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DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Interview
“軽い” “簡単” “快適”を実現可搬式歯科用ユニット「ポータキューブ+」開発者インタビュー
株式会社モリタ製作所 技術開発部 設計2課 設計グループ 係長 濱上 直樹 / 技術開発部 設計1課 設計グループ 小沢 啓吾

■目 次

このたび、主に訪問診療に適した可搬式歯科用ユニット『ポータキューブ+』が新たに上市されました。その開発経緯とこだわり、製品の特長について、株式会社モリタ製作所 技術開発部設計2課 設計グループ 係長・濱上 直樹氏と、同設計1課 設計グループ・小沢啓吾氏に聞きました。


  • 株式会社モリタ製作所
    技術開発部 設計1 課 設計グループ
    小沢 啓吾

  • 株式会社モリタ製作所
    技術開発部 設計2 課 設計グループ 係長
    濱上 直樹

“軽い”“簡単”“快適”をコンセプトに

まず「ポータキューブ+」の開発経緯についてお聞かせください

小沢:すでに可搬式歯科用ユニット「ポータキューブType T」と「ポータキューブType H」が発売されて6年が経過し、新たなニーズとしてまず「コストパフォーマンス」と「重量」という2つの課題が浮上していました。さらに「準備・片付けのしやすさ」と「バキュームの吸引力と静音性の向上」にもフォーカスして、開発に着手しました。


  • 可搬式歯科用ユニット「ポータキューブ+」。
重量はどの程度軽くなったのでしょう

濱上:マイクロモーター、超音波スケーラー、3WAYシリンジ、バキュームを備えたオールインワンタイプで9.8kgを実現しました。訪問診療の現場では歯科衛生士さんやアシスタントさんなどの女性スタッフが持たれることが多いので、軽いに越したことはないのはもちろんなのですが、検証の結果「10kgを切る重さ」なら大きな負担を感じることなく持ち運びできることが分かりました。ですから最終的に重量を「10kg未満に抑える」ことが私たち開発メンバーの最大のミッションとなりました。

「準備・片付けのしやすさ」とは具体的にどういうことでしょうか

濱上:実際に訪問診療をされている先生方に伺ったところ、訪問先によっては時間的な制約もあって、できるだけスピーディに準備や片付けができることも大きなメリットであることが分かりました。そこで、ガイドなどを設けてキレイに収納するのではなく、ある程度雑にやっても収納できる、というところを目指しました。社内の女性スタッフがモニター役になり、効率が良く手間のかからない収納を模索し、現在の方法に落ち着きました。目標として「1分以内に準備・収納できる」ことを目指して、訪問診療を行う歯科医院のスタッフさんにも実際に試していただいたところ、3、4回ほど試してコツさえつかめれば40秒以内で収納できるようになることも分かりました。

「バキュームの吸引力と静音性の向上」について教えていただけますか

小沢:『ポータキューブ+』では「標準タイプ」と「高吸引タイプ」の2つのラインナップを設定しました。「標準タイプ」は現行品「ポータキューブType H」と同等の吸引力を備えていますので、そのままで十分お使いいただけるのですが、「高吸引タイプ」は新たなモーターを採用することで診療室のユニットと同等の吸引力を持ちながら静音性にも配慮した設計になっています。具体的には、単に消音材を付けるだけでは吸引力そのものが落ちてしまいますので、排気の通り道にスポンジ状の部品を取り付け、消音ではなく吸音することで、バキュームモーターの排気音を可能な限り抑えています。

  • ハンドピース自動切り替え機能やLED自動点灯機能
    快適な診療をサポートする「ハンドピース自動切り替え機能」や「LED自動点灯機能」などを装備。
診療における快適性についてはいかがでしょうか

濱上:ピックアップと同時に使用するハンドピースに切り替わる「自動切り替え機能」や、同じくピックアップするとLEDライトが自動点灯する「LEDライト自動点灯機能」などを搭載しました。また、ハンドピースホルダーの位置が高いので、床に置いた状態でも自然なポジションでピックアップすることが可能になっています。

開発の過程で苦労した部分はありますか

小沢:やはり「10kgを切る重量」を実現することでしょうか。現行品Type T、Type Hで使用しているパーツ点数は1,300点ほどになるのですが、それをなんとか半減しようと試みました。この取り組みはコストダウンにも直結しますし、組み立て部位も少なくなりますから“一石三鳥”ということで、徹底的に無駄を省くことに注力しました。濱上:ケース内部にアルミのフレームが入っているのですが、「この部分は強度が必要ないから削れるよね」と知恵を出しながら肉抜きをしていきました。強度的にどこまで削れるかを試作品に実際に穴を開けながら試していったのですが、200個以上の穴を開けて最後は蜂の巣のようになりました。アルミはもともと軽い素材ですから50g軽くするだけでもとても大変なのです。さらにいろいろ試すなかで、単純に重さだけでなく重量配分のバランスが少しでも崩れるととても重く感じることも分かってきました。どの位置に重心を置くかといったことやハンドルやベルトの位置などにも気を配っています。

スピーディな準備・片付けを実演

スピーディな準備・片付け方法

収納用のガイドなどをできるだけ減らしてチューブ・コード類は束ねてフックやポケットに収めるだけの簡単収納。実演でも40秒以内で片付けが完了した。「チューブを束ねたりは少し慣れが必要かもしれませんが、コツをつかめばどなたでも手早く片付けることができます。」(小沢氏)

他にこだわりの部分があれば教えてください

対談風景小沢:カタログには載っていませんが、現行品では平面だった操作パネルに少し角度を付けて、訪問先で床置きした際に真上からの目線でも操作しやすいようにしました。あとは収納の際に、コンセントやフットコントローラーなどのコード類をまとめて入れられるポケット式にして多少大雑把でも問題なくまとめられるようにしています。濱上:訪問先では診療スペースが限られている場合が多いですから“省スペース”にもこだわりました。ケースの蓋にハンドピースをかける構造ですから展開する範囲が少なく、場所を選ばず快適な診療が行えます。

現行品の「ポータキューブ」とはどのような使い分けになるのでしょう

小沢:歯科衛生士さんが単独で訪問先に伺って口腔ケアを行う際にはコンパクトなType Hの方が使い勝手がいいというご意見もありますし、Type TとType Hの2台に分かれていることで、ベッドサイドなどで患者さんの両側からアプローチする際などに現行品のメリットを感じていただけるのではないかと考えています。

  • パネル操作時の写真
    パネルに角度をつけ、真上からでも操作しやすいようにしている。
  • 試行錯誤を繰り返す
    軽量化や静音化を実現するために様々な試行錯誤を繰り返す。
最後に訪問診療に取り組んでおられる、または取り組みを検討されている皆様にメッセージをお願いします

小沢:現行品の特長でもあった運搬性、収納性、快適性にさらに磨きをかけ、訪問先でも普段の診療と変わらない環境をご提供します。すでに訪問歯科診療に取り組んでおられる先生やスタッフさんだけでなく、これから始められる皆様にも自信を持ってお薦めできる製品に仕上がったと自負しています。
濱上:なにより持ち運びしやすいうえ、準備・収納が簡単で訪問先での貴重な時間を無駄にしない、まさに訪問診療のための1台に仕上がりました。皆様の日々の診療の一助になれば幸せです。

“東京デンタルショー2019”で初お目見え

東京デンタルショー2019”でデビュー時の写真

昨年11月に開催された“東京デンタルショー2019”でデビューを飾った『ポータキューブ+』。洗練されたデザインとユーザーの皆様の使い勝手を考えた様々な工夫に「『持ち運びしやすく使い勝手も良さそう』と高評価をいただきました。」(濱上氏)

デンタルマガジン 172号 SPRING