に対する期待値を込めて、今は第一選択肢として活用しています。

  • ケース1-1 右上第2小臼歯のメタルインレーをメタルフリーにしたいとの希望にて来院。インレー除去、再窩洞形成を行う。
    ケース1-1 右上第2小臼歯のメタルインレーをメタルフリーにしたいとの希望にて来院。インレー除去、再窩洞形成を行う。
  • ケース1-2 パナビアV5 クリア色を使用してセラミックインレーを接着。
    ケース1-2 パナビアV5 クリア色を使用してセラミックインレーを接着。
  • ケース2-1 右下第1大臼歯、機能咬頭を含むアンレータイプの形成を行う。健全歯質を極力残し歯肉縁上にフィニッシュラインを設定する。
    ケース2-1 右下第1大臼歯、機能咬頭を含むアンレータイプの形成を行う。健全歯質を極力残し歯肉縁上にフィニッシュラインを設定する。
  • ケース2-2 パナビアV5 クリア色を使用してセラミックアンレー接着後の咬合面観。
    ケース2-2 パナビアV5 クリア色を使用してセラミックアンレー接着後の咬合面観。
  • ケース2-3 同頰側面観。
    ケース2-3 同頰側面観。
  • ケース3-1 右上側切歯、犬歯のラミネートベニア、第1小臼歯のアンレー形成を行った口腔内。
    ケース3-1 右上側切歯、犬歯のラミネートベニア、第1小臼歯のアンレー形成を行った口腔内。
  • ケース3-2 同咬合面観。
    ケース3-2 同咬合面観。
  • ケース3-3 パナビアV5 クリア色を使用して接着後のラミネートベニアならびにセラミックアンレー。
    ケース3-3 パナビアV5 クリア色を使用して接着後のラミネートベニアならびにセラミックアンレー。
  • ケース3-4 同咬合面観。
    ケース3-4 同咬合面観。

デンタルマガジン 154号 AUTUMN