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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Clinical Report
歯周病ケア用歯ブラシの進化型 「Systema AX」(システマエーエックス)
東京都葛飾区鈴木歯科医院院長 鈴木泰二/歯科衛生士 鈴木沙央理

■目 次

■1.はじめに

厚生労働省の平成28年歯科疾患実態調査によれば、8020達成者の割合は50%を超えたとみられ、年齢が高くなっても歯を残せる時代になってきています。
その一方、4mm以上の歯周ポケットがあるものの割合は、30歳以上で30%以上、40歳以上で40%以上と、年齢が高くなるにしたがって割合が高くなり、若年層を含めて経年増加傾向となっています(図1)。
このような状況に対処し、ケアが必要な部位に的確に毛先をコントロールできる、口腔内操作性の高い歯周病ケア用歯ブラシの必要性が増しています。

  • 図1 4mm以上の歯周ポケット保有者割合の推移
    図1 4mm以上の歯周ポケット保有者割合の推移
    (厚生労働省、H28年歯科疾患実態調査)
    注1)平成11年と平成17年以降では、1歯あたりの診査部位が異なる。
    注2)被調査者のうち対象歯を持たない者も含めた割合を算出。

■2.歯周病ケア用歯ブラシとしての「Systema AX」歯ブラシ

既にライオン歯科材株式会社(以下、ライオン歯科材)から、狭い隙間への毛先浸入性に優れ歯肉に優しい先端径0.02mmの「スーパーテーパード毛」の「DENT.EX systema」歯ブラシ(以下、システマ)が販売されており、歯周病ケア用歯ブラシとして威力を発揮しています。
また、口腔内操作性の高さについては、ラウンド毛で「超薄型ヘッド(ヘッド厚2.6mm)」の「DENT. MAXIMA」歯ブラシがあり、口腔内すみずみまで、より高いレベルのプラークコントロールを目指す患者さんに活用されています。
この度、ライオン歯科材からこれらの二つの特長を併せ持つ「超薄型ヘッド(ヘッド厚2.6mm)のスーパーテーパード毛歯ブラシ」として「Systema AX」(システマエーエックス)歯ブラシが発売されました(図2表1)。
これには2つのヘッドサイズがあり、「44M」は従来のシステマのコンパクトヘッド44Mと同等、また、「45M」は、さらに長さ方向が短いこれまでにない超コンパクトサイズのヘッドとなっています。
特に、45Mは、ヘッドのコンパクトさを追及するだけでなく、先端先細形状で後端側が4列植毛のやや幅広になっており、あらゆる部位への毛先到達性と歯面上でのブラッシング安定性の両立に配慮されています。
今回、これらの新しい歯ブラシを実際に使用してみた感想と2症例をご紹介したいと思います。

  • 図2 上:Systema AX 44M 下:Systema AX 45M
    図2 上:Systema AX 44M 下:Systema AX 45M
  • 表1 歯ブラシヘッド部仕様比較表
    表1 歯ブラシヘッド部仕様比較表"

■3.実際に使用して図38

歯科衛生士:鈴木沙央理の意見
最初にSystema AX 45Mを手にした時に、「これ1本で口腔内全部磨くとなると時間かかりそうだな」と思いました。ですが、歯ブラシが大きかろうと小さかろうとやることは同じで、1本1本細かく磨くということに変わりはなく、問題ありませんでした。それよりも頰側傾斜している7にブラシが届く感覚があり、磨きやすかったのです。以前は、顎を磨きたい方向に誘導してスペースを作って、歯ブラシのヘッドが筋突起に当たりながら磨くといった状況でした。ヘッドの薄さがかなり影響しているようで、Systema AX 45Mですと、ストレスなく磨くことができました。
歯科医師:鈴木泰二の意見
私は30代になってから、ラウンド毛の歯ブラシだけだと歯間部のプラークが残るようになりました。最も歯肉が健康だといわれる20歳の時に比べると、少なからず歯肉退縮が起きています。それからというもの、テーパー毛の歯ブラシを何種類も使用してきましたが、Systema AX 44Mは爽快感が違いました。歯肉に優しいあたり心地にも関わらず、毛のコシも感じられて、歯間部までスッキリ磨けます。そして、細長い植毛が口蓋側・舌側を磨く際に有効に働きます。プラークが除去され歯面がツルッとすると、磨く音がキュッキュッに変わるように思いました。

  • 図3 テーパー毛が歯周ポケットに入りやすい。
    図3 テーパー毛が歯周ポケットに入りやすい。
  • 図4 テーパー毛が歯間部に入りやすい
    図4 テーパー毛が歯間部に入りやすい。
  • 図5 最後臼歯が頰側傾斜していても、ヘッドが薄いので入り込める。
    図5 最後臼歯が頰側傾斜していても、ヘッドが薄いので入り込める。
  • 図6 ヘッドが小さいため、開口量が少ない患者さんでも無理なく入りやすい。
    図6 ヘッドが小さいため、開口量が少ない患者さんでも無理なく入りやすい。
  • 図7 ヘッドが小さいため、嘔吐反射が強い患者さんも無理なく入りやすい。
    図7 ヘッドが小さいため、嘔吐反射が強い患者さんも無理なく入りやすい。
  • 図8 舌側を磨いているところ。舌の下にブラシを滑り込ませて磨いても気持ち悪くならない。
    図8 舌側を磨いているところ。舌の下にブラシを滑り込ませて磨いても気持ち悪くならない。

■4.症例

症例1:62歳女性、月に一度メインテナンスに来院されています。現病歴:扁平苔癬 既往歴:子宮がん。
口腔内にはインプラントやコーヌス義歯などが混在しています。コーヌス義歯の支台歯は小さいため磨きにくく(図9)、遠心の歯頸部にいつも磨き残しがみられます。
また、5 6インプラント部の口蓋側も苦手部位で上部構造連結部にプラークが付着していました。現病歴に扁平苔癬をもっているため、右下を磨く際に頰粘膜がこすれて、調子が悪い日には痛むという訴えがありました。
現在は音波ブラシやタフトブラシ、歯間ブラシにフロスと時間をかけてセルフケアを行っているものの、同じところに磨き残しがあるため、セルフケア用品の見直しをしようと考えていました。そこでこの患者さんには詳しい説明をせず、術者磨きでSystema AX45Mを使用したところ、磨き終わった瞬間に「今使った歯ブラシは何だったんですか?すごく気持ちが良い」との反応がありました。
ヘッドが薄いため、頰粘膜への刺激も少なかったようです。テーパー毛で毛先が長いので、右上インプラント部にも届きやすく磨き残しが減りました。横に幅広いヘッドがコーヌスの支台歯の最遠心面にも安定してブラシがあてられていました(図10)。
症例2:71歳女性。1、2ヵ月に一度メインテナンスに来院されています。メインテナンス歴は26年目になります。決して不器用ではないのですが、右下のインプラント部舌側の歯頸部が磨けていません(図11)。6のインプラントは5欠損部も補うため、上部構造が大きくオーバーカントゥアーになっており、毛先の長いポイントブラシでなぞるように指導していましたが、毎回プラークが残ってきてしまいます。患者さんに、「右下舌側だけ磨き残しがあるのは、なぜだと思いますか?何か考えられることはありますか?」と質問したところ、インプラント頸部は下の方にあるから下を磨こうと思うけど、嘔吐反射もあり、歯ブラシを下まで入れられないとのことでした。また、ポイントブラシは柔らかすぎて磨けているかわからないとも仰っていました。そこで、Systema AX 44Mを使い比べていただいたところ、「これなら気持ち悪くならないし、どこに歯ブラシが当たっているかがわかる、これなら磨けそう!」とのことでした。1ヵ月後の口腔内写真(図12)をご覧ください。
この患者さんは嘔吐反射があるために、ご自身の考えで、舌側には小児用の歯ブラシを使用しておられました。小児用の歯ブラシはヘッドが小さいという利点はあるものの、毛先が短く硬いため、歯頸部まで届かせるには難しいように思っていました。そのため、Systema AX 44Mを提案した際には、大変気に入られたようで、このようなコンセプトの歯ブラシを探している方も少なくないなと感じました。
症例3:60歳女性 歯周病治療を主訴に来院されました。現病歴:糖尿病(コントロールはされている)。
一緒に来院された父親は無歯顎で、歯周病で歯を失ったとのことで、家族歴であると考えられます。
初診時の口腔内写真を見ると全顎的な歯肉退縮、楔状欠損が多数見られ、コンタクトポイント直下、歯間部の清掃性が不良です(図13)。
職業が看護師で忙しいということもありブラッシングにかける時間がなく現在に至っていました。このままでは歯を失う可能性が高いという危機感を持ってもらい、Systema AX 45Mを処方し、歯周ポケット内、歯間部、最後臼歯遠心面を徹底的にブラッシング指導しました(図14)。
再評価時、患者さんの努力の甲斐もあり、歯間部、最後臼歯遠心がとても綺麗に磨けていました(図15)。特に下顎前歯部の歯間部はとても狭いので、Systema AXシリーズのようなテーパー毛が効果があったと思います。
また、歯肉退縮で露出している歯根部へのブラッシグ圧も歯ブラシが当たる感覚が前より伝わりやすいとのことでブラッシング圧のコントロールもしやすくなったと患者さんからも好評で、楔状欠損の予防にもなると思います。

  • 図9 コーヌス義歯支台歯。孤立歯と同じように歯面を1周磨く必要がある。
    図9 4 5コーヌス義歯支台歯。孤立歯と同じように歯面を1周磨く必要がある。
  • 図10 最遠心面は口角を広げるように挿入。安定したストロークで磨ける。
    図10 最遠心面は口角を広げるように挿入。安定したストロークで磨ける。
  • 図11 インプラント部舌側。隣接面・歯頸部にプラークが残っている。(ミラー像)
    図11 5 6インプラント部舌側。隣接面・歯頸部にプラークが残っている。(ミラー像)
  • 図12 プラークがしっかりと除去されている。(ミラー像)
    図12 プラークがしっかりと除去されている。(ミラー像)
  • 図13 症例3 60歳女性の初診時。
    図13 症例3 60歳女性の初診時。
  • 図14 歯間部、最後臼歯遠心にプラーク残存が見られる。
    図14 歯間部、最後臼歯遠心にプラーク残存が見られる。
  • 図15 再評価時。
    図15 再評価時。

■5.まとめ

歯科衛生士にとって、ブラッシング指導は日々のことで、症状に合わせた歯ブラシの処方がパターン化することは珍しくないと思います。自分のお気に入りの歯ブラシで十分という方も、ぜひ一度、Systema AXシリーズを使ってみていただければ、ヘッドの薄さに驚かれることでしょう。
Systema AX 44Mは、オールラウンダーで多くの患者さんに合うので勧めやすい歯ブラシです。合わない症例といったら、小児やthick-flat typeの歯肉で粘着性プラークが付着している患者さんといったところでしょうか。
Systema AX 45Mは、孤立歯、根面板、叢生、嘔吐反射のある人など、細かい所が得意です。
歯ブラシは治療道具の一環であり、ただ使えば良いものではなく、製品の特長を理解した上で各患者さんに合った歯ブラシを処方することで、効果的なセルフケアが行えると考えております。