DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Seminar Review
『子どもたちの歯を守るために』小学校で保護者向け講演会を開催
Studygroup Lien代表 フリーランス歯科衛生士 萱野 美帆

■目 次

萱野美帆さんは、普段は衛生士学校の講師や歯科医院のスタッフマネージメントなどに携わりながら、週の半分はクリニックに勤務し患者さんの口腔ケアを行うフリーランスの歯科衛生士。その萱野さんが、2019年11月、札幌市立三角山小学校にて「子どもの歯を守る」と題した保護者対象の講演会でご講演されました。今回のSeminar Reviewではその模様をレポートします。

■ブラッシングに適した歯ブラシと歯磨剤選びが欠かせない

はじめに『なぜむし歯になるのか』、むし歯の原因とそのプロセスを解説、その予防にはプラークコントロール、フッ素の応用、間食のリスクを減らすことが大切と述べられました。さらにプラークコントロールを行ううえで、ブラッシングに適した歯ブラシと歯磨剤選びが欠かせないこと。とくに歯ブラシは、ブラシの硬さやグリップの握り心地、ネックの角度など、市販品や歯科専売品をすべて自ら試した経験をもとに、お薦めの歯ブラシの特徴や交換時期などについて説明されました。

■仕上げ磨きのツールとして『ソニッケアーキッズ』を紹介

次に、仕上げ磨きの大切さと介入時期について、「永久歯が生え揃う12歳頃まで保護者による仕上げ磨きをお薦めします。また、お子さんが低年齢の場合、頭がフラつき危険なので、寝かせるか壁に背中をつけて磨いてあげてください」と述べられました。さらに、仕上げ磨きには技術も必要で、時間のない親御さんにとっては負担となります。そこで、その負担を少しでも減らし、手磨きより高い刷掃効果が期待できるツールとして『ソニッケアーキッズ』を紹介。萱野さんご夫婦も『ソニッケアー』を愛用されている経験から、「プロの私でも手用ブラシによる仕上げ磨きでここまでプラークを落とすのは難しいです。ソニッケアーキッズなら技術がなくても必要な部位に軽く当てるだけで汚れが取れるので、仕上げ磨きにかける時間や質が変わってきます」と説明。その後、紙コップと水を使って高速振動により発生する音波水流のデモが行われると、教室に驚きの声が上がりました。

■フッ素はむし歯予防の効果大!

続いて、歯科医院で行う高濃度フッ素塗布は歯質強化に効果があること、低濃度のフッ化物含有歯磨剤を用いたセルフケアは、初期むし歯の修復(再石灰化)やむし歯菌の活動抑制に効果があること。さらに理想的にフッ素を口腔内に取り込むための歯磨剤の使用量や、洗口回数と水の量について解説。水の量が約15ml(大さじ一杯分)との話に、皆さんから「全く知らなかった」「こんな少しの量でいいんですか?」などの声が上がりました。しかし、その後萱野さんから「泡立ちが少なく(低発泡)、味もマイルド(低香味)、歯を傷つけない(低研磨)歯磨剤を選べば洗口の回数や水の量を減らすことができますから、ぜひ試してみてください」というアドバイスがあり、皆さん深く頷いておられました。

■まずは“口のケガ”に関する知識を持つことが大切

2つ目のテーマ 『歯のケガ』について、破折、脱臼、粘膜の傷の3つがあり、万が一そういった場面に遭遇した時に、保護者がパニックにならないためには、“口のケガ”に関する知識を持つことが大切と述べられました。そして、歯が抜けたり折れたりした場合、乾燥させずに専用保存液や牛乳などに浸ける保存方法を紹介され、間違っても水道水で洗ってはいけないとのお話に、皆さん一様に驚かれた様子でした。「慌てずに口の中を確認して、折れても抜けても決して歯根部分には触れずにすぐに歯科医院に持って行ってください。夜間などでかかりつけのクリニックが閉まっていても、できるだけ早く救急の歯科を探して受診してください」というお話に皆さん熱心にメモを取りながら聞いておられました。

■『歯並び・噛み合わせ』に迷ったらまず歯科を受診

『歯並び・噛み合わせ』については、「生え変わりの時期は永久歯の歯並びにも影響するので、迷ったらまず歯科医院を受診してください。矯正治療は歯列の拡大や顎の成長を味方につけられるベストな時期がありますから、その時期を見極めるためにも早めに相談されることをお勧めします」とアドバイスがありました。さらに、「キレイな歯並びになることで、見た目だけでなくケアもしやすくなり、むし歯のリスクも減らすことができます」と、矯正治療のメリットについても述べられました。

■子どもの歯を守るのは“親のつとめ”

最後に、「歯や口腔ケアの大切さはそれを失った時や痛みを感じた時に初めて気づきますが、永久歯は失うと二度ともとには戻りません。また、“乳歯は生え変わるから”と軽く考えがちですが、状況によっては永久歯に悪影響を及ぼすこともありますから、親として乳歯の時期からしっかり子どもの歯を守ってください」というメッセージとともに閉会となりました。
萱野さんからは、口腔ケアのプロとしての矜持が感じられ、参加者の皆さんからは「口の中のことについてもっと知りたい」という好奇心と「子どもの歯を守りたい」という愛情が伝わってくる、とても有意義な講演会でした。

  • 札幌市中央区宮の森にある三角山小学校には萱野さんのお子さん(小学二年生)も通学している。
    札幌市中央区宮の森にある三角山小学校には萱野さんのお子さん(小学二年生)も通学している。
  • 手磨きより時間をかけずにプラークを落としてくれるツールとして『ソニッケアーキッズ」を紹介。
    手磨きより時間をかけずにプラークを落としてくれるツールとして『ソニッケアーキッズ」を紹介。
  • 紙コップの水にブラシを入れて、発生する音波水流の動きを実際にご覧いただく。
    紙コップの水にブラシを入れて、発生する音波水流の動きを実際にご覧いただく。

講演後の参加者アンケートから

Aさん:素晴らしい講演をありがとうございました。歯磨きやうがいの仕方、歯ブラシの選び方など、これまで誤った口腔ケアだったことを実感しました。今日から家族全員で実践していきたいと思います。
Bさん:プラークコントロールの大切さをあらためて知ることができました。今日から気持ちを入れ替えて丁寧に歯磨きしようと思いました。
Cさん:今日から活かせる内容で、とてもタメになるお話でした。日々の仕上げ磨きには苦労しているので『ソニッケアーキッズ』にはとても関心があります。
Dさん:普段から気になっていた歯のことについて、多くの学びをいただきました。特に洗口の回数、水の量の少なさに驚きました。ぜひ子どもに習慣化できるよう毎日の歯磨きに活用したいです。
Eさん:転んで歯が抜けたり折れたりした時、どんな処置をすればどの程度保存できるのか、これまで知る機会がなかったのでとても参考になりました。

デンタルマガジン 172号 SPRING