DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Contribution
患者説明に活かすCBCT画像
天川デンタルオフィス外苑前 天川 由美子

■目 次

■はじめに

当初CBCTは、インプラントなど外科処置の診断中心に用いられていた。画像センターの予約を取り撮影して画像データを送ってもらっていたのはついこの間のことである。画像精度が上がり撮影範囲の選択肢も増し、撮影機器がコンパクトになるにつれ徐々に一般開業医院に取り入れられるようになった。当院では遅ればせながら2017年に導入した。これは高解像度・ボクセルサイズ80μmで撮影可能な「Veraview X800」(モリタ製作所)が当院の小さなX線室に入るサイズになったからである。購入のきっかけは歯内療法の診査診断そして治療計画にCBCT画像を活かしたいという思いからである。ようやく当院ですぐにCBCT撮影が行える喜びでいっぱいであったことを覚えている。
Veraview X800はさまざまなFOV(Field of View)を選択できるのが特徴で、歯内療法の診査においては最小のφ40mm×H40mmで全く問題ない。このサイズのパノラマ実効線量の比較を図1に示す。デジタルパノラマ5枚弱分で3D画像を確認することができることを意味する。
当院の患者で歯内療法の診断のためにCBCT撮影を行うことを拒否する患者は今のところ皆無であるが、知識としてAAE(American Association of Endodontists)とAAOMR(American Academy of Oral and Maxillofacial Radiology)が共同で発表している基本方針に目を通しておくのも良い。この基本方針の中で特に再根管治療と外科処置において推奨されているものを図2に示す。他にも多くの報告で歯内療法に関するCBCT画像診断の有効性や重要性が報告されている。

  • パノラマとCBCTの実効線量
    図1 パノラマとCBCTの実効線量
  • 再根管治療と外科処置においてCBCT撮影が推奨されるもの
    図2 再根管治療と外科処置においてCBCT撮影が推奨されるもの

■歯内療法の診断にCBCT画像を活かす

歯内療法の診断はもちろんCBCT画像診断のみではなく、通常通りの視診、触診、冷温痛、圧痛、打診痛、プロービング診査、デンタルX線写真などが必須である。これらの診査に加えてCBCT画像も診断に活用することでより正確な診断、治療計画や予知性などを考えることができる。下に症例を示す。
症例1図37):40代男性 主訴:右上第一大臼歯の違和感
根管治療済歯、慢性根尖性歯周炎と診断し、再根管治療及び外科的歯内療法を行った。
症例2図815):40代男性 主訴:左下第二大臼歯の違和感
他院で抜歯と診断されセカンドオピニオンで行った歯科医院からの紹介。根管治療済歯、慢性根尖性歯周炎と診断し、再根管治療を行った。以前の根管治療による近心根の根管形成を修正するのが難しく、初めて治療途中にもCBCT撮影を行った。そこで方向は間違っていないことやかなり根尖まで近づいていることを確認し、再度チャレンジしようやく正しい根管にファイルを通すことができた。症状も改善し胸を撫で下ろした思い出の症例である。

  • [写真] 症例1:術前
    図3 症例1:術前。根尖部に透過像を認める。
  • [写真] 再根管治療直後
    図4 再根管治療直後。
  • [写真] 根管治療時
    図5 根管治療時、大量の排膿を認めた。
  • [写真] 根管治療術後半年経過
    図6 根管治療術後半年経過。症状は軽減したものの違和感が残っていたためCBCT撮影。頰側根と上顎洞に炎症像を認め、外科的歯内療法を計画。
  • [写真] 外科的歯内療法後約3ヵ月後
    図7 外科的歯内療法後約3ヵ月後。骨様組織が観察され治癒傾向を認める。
  • [写真] 症例2:術前
    図8 症例2:術前。
  • [写真] ファイル試適時
    図9 ファイル試適時。ファイルが誤った方向に進んでいる。
  • [写真] ファイル試適時
    図10 ファイル試適時。ようやく正しい根管が見つかり患者とともに喜んだ。
  • [写真] 術直後
    図11 術直後。
  • [写真] 術後約半年後
    図12 術後約半年後。治癒傾向が確認できる。
  • [写真] CBCT写真(水平断)
    図13 CBCT写真(水平断)。左より術前、根管治療中、術後。
  • [写真] CBCT写真(歯列平行断)
    図14 CBCT写真(歯列平行断)。左より術前、根管治療中、術後。
  • [写真] CBCT写真(歯列横断)
    図15 CBCT写真(歯列横断)。左より術前、根管治療中、術後。

■最後に

CBCTを導入することにより、診断や治療計画もシンプルになったと同時によりわかりやすく患者説明が行えるようになった。2DのデンタルX線写真と3DのCBCT画像の違いは一目瞭然である。根尖病変が治っていることを確認できた時は、患者だけでなく筆者やスタッフ共に「お~、治っている!」と一緒に感動することができる。歯内療法は当たり前のことを当たり前に行えば比較的成功率は高いのではないかと考えている。今の筆者の臨床において、CBCTは欠かせないものとなっている。
一方根管の残存歯質が薄く病変が非常に大きい場合や破折歯など、歯内療法の予知性が低いまたは保存不可能である場合も、マイクロスコープ動画とCBCT画像で患者説明は簡単になった。余談ではあるがインプラント症例もVeraview X800の導入をきっかけに明らかに増加したことも追記しておく。

参考文献
  • 1) 泉 英之.特集 CBCTの有効性 歯内療法におけるCBCT(3DX)の有効性.デンタルマガジン150号AUTUMN .2014.9.1発行
  • 2) https://cir.morita-mfg.com/dose_jp/professional-detail-veraview-X800.php
  • 3) AAE/AAOMR Joint Position Statement: Use of Cone Beam Computed Tomography in Endodontics-2015/2016 Update. https://f3f142zs0k2w1kg84k5p9i1owpengine. netdna-ssl.com/specialty/wp-content/uploads/sites/2/2017/06/conebeamstatement.pdf
  • 4) Chogle S, Zuaitar M, Sarkis R, et al. The Recommendation of Cone-beam Computed Tomography and Its Effect on Endodontic Diagnosis and Treatment Planning. J Endod 2020;46:162-8.

デンタルマガジン 177号 SUMMER