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Interview
東上野歯科クリニック 村岡正弘理事長に聞く「強固なチーム」の作り方~スタッフの能力を引き出すために必要なリーダーシップとは~
医療法人社団剣正会 東上野歯科クリニック 理事長 村岡 正弘

■目 次

これからの歯科診療、歯科医院経営にはスタッフと協力して作り上げるチーム力がより必要とされています。東上野歯科クリニックでは、院内イベントをはじめ様々な工夫を通じてスタッフの能力を引き出し、医院活性化につなげています。その秘訣について村岡正弘理事長に伺いました。

■東上野歯科クリニックでは院内イベントがいつも盛況と伺っています

医療法人社団剣正会 東上野歯科クリニック 村岡 正弘 理事長
医療法人社団剣正会
東上野歯科クリニック

村岡 正弘 理事長
歯科医院の活性化の一環として、6月4日の「虫歯予防デー」の前後一週間で、“ソニッケアーを何台販売できるか”という院内コンペを企画してスタッフ全員で楽しんだことがありました。一番成績が良かったスタッフで確か1週間に5台販売したと思います。結果発表はスタッフ全員の前で「1位は〇〇さん、おめでとう!」とみんなで祝福して、その労をねぎらうんです。1位になったからといって、お給料やボーナスに影響するとかはなくて、遊び感覚で楽しんでいるだけなんですけどね。
ただ、イベントを企画する前に唾液検査を行ったり、位相差顕微鏡を使って口腔内の細菌を調べるなど、口腔内のリスクについて学び、そのリスクを減らすためにPMTCやソニッケアーが有効であることをスタッフたちが十分理解すること。さらに、それを患者さんにお伝えする責務があることを全てのスタッフが自覚している必要があります。そうした布石を事前に打っておくと、私がなぜ今回そうしたイベントを持ち出したか、ソニッケアーをどうしてこのタイミングで患者さんにお薦めしようとしているのか、ということにスタッフ全員の理解がおよび、たかがイベントでも真剣に取り組んでくれるのだと思っています。
超高齢社会が現実化してきて、私たち歯科医師、歯科衛生士、そして歯科助手や歯科技工士の仕事も大きく変化しています。高齢の患者さんのなかにも歯がたくさん残っている方が多く見られるようになって、大規模な欠損補綴や総義歯といった治療が少なくなり、歯周病などのケアの割合が増えてきていることは、皆さんも毎日の診療のなかで実感されていると思います。まさにシックケアからヘルスケアへのパラダイムシフトです。だから歯科衛生士や歯科助手は歯科医師のアシスタントではなく、ヘルスケアの担い手として自覚させ、教育していく必要があり、それを理解し推進するのは院長の努めだと考えています。

■院内イベントはどういう経緯ではじまったのでしょう

医療法人社団剣正会 東上野歯科クリニック クリニックを開院した当初、たまたま待合室がちょっと広かったので、そこにテーブルを一つ置いて、例えば「入れ歯ってどういうもの?」「被せ物ってどんなものがあるの?」などの紹介ポスターから始まって、実際に患者さんが触ってみたりできたり、“学園祭の感覚”でできればいいな、ということでスタッフたちに依頼したのがきっかけでした。そのスタッフたちがそのうちイベント担当係みたいになって、彼女たちが企画して、手書きのポスターやポップを作ってくれるようになりました。もともと歯科衛生士や歯科助手になろうという人は、絵を描いたりポップをつくったりする素養があるんだなと私も後になって気づきました。
玄関口に置くウェルカムボードには、「できるだけ季節感を出してね」とお願いしたら、例えば5月には“ホワイトニングで真っ白になった鯉のぼり”を描いてみたり、いろんなアイデアが出てきてきて本当に驚きます。
6月4日の「虫歯予防デー」と11月8日の「いい歯の日」は最大のイベントです。あと一つはお正月の初荷ですね。初売りには毎年恒例でソニッケアーを選んでいます。15台限定で段ボールの上にソニッケアーを「初荷が届きました!」という感じでディスプレイしています。患者さんのなかには「その時に買うんだ」と楽しみにしてくださる方もいらっしゃってみんなで新年をお祝いしながら楽しんでいます。

■医院全体でミーティングは行っておられるのでしょうか。また人材確保の秘訣などあれば教えてください

当院では、朝の9時から夕方5時、11時から夜8時の二交代制をとっていて、お昼しかスタッフ全員が揃うことがないので、ランチミーティングを月一回のペースで行うようにしています。ランチメニューはスタッフが喜びそうなものを私が選んできたり、たまにはみんなで外食に出かけたりもします。その時に私の考えを伝えるようにしています。
皆さんと同じく私も人材確保にはとても苦労していますが、長く勤務してもらうために特段何かをしているということはありません。
ただ、一緒に勤めるとなると、それこそ家族といる時間よりも長い時間を過ごすことになります。ですから、逆に「ここにいる時間をもっと楽しくしようよ」とはいつも言っています。もちろん仕事ですから“ずっと楽しく笑いながら”とはいかないこともありますが・・・。
ただ、患者さんも感じているかもしれないですけど、うちは「ありがとう」という言葉がとても多いクリニックだと思うことがあります。私自身、以前勤務してくれていたスタッフの影響で「ありがとう」とよく言うようになりました。そのスタッフは本当に「ありがとう」とよく言っていたので・・・。結婚を機に退職してしまいましたが、私はその若いスタッフから学びました。年齢は関係なく、謙虚に学ぶ姿勢はこれからも大事にしていきたいと思っています。

  • スタッフ全員で行われるランチミーティングの様子。
    スタッフ全員で行われるランチミーティングの様子。
  • 中学生の頃から現在も続けている剣道は、医院経営やチームづくりにも役立っている。
    中学生の頃から現在も続けている剣道は、医院経営やチームづくりにも役立っている。
  • 待合室では村岡理事長自作自演の製品情報が映し出される。
    待合室では村岡理事長自作自演の製品情報が映し出される。

■最後にデンタルマガジン読者の先生方にメッセージをお願いします

冒頭にお話ししたシックケアからヘルスケアへの転換によって、本来あるべき医療の姿にようやく近づいてきたと感じています。それをさらに推し進めていくためには歯科衛生士をはじめコデンタルスタッフの力が必要です。なぜなら、患者さんは彼や彼女たちの方が私たち歯科医師よりずっと気軽に何でも話せるはずで、そこにこれからの歯科医療のヒントがあると感じているからです。
歯科医療はやっぱり楽しいですし、私自身は天職だと思って毎日患者さんと向き合っています。最近では、医科の先生方も歯科と全身疾患との関わりもよく理解してくださっていて、連携も取りやすくなってきました。歯科はまだまだ伸び代を秘めています。ぜひ、楽しみながら共に成長していきましょう。

  • 待合室内に貼られた「ソニッケアー」に関するポスターの一例
  • 「ソニッケアー」に関する案内は、主にイベント担当の上田さんが制作。事前に資料を読み込み十分理解したうえで取り掛かる。
    「ソニッケアー」に関する案内は、主にイベント担当の上田さんが制作。事前に資料を読み込み十分理解したうえで取り掛かる。
  • メーカー制作の資料やパンフレットをうまく織り交ぜ、文字の大きさや色遣いにも工夫を凝らしている。
    メーカー制作の資料やパンフレットをうまく織り交ぜ、文字の大きさや色遣いにも工夫を凝らしている。
  • 季節感を感じさせるウェルカムボード
  • ボードの裏面には、診療を終えてお帰りになる患者さんにちょっとした心配り。ボードの裏面には、診療を終えてお帰りになる患者さんにちょっとした心配り。
  • 「ソニッケアー」の特長をワンフレーズで上手にアピール。「ソニッケアー」の特長をワンフレーズで上手にアピール。

イベント担当 歯科助手 上田奈那さんに聞きました


先輩方に教えてもらって楽しみながらやり遂げることができました

イベント担当 歯科助手 上田奈那さん イベントのポップやウェルカムボードを制作中
イベントのポップやウェルカムボードを制作中
今年の4月から歯科助手として東上野歯科クリニックで勤務しています。勤務後すぐにイベント担当を指名され、最初は分からないことばかりでしたが、診療時間の合間や診療後に先輩方に教えてもらいながら、なんとかやり遂げることができました。子どもの頃から絵を描くのは得意でしたから、ポスターやポップ作りも楽しみながらつくれたと思います。貼ったポスターを熱心に見てくださる患者さんがいらっしゃって思わず声をかけてしまいました。逆に私から「今、こういうイベントをやっていますよ」と声をかけたりもしましたね。
反省点としては、少し説明のための文字が多くて逆に分かりにくくなってしまったところもあったので、今度は写真やイラストをもう少し増やして見やすく工夫したいと考えています。
勤務してまだ1年も経っていませんから、まだたくさん覚えることもあり大変ですが、先輩方のように完璧こなせるように頑張っていきたいです。

デンタルマガジン 171号 WINTER