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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Clinical Report
PMTCでのトルクテックプロフィーコントラの有効性
医療法人社団新仁会吉祥寺南歯科 院長 江澤 庸博

■はじめに

トルクテックシリーズはモリタが開発した歯科ユニット用のエンジンに装着する回転器具である。
2010年10月より、5倍速コントラ、等速コントラ、ストレートが国内発売となり、2014年4月には累計2万本の販売数となった。この間2012年11月には海外において10:1減速コントラ、プロフィーコントラ、上下動コントラという3種類の減速シリーズが先行販売されていた。海外販売開始から4年後の昨年10月に本邦においてもこの3種類の減速シリーズが販売開始となった。ここではこの3種類の中でプロフィーコントラと上下動コントラについて紹介させていただこうと思う。

■トルクテックシリーズの基本コンセプト

トルクテックシリーズは、
①治療部位へのアクセス性を向上させるためにスムースボディでミニヘッド化を追求
②操作性を向上させ、ストレスを軽減させるために重量バランスの最適化を行う
③滑らかな切削面を得るためにバー振れ精度の向上を目指す
④患者、術者双方への負担軽減のために低振動とさせること
の4項目を共通のコンセプトとして開発されたユニットのエンジン用の回転器具である。

■トルクテックシリーズのラインナップ

トルクテックシリーズは5倍速コントラ、等速コントラ、ストレート、10:1減速コントラ、プロフィーコントラ、上下動コントラという5種類のコントラとストレートの構成(図1)で主要諸元は表1の通りである。
5倍速コントラにはFGバー(タービン用バー)を使用し、等速コントラと10:1減速コントラにはCAバー(コントラ用バー)、ストレートには技工用バーを用いる。
プロフィーコントラはプロフィー用のブラシなどを使用し、上下動コントラはエバチップ(後述)を使用する。

  • 図1
    図1 コントラとストレートの写真。左から5倍速コントラ、等速コントラ、ストレート、10:1減速コントラ、プロフィーコントラ、上下動コントラ。
  • 表1 主要諸元
    表1 主要諸元

■プロフィーコントラ

昨年10月より発売されたPMTC用に特化したハンドピースで(図2)、通常のコントラ(等速コントラ)と比較するとヘッドの高さが圧倒的に低く、体積も小さいため(図3)、歯面へのアクセス性に優れ、患者さんの口唇、頰部などへの不快感も軽減することができる。
このウルトラミニヘッド化された丸みを帯びた形態のプロフィーコントラは、ヘッド高さ8.5mm、ヘッド径8.0mmと小さく、そのため装着したブラシやラバーカップの端が歯面やポケット内にどれだけ入っているかしっかりと見定めることができるすぐれものである。
現代の滅菌事情により患者さんごとに機材を交換する必要があることから、診療に必要なコントラの本数が増えているため、コストが低いことは機材選択の重要な要件の一つである。その点、このプロフィーコントラは実勢価格も既存の機材と同等で、臨床に導入しやすい。
このことは開発段階での苦労した点として、担当者が「プロフィーコントラのよさを少しでも多くの方に実感していただくため、できるだけ安価に提供できるように設計することに苦労しました。他のトルクテックシリーズと設計を共有する部分と、機能を特化することで簡素化できる部分をうまく組み合わせ、部品数を削減し、コストの最適化を図りました」と述べていることでも理解できる。
コストは抑えても必要な部分にはこだわりを持って製品化されている。
例えば高耐久性のギアシステム(図4)やスラスト玉軸受(図5)という特徴のある機構である。スラスト玉軸受はスラストベアリングとも言われるボールベアリングの一種である。このベアリングによってプロフィーコントラがブラシやラバーカップを使用する際に軸方向に圧力がかかり摩擦抵抗によって回転に制限が加わらないようにしているのである。
今回発売されたプロフィーコントラはコストを抑え、小さなヘッドの中にモリタの技術を発揮した機構を組み込んだコントラとして製品化されている。

  • 図2
    図2 プロフィーコントラ全景(4種類の形状のポイントをつけたもの)。「プロフィーコントラとP・CSポイント。左からポイントブラシフラット、ポイントブラシテーパー、ポイントコーン、ラバーカップ」
  • 図3
    図3 等速コントラとプロフィーコントラの比較写真。等速コントラと比較するとプロフィーコントラのヘッドがかなり小さなことがわかる。
  • 図4
    図4 小さいベベルギアにも技術を要する「インボリュート歯型」を使用している。

■P・CSポイント(P・CS:プロフェッショナルケアシステム)

プロフィーコントラで使用する歯面清掃・研磨用ブラシ、カップ、コーンがこのコントラとともに7種類発売された(図6)。
研磨用ブラシは形態がフラットなものと先端が尖ったテーパータイプの2種類があり、それぞれの形態ともブラシの柔らかさでレギュラーとソフトの2種類がある。ラバーカップも内部の羽根状のウエッブが6枚のハードと4枚のソフトの2種類がある。さらに三角錐状のポイントコーンと呼ばれる形態がある。歯周治療後のプロフェッショナルクリーニングにはソフトの方が適しているように思われる。
とくにポイントブラシフラットのソフトは今までの製品より柔らかく、低回転させながら歯肉縁下に入っても痛みを感じることが少なくポリッシングできる。

■上下動コントラ

上下動コントラはデンタータス社のエバコントラが発祥である。アキセルソンによると図7に示すような形状のチップが前後に1.0−1.5mmの往復運動をする。
今回の上下動コントラは1.1mmの往復運動を行い、チップはデンタータス社のエバチップやラミニアチップを使用して歯間部や歯肉縁下の清掃や研磨作業に使用する。
このコントラは繰り返しの上下運動に耐えうるように、カム軸受けに精密な高耐久性上下動機構を採用している。また、振動を低減するために、上下軸の軽量化と重心を考慮した設計になっている(図8)。

  • 図5
    図5 スラスト玉軸受とペースト侵入防止機構の透視図。スラスト玉軸受によって軸方向に圧力が加わっても摩擦抵抗を減らして回転をスムーズにしている。また、ペースト侵入防止機構でペーストの侵入を防いでいる。
  • 図6
    図6 P・CSポイント。左からラバーカップソフト4ウェブ、ラバーカップハード6ウェブ、ポイントブラシフラットソフト、ポイントブラシフラットレギュラー、ポイントブラシテーパーソフト、ポイントブラシテーパーレギュラー、ポイントコーン。
  • 図7
    図7 上下動コントラにエバチップを装着している写真。上下動コントラとエバチップ(左)、ラミニアチップ(右)が装着されている。
  • 図8
    図8 上下動コントラの断面図。上下動コントラのヘッドの断面図。

■ブラシの取り外し

使用後にブラシを取り外せない時は、コントラをモーターのコネクタから外して、図9で示すように取り外す。
付属でついてくる羽状の治具(図9a)をコントラのコネクタ側に差し入れて回転部分を固定しつつ(図9b)、ブラシを左方向に回転させて取り外す(図9c、d)。

■ポリッシングペースト

ポリッシングペーストについては日常の診療にPMTCの概念が幅広く浸透してきたために数多くの製品が販売されている1)
しかし、口腔内には様々な硬さの材質(ヌープ硬さ:エナメル質300−350、象牙質60−70、コンポジットレジン40−60)があるために、ペーストの粗さについてもよく理解して使用する必要がある5)
各メーカーとも大きく分けて、レギュラータイプ、細粒タイプ、微細粒タイプと言った種類があるが、メーカー間の粒子の規定は存在しない。エナメル質、象牙質、セメント質に適合するペーストは細粒タイプであろう。コンポジットレジンや金属冠に適合するペーストは微細粒タイプと考えられている2、3)。モリタの製品では、P・クリーンポリッシングペーストFDファイン(図10)がこれに相当する。

  • 図9a
    図9a ブラシを外すために使用する羽状の治具。
  • 図9b
    図9b 羽状の治具をコネクタ側から差し入れる。
  • 図9c
    図9c 治具が回転しないようおさえつつ(右手)、ブラシを左方向に回転させる(左手)。
  • 図9d
    図9d ブラシが外れるまでブラシを左方向に回す。
  • 図10
    図10 P・クリーンポリッシングペーストFDファイン

■まとめ

PMTCは「熟練した歯科医師、歯科衛生士が機械的清掃用具を用いて、すべての歯面からプラークを取り除くこと」4)であると定義され、PMTCという用語の生みの親であるアキセルソンによると使用機材として「三角型のチップまたはスパチュラ型のチップを往復運動させるための上下動コントラ」と「ラバーカップとブラシを回転させるためのプロフィーコントラアングルハンドピース」が必要と記載5)されている。
また、エバシステム(上下動コントラ)を使用しない場合はPMTCとは言わず、PTCという用語になる6)との見解もある。
個人的には上下動コントラで隣接面や歯肉縁下の歯面をフッ素入りペーストで研磨するのは大変な労力と患者さんの苦痛を伴うと思うが、今回紹介した振動がより少なく、コストパフォーマンスの高い機材を日常的に使用することにより、診療効率を高め、患者さんの苦痛を軽減させることができる。
このような機材のさらなる進化が進めば、より診療効率の高い歯周治療とメインテナンスが実現できるだろうと思われた。

参考文献
  • 1)宮崎真至, 坪田圭司:侵襲を最小にとどめるPMTCペーストの選択法第2回PMTCペーストにはどのようなものがあるの?, 歯科衛生士, 36(3), 46-50, 2012.
  • 2)宮崎真至, 高見澤俊樹:侵襲を最小にとどめるPMTCペーストの選択法第3回適切なPMTCのための使い分け, 歯科衛生士36(4),54-57, 2012.
  • 3)川本諒他:PMTCペーストに関する研究—擬似エナメル質および修復物表面性状の変化とプラーク除去率について—, 日歯保存誌, 39(5):402-409, 2016.
  • 4)日本歯周病学会編:歯周病学用語集第2版, 81, 医歯薬出版, 東京, 2013.
  • 5)ペール・アキセルソン:本当のPMTC その意味と価値, 51, オーラルケア, 東京, 2009.
  • 6)日本老年歯科医学会編:老年歯科医学用語辞典第2版, 245, 246, 248, 医歯薬出版, 東京, 2016.