DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Clinical Report
即時荷重インプラント治療と共振周波数解析装置
昭和大学 歯学部 インプラント歯科学講座 講師/昭和大学歯科病院 インプラントセンター 副センター長 佐藤 大輔

キーワード:即時荷重/良質な初期固定獲得のポイント/ISQ値の解釈方法

■目 次

■はじめに

インプラント治療は、欠損補綴の治療オプションとして欠かすことのできない存在となっている。
昭和大学歯科病院インプラントセンターにも多くの患者が来院され、2019年度の総埋入本数は1155本に上っている(図1)。
今後もインプラント治療は患者にとってますます身近なものとなっていくと考えられる。
近年は、インプラント体の表面性状の改良や、初期固定性の向上、新たな臨床技術の考案などによって、免荷期間を短縮したプロトコールにおいても良好な結果が示されるようになった(図2)。

  • [写真] 昭和大学インプラントセンター(宗像源博センター長:下段右から2人目、筆者:下段左から2人目)即時荷重治療チーム
    図1 昭和大学インプラントセンター(宗像源博センター長:下段右から2人目、筆者:下段左から2人目)即時荷重治療チーム。
  • [グラフ] 初期固定の向上(a)と生物学的固定の獲得促進(b)
    図2 初期固定の向上(a)と生物学的固定の獲得促進(b)により免荷期間の短縮が可能となる。

■即時荷重を成功に導くポイント

即時荷重は、インプラント埋入手術の直後に補綴装置を装着することを指す。
多くの報告が即時荷重の有効性を示唆しており、即時荷重を行うことにより、免荷期間における患者の審美障害、咀嚼障害を軽減することができ、治療期間を短縮することで患者のQOLを向上させることができる。
筆者らのチームでも2008年から即時荷重を積極的に臨床に取り入れており、良好な結果を得ている(図3)。
質・量ともに良好な顎骨に対し、初期固定の減衰を抑え、微小動揺を与えないように、適切なコントロールの下で即時荷重を行うことで、インプラントのオッセオインテグレーション(生物学的固定)の獲得は阻害されないと考えられている。
したがって、良質な初期固定を獲得することが、即時荷重を成功させるためには不可欠である。

  • [写真] 18歳女性、#12矮小歯と#22先天性欠如
    図3-1 18歳女性、#12矮小歯と#22先天性欠如。矯正治療開始(2005年3月)。
  • [写真] 矯正治療終了後#22インプラント埋入
    図3-2 矯正治療終了後#22インプラント埋入。即日暫間補綴装置装着(2008年2月)。
  • [写真] 埋入手術後10年経過
    図3-3 埋入手術後10年経過(2018年7月)。

■共振周波数分析(RFA)装置の有用性

即時荷重を行う際には、インプラントの安定度を定量的に測定し、経時的な変化を確認できる、共振周波数分析(RFA)装置が有用である(図4)。
RFAでは、インプラント体に取り付けた専用パーツを磁気パルスにより振動させ、生じる磁場変化を検出して共振周波数を測定する。
測定した周波数は1~100のインプラント安定指数(ISQ値)に変換されて用いられる。ISQ値の測定は、二次手術時や補綴装置装着時にオッセオインテグレーションの獲得度や荷重のタイミングの判定に用いることも可能である。
即時荷重を行うためのISQ値の目安として、文献によると1歯欠損に対する単冠補綴装置ではISQ値>60~651)、無歯顎に対する固定性補綴装置では、ISQ>602)が挙げられている。
抜歯後即時に埋入されたインプラントに対する即時荷重は、特に患者の審美的要求の高い前歯部において行われており、唇側に十分な高さの歯槽骨が残存している場合は良好な臨床経過が得られることが報告されている3)
抜歯窩にインプラント埋入窩洞を形成する場合には、インプラントと既存骨との接触が根尖側に限局され、多くの場合インプラント頸部は既存骨とのギャップを生じるために、良質な初期固定を得るためには適切な手術技術が必要とされる。

  • [写真] オステルIDx
    図4-1 当科で使用している共振周波数分析装置「オステルIDx」 。
  • [写真] オステルビーコン
    図4-2 コードレスタイプの「オステルビーコン」 。

この記事はモリタ友の会会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り 936 文字

モリタ友の会無料会員に登録する
ログインする

デンタルマガジン 177号 SUMMER