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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Field Report
医院の想いが伝わる“空気”を つくりだすヒケツとは
佐賀県鹿島市 医療法人祐歯会 とがし歯科医院 理事長 富樫 宏明/歯科衛生士 門田 明美・下村 美紀

佐賀県鹿島市 医療法人祐歯会 とがし歯科医院<富樫宏明 理事長>
当院は過去にソニッケアーの販売数で2年連続一位になったことがあります。また、1ヵ月の販売数が300台を超えたことが2度あります。
その際、いろんな方から「なぜそんなに売れるの?」と聞かれることがありました。これは何もソニッケアーだけに限ったことではありません。洗口液をはじめ、私たちがその製品のコンセプトや成分を調べ、実際に使ってみて「患者さんのためになる」と判断した製品については、どんな製品でもかなりの販売成績を残す自信があります。果たしてその理由とは何なのか?このページではそのエッセンスを少しでもご紹介できたらと思っています。
私たち医療従事者が良いと感じる製品を患者さんにお薦めする手法は様々ですが、患者さんに専門的な話をしても響きませんから、誰にでも分かるようにやさしくシンプルな言葉に置き換えて話すことが前提です。
次に重要なことは、患者さんがその製品を買いたくなるような“空気をつくる”ことです。空気をつくるには段階があって、突然「この製品がお薦めですよ」と言われても、相手に受け入れる準備がなければ決して響きません。
たとえば、皆さんはどんなにディスプレイに工夫を凝らし上手に説明しても、患者さんになかなか伝わらなかった経験はありませんか?それは患者さんが受け入れる空気がまだ十分にできていないのに(お薦めするタイミングではなかったのに)、結果を急いでしまったからだと私は考えます。他の人が使っていて効果があるのを見る。さらに雑誌やTVのCMなどでその製品について認知する。その上で、通っている歯科医院からそれを薦められれば「ああ、知っています。最近評判のあの製品ね」ということで、かなり受け入れやすくなるわけです。

  • とがし歯科医院 外観
    現在は佐賀県内に3軒、長崎県に1軒、計4軒の医院を展開。すべては本院である、この「とがし歯科医院」から始まった。
  • とがし歯科医院 内観
    県内有数の最新設備が整ったオペ室。近隣だけでなく県外からも多くの方が、精度の高いインプラント治療を求めて、とがし歯科医院の門をくぐる。

当院では、お薦めする製品を決めたら、まずその患者さんの層を決めます。まずその製品について関心の高い年齢層の方から始めた方が空気はつくりやすいので、ソニッケアーでは、最 初年配の患者さんに絞りました。そして私が考えた空気づくりのためのトークは次のようなものです。
「年を取ると昔のように字が丁寧に書けなくなりますよね。ウチの母親は書道の先生でしたが『前はこんな字だったかな?』と感じるほど上手く書けなくなりました。歯磨きもそれと同じで、だんだん上手に磨けなくなってくるんです。でもそれとは逆に、口の中は歯と歯の間に隙間ができたり、歯ぐきが下がって歯根が露出してきたり、入れ歯の下に汚れが溜まったり、年を取ってからの方が口の中は複雑になってケアが難しくなってきます。そして本当に上手に磨いてもらいたい頃には、手指や腕などどこかが不自由になって以前のように歯磨きができなくなっているのです。昔は手で洗濯していたのが全自動洗濯機になったり、自転車も漕ぐのがおっくうになったらみなさん電動アシスト自転車に乗りますよね。料理も電子レンジで温めるだけになったり…、他のことはみんな便利になっているのに口の中の清掃道具だけが昔のままでいいはずがないと思いませんか?」。
こうお話しするとたいていの患者さんは納得されます。私独特の話し方にも関係があると思いますが(笑)。
当院ではその空気が診療室全体に伝わりやすくするために、あえて個室にせず、ハーフパーティションにしています。1日に一度でも私がさきほどのような話をしていれば、診療室にいる他の患者さんの耳にも入りますから、結果的に「とがし歯科ではいつもソニッケアーの話ばかりしている」という雰囲気が徐々に広がっていきます。さらにソニッケアーをすでにお使いの患者さんがメインテナンスのために来院した時には、「ソニッケアーに変えてから、とてもキレイな状態が保てていますね」とお話しします。それを隣で聞いたソニッケアーを持っていない患者さんは「私も必要なのでは」という気持ちにすでになっていますから、実際にその方にお薦めすると「私のところにもついに来た!」ということでスムーズに話が進みます。

  • 理事長
    理事長が語る、目の前の患者さんへの情報提供は隣のユニットにいる患者さんやスタッフにも伝わることを意識している。
  • ソニッケアーを紹介するポップ
    ソニッケアーを紹介するポップ。医院のスタッフ全員で「ソニッケアーを使うことが当たり前」という空気を作り出している。

私たち医療法人祐歯会は4つの医院があるのですが、それぞれの医院に核となる歯科衛生士がいて、私と同じようなトークを各医院で展開しています。そうしてでき上がった空気はどんどん広がりを見せ、最終的に「口のなかが複雑化した年配の方には音波ブラシが常識!」という雰囲気に医院全体が包まれるのです。
この空気づくりができたら、次に若いスタッフたちに成功体験を積ませることが大事になります。老化と無縁な若いスタッフたちには、年配の方が抱える悩みを体験することがありませんから、もともと問題意識があまり高くありません。「若く健康な人に年寄りの気持ちがわかるわけがない」とはよく聞くセリフです。「こんな高い電動歯ブラシを買わないとダメなの?」「今まで手磨きだけでやって来たんだけど」という患者さんのブーイングを一身に受けながらも、悩んでいる患者さんのために知恵を絞ってソニッケアーを提案し、その悩みが少しでも改善されれば「提案して良かった」という成功体験に繋がります。この成功体験を積むことが自信に繋がり、言葉にも“重さ”が備わるようになると感じています。
私はスタッフ全員には折に触れてマーケティング手法について話す程度で、それを主任歯科衛生士たちが「理事長のお話を現場に落とし込むとこういうことですよね」といって常にいろんな提案をしてくれます。それに対して私が「こうした方がいいよ」とアドバイスすることはありますが、スタッフ教育についても主任たちにほぼ任せています。
私が繰り返し言うのは「まっとうなことを堂々とやって認知されるような仕事をしなさい」ということくらいでしょうか。物販についてもまさにそれが当てはまります。良い製品を薦めるのに何も躊躇することはありません。「私たちは患者さんに良い製品を薦めているんだ」という揺るぎない信念を持つことで、言葉や目の力も強くなり、自ずと発する空気にも力が備わってくるものと感じています。さらにその自信が、例えば自費治療をお薦めする際にもとてもプラスに作用しますから、単に物販だけを考えるのではなく、スタッフのコミュニケーションスキルやモチベーションの向上にも寄与すると考えれば、そこに新たな意義も見つかるでしょう。
いかがでしょうか?私たちのこうした取り組みの一部が読者の皆様のヒントになれば望外の幸せです。

  • ソニッケアーを購入していただいた患者さんのカルテ
    ソニッケアーを購入していただいた患者さんのカルテには、機種や替ブラシ、購入時期が分かるように自作のシールを貼っている。
  • クリスマスキャンペーンの企画を練るスタッフたち
    クリスマスキャンペーンの企画を練るスタッフたち。こうしたミーティングを重ねることで、リーダーの求心力や、若手スタッフのコミュニケーションスキルの向上に役立っている。
  • クリスマスキャンペーンの案内ポップ
    クリスマスキャンペーンの案内ポップ。ラッピングなどの付加価値をつけることで、家族や孫、友人へのプレゼントとして複数台購入する方もたくさんいらっしゃった。

<門田明美 、下村美紀 歯科衛生士>
富樫理事長は患者さんとのコミュニケーションの時間がとにかく長くて、他の患者さんが待っていてもおかまいなしでずっと話していることがよくあります(笑)。さらに歯科医師なのに患者さんの口腔指導を自ら率先して行います。私たちは理事長が患者さんとお話しされるのを側で聞きながら「この患者さんはそういう話をしても大丈夫なんだ」とか「こんなことに興味があるんだな」と常に頭の中に患者さんの情報をインプットしています。
ソニッケアーについては理事長自ら「オレも使っているから」と親しみやすい言葉でおっしゃいますので、私たちも「私も使っていますが、とても磨き心地が良く歯もキレイになるのでお薦めですよ」と自信を持ってお伝えしています。
最初は主に高齢で手の不自由になった患者さんに限っていましたが、現在は幅広い年齢層の患者さんにお薦めしています。その理由として、手磨きには一定の技術が必要になりますが、ソニッケアーにはその必要がないこと。また、音波水流によるプラーク除去の効果は手磨きの数倍に及びます。これだけのメリットがあるのですから、“高齢の患者さんだけにお薦めするのはもったいない”と感じたからです。そして、実際に使っていただいた患者さんの口腔内が改善されているのを私たちも成功体験として共有することで、他の患者さんにもお薦めしやすくなっています。
当院ではインプラントの患者さんも多くいらっしゃいますので、治療後の良い状態をできるだけ長く維持していくためのツールとしてもソニッケアーは有効です。
特に今回症例写真でご紹介するように、インプラントオーバーデンチャーのロケーターアバットメントに付着したプラークをケアせずにおくと、歯石状に硬まってしまい、ロケーターのリテンションディスクの摩耗の原因となり、維持力の低下を早めます。高齢の方の場合、この部分にタフトブラシなどを使ってピンポイントでブラッシングすることは難しく、歯肉も傷つけ痛みも感じてしまいがちです。そんな時にソニッケアーなら、その部分に当てるだけで音波水流の力で付近の汚れを落としてくれます。
今後は、最終補綴に入るまでの口腔ケアや、治療後にメインテナンスに入った後のケアの大切さ、また歯や口の中だけでなく体全体の健康を維持し、少しでも多く患者さんの笑顔が見られるように引き続き頑張っていきたいと思っています。

  • 可撤式のロケーター義歯の写真
    可撤式のロケーター義歯。長く使い続けていただくためには、特にロケーター部分のセルフケアが欠かせない。
    • ロケーターアバットメントに歯石化し始めたプラークが沈着している写真
    • ロケーターアバットメントに歯石化し始めたプラークが沈着している写真。
    ロケーターアバットメントに歯石化し始めたプラークが沈着している。そのことにより、ロケーターを保持する義歯側のリテンションディスクのラバーの摩耗を引き起こす。そして、ラバーの摩耗は、オーバーデンチャーの維持力低下の一因となる。
  • ロケーターアバットメントのセルフケアの写真
    ロケーターアバットメントのセルフケアには、ソニッケアーが使いやすい。
    • ソニッケアーによる清掃後の状態写真
    • ソニッケアーによる清掃後の状態写真
    ソニッケアーによる清掃後の状態。手磨きでは落としにくい汚れもきれいに取り除くことができた。

デンタルマガジン 171号 WINTER