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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Field Report
高い操作性と研磨性で彎曲面などの細かな削合を可能にするメタルストリップス
東京都目黒区 大澤歯科 院長 大澤 勇人

大学卒業後に勤務した歯科医院で、Dr.ビーチのフィロソフィーを学ぶ機会に恵まれました。そのことがきっかけとなり、8年前の開業当初からDr.ビーチの5原則をベースに診療を行っています。
5原則とは「歯牙口腔系に由来する疼痛と不快感の除去と緩和」「口腔衛生の確立と維持」「組織抵抗力の増強」「口腔内における好ましい力学的関係の確立と維持」「審美的で好ましい外観の創造と維持」の5つです。
つまり、痛みの原因を探して取り除き、健康で美しい歯の状態を保っていくこと。そして、その場限りの治療ではなく、最終的には歯科医師がいなくても患者さんが自立して健康を保てるようにサポートをすること。そうした考え方が当院の診療方針の根幹になります。
このような考えのもと、GPとして患者さんの健康を総合的に見ていこうとした場合、矯正歯科という視点は必要な要素だと考えています。
一般的に、上下の歯の力関係がしっかりと確立されていなければ、口腔内に不具合が生じる可能性が高まります。例えばクラウンを被せる際にも矯正的なアプローチをすることで、より補綴物が長持ちする口腔環境を整えられるケースが往々にしてあります。
主訴だけを治療するのではなく、必要に応じて矯正治療も提案し、患者さんの希望に沿いながら、より健康維持に繋がるような診療を開業以来心がけてきました。
さて、矯正治療でしばしば行われる方法にディスキングがあります。当院ではディスキングの際の研磨・削合器材の1つとして、メタルストリップスを使用しています。メタルストリップスのメリットは、削合したい箇所を自分の思い描くようにピンポイントで削れることでしょう。
これまでディスキング時は、エンジンに付けるタイプのディスクを手指で操作し、歯間スライスを行っていました。しかし、ディスクを使用した場合、フラットな形状のため、歯牙がストレートに削合されます。つまり、ある程度、歯牙が整列した状態でなければ削る必要のない部位まで削ってしまう恐れがあり、ディスキングの時期を遅らせるなどタイミングを見計らう必要がありました。
それに対し、メタルストリップスはメタル特有の強度とダイヤモンド粒子による高い研磨性を持ちながらも、柔軟性があり、よくしなります。
幅は2.5mmと適度な細さで、叢生が治りきっていない状態の歯牙や彎曲面であっても、ほかの歯牙を傷つけることなく微細な削合や形態修正が容易に行えます。
また、穴の開いた幅が広いハンドルは濡れたグローブでも把持しやすいという特長があります。私の場合は片側をしっかりと固定し、もう片方は軽く支える程度に把持していますが、治療中に滑ることはありません。口腔内という狭いスペースでの使用においては、こうした操作性の高さは正確な削合を行えるか否かに関わってくるため、とても大切なのです。
叢生の治療の際には後戻り防止のためにコンタクトポイントを点接触ではなく、少しだけ面接触にすることがあったり、ブラックトライアングルの治療の際には少しずつディスキングを行うことがあったりします。こうした細かな形態修正に対しても高い精度で削合ができるのは、高い研磨性と優れた操作性があるからだと感じています。
当院で使用しているメタルストリップスグリップストリップには粒度の粗い順に「コース(80μm/40μm)」「ミディアム(40μm/15μm)」「ファイン15/8μm」の3タイプがあり、それぞれに2種類の粒度のダイヤモンドがコーティングされ、1本で2段階の作業が行えるようになっています。
当院では最初に「コース」の80μmと40μmで削合を行い、「ファイン」で表面を滑沢にするための研磨をかけるという使い方を基本にしています。「コース」のダイヤモンドコート部はメッシュ状に小さな穴が空いているため、削合時の目詰まりを防ぎ、動きを止めることなくスムーズに削合できるのも気に入っている点です。
冒頭で述べた通り、患者さんを総合的に見ていくためには矯正治療は不可欠です。そして、矯正治療を行う以上、ディスキングは必要な方法の1つです。
これまで使用してきた研磨・削合器材の中でも操作性が優れ、正確な削合が行えるメタルストリップスは、当院において現在ではなくてはならないツールとなっています。

  • 症例1-1 術前
    症例1-1 術前。
  • 症例1-2 術前。時間の都合により2回に分けてディスキングを行う。
    症例1-2 術前。時間の都合により2回に分けてディスキングを行う。
  • 症例1-3 下顎叢生部の1回目のディスキング時。叢生が残っているが「グリップストリップ」は彎曲させることで削りたい箇所だけの削合が可能。
    症例1-3 下顎叢生部の1回目のディスキング時。叢生が残っているが「グリップストリップ」は彎曲させることで削りたい箇所だけの削合が可能。
  • 症例1-4 下顎叢生部の2回目のディスキング時。「コース」はメッシュ状に小さな穴が開いているため、この状態でも目詰まりは起こしていない。
    症例1-4 下顎叢生部の2回目のディスキング時。「コース」はメッシュ状に小さな穴が開いているため、この状態でも目詰まりは起こしていない。
  • 症例1-5 最初のディスキングから3ヵ月後の口腔内。経過途中だが叢生の改善が見られる。
    症例1-5 最初のディスキングから3ヵ月後の口腔内。経過途中だが叢生の改善が見られる。
  • 症例1-6 最初のディスキングから3ヵ月後の口腔内。
    症例1-6 最初のディスキングから3ヵ月後の口腔内。

  • 症例2-1 術前。

  • 症例2-2 術前。
  • 症例2-3 ディスキング時にはゲージを使い、何μm削ったかのチェックを行う。
    症例2-3 ディスキング時にはゲージを使い、何μm削ったかのチェックを行う。
  • 症例2-4 治療計画にのっとり上顎正中部のディスキングを行った。
    症例2-4 治療計画にのっとり上顎正中部のディスキングを行った。
  • 症例2-5 ディスキングから2ヵ月後の口腔内。経過途中だが叢生の改善が見られる。
    症例2-5 ディスキングから2ヵ月後の口腔内。経過途中だが叢生の改善が見られる。

デンタルマガジン 156号 SPRING