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Technical Hint
ノリタケスーパーポーセレンAAA 発売30周年特別連載 スーパーポーセレンAAA発売30周年を振り返って
株式会社カロス/株式会社KPC(カタナプロダクションセンター) 増田 長次郎

スーパーポーセレンAAA発売30周年おめでとうございます。日本のみならず海外においても広く、長きにわたり愛用される姿を見てきましたが、黎明期において海外への紹介に携われたことをうれしく思います。
私が歯科技工士になって約35年、そのほとんどのセラミスト人生をノリタケポーセレンと歩んできました。
私がイタリアに渡るときに大きな出会いがありました。それは当時(株)ノリタケデンタルサプライ社長、坂清子氏(現クラレノリタケデンタル(株)開発顧問)との出会いでした。
坂氏とはアメリカ滞在中に最初にお目にかかったのですが、私がイタリアへ行くというときにご挨拶に伺うとちょうど「Super Porcelain EX-3(スーパーポーセレンAAAの輸出向け製品)」が海外(欧米)に初めて進出するというときで、その第一歩が偶然にもイタリアでした。
若干27歳の私がインストラクターを務めることになったのですが、当然渡航後すぐにはイタリア語を話せません。つたない英語でイタリア各地を回ることとなりました。
私はイタリアに滞在する初めての日本人歯科技工士であり、数多くのイタリア人から物珍しそうに見られる日々がかなりの間続きました。その中で年間20回程度のコースをイタリアはじめヨーロッパ各地で行うことになりましたが、AAA(EX-3)の特徴であるトラブルの少なさで興味を引き、日本人歯科技工士の器用さが功を奏したため、おかげさまでコースはいつも満席でした。イタリア人のみならずヨーロッパ中の著名な歯科技工士たちと、そして歯科医師と多く出会い、親交が深まっていきました。
イタリアでは日々の臨床に加えて、コースのためのサンプル作りが毎日続きました(図1、2)。私はこのとき、昔一生懸命したカービングのことを思い出していました。あのときやっていてよかったな…。
当時はつらいとしか感じませんでしたが、そのときの雰囲気とサンプルをつくる時の雰囲気が大変似ていたことが役立ちました。そしてこのとき、継続することが大事だということを実感しました。「継続は力なり」、いまでも私の座右の銘となっています。
日本に戻り1994年に有限会社カロスデンタルジャパン(現:株式会社カロス)を開設、そして2007年に株式会社KPC(カタナプロダクションセンター)を開業する運びとなりました。
プロダクションセンターの開業に関しては、決して偶然や単純に手を挙げたから指名されたということではなく、イタリア時代から今なお続く信頼関係の上に成り立っていると考えています。
歯科技工所カロスの特徴は審美・インプラント・咬合という包括的な内容ですが、そこにはいつもスーパーポーセレンAAAを始めとしたノリタケ陶材がありました。これからも、ともに歩んでいきながら邁進していきたいと思います。 

  • 図1
    図1−1(左)/図1−2(中)/図1−3(右)/
    当時、お金もなかったことから、歯根付き全部ポーセレンのサンプルをよく作った。今見ると、あり得ない色調や咬合を無視したサンプルではあるが、好んで一人夜遅くまで製作していた。
  • 図2
    図2−1(左)/図2−2(右)
    イタリア在住時の、数多くのサンプル。サンプル作りを通して自然に陶材とシェードガイドとの彩度の違いや、築盛のハンドリングを感じて身につけていった気がする。臨床で余った陶材を多く使用したため、よく見ると小さな気泡が見て取れる。それも今は懐かしい。
  • 図3
    図3−1(左)/図3−2(右)
    2〜2のブリッジ。nカラーポーセレン(築盛スペースが少ない場合でも色調が再現しやすいよう彩度が調整されたポーセレン。A1〜A4のペーストオペーク、ボディ陶材がある)を多用している。色調や形態はもとより、このころは歯周組織へのアプローチに苦心していた。今なら違うサブジンジバルカンツァーを付与するかもしれない。
  • 図4
    図4−1(左)/図4−2(右)
    1単冠症例。かなり多くの修正を繰り返した。安定した陶材であるがゆえに問題を生じることなく完成できた。
  • 図5
    図5
    インプラント上部構造。今見直すと、咬合できない形態であることがよくわかる。しかし、部分的に丸みを帯びた隆線を表現するためにAAA(EX-3)に、いったんステインを施した上層にグレーズ材を混ぜて焼成温度を下げたり、低融陶材を用いたりと苦心した。お付き合いをしていたアメリカ人歯科医師もこのような出来上がりを好んでいた。今思えば患者不在の症例と言わざるを得ない。反省しているが、当時は試みたくて仕方なかった。
  • 図6
    図6
    1PFM、1ラミネート、2セメントリテインインプラント上部構造・PFM。おそらくインプラント上部構造としてセメントリテインが、まだ認知されていなかった時代のもの。
  • 図7
    図7
    上段が通常、下段がnカラーのボディ陶材。ノリタケシェードガイドに対する色調再現性を高めるため、彩度を中心に見直しがはかられている。築盛スペースが少ない場合にも有効。
  • 図8
    図8−1(左)/図8−2(右)
    レバノン大学で講演とデモの風景や、ミラノデンタルショーでデモを行っている。イタリアを中心にヨーロッパ各地でコースやデモを行っていた。
  • 図9
    図9
    KALOS DENTAL ITALIA S.R.L.(1994年開業)
  • 図10
    図10
    Prof.Bracchetti親子と、ギリシャのアテネまでヨーロッピアンカップ決勝を観戦しに行った。もちろんACミランが優勝。

デンタルマガジン 160号 SPRING