DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Field Report
患者さんを笑顔へと導く、高濃度フッ素配合ペーストを活用したPMTCの一例
宮崎県宮崎市 医療法人隆和会 谷山歯科医院 歯科衛生士(フリーランス) 谷山 香織

■目 次

[写真]副院長 山道 研介
宮崎県宮崎市
医療法人隆和会 谷山歯科医院
歯科衛生士(フリーランス)
谷山 香織

私たち歯科衛生士は、初診であっても、過去の治療痕跡や当日収集した問診結果、医療情報から「このまま放置していたらどうなるか」という未来を予測できます。そこで、当院のコンセプト「患者さまおひとりおひとりを素晴らしい笑顔に」するためには何が必要かを具体的にイメージしながら患者さんの行動変容を促すと同時に、お口の状態改善に必要なツールやテクニックを駆使してアプローチしていきます。
実際の症例を見ながらご説明しましょう。この方は60代女性、歯のクリーニングがご希望でした。口腔内を拝見したところCR充填の痕跡が所々に見受けられ、セメントエナメルジャンクション(CEJ)より歯肉が少し退縮してきていることから、将来的に根面カリエスの影響が出てくる可能性も見受けられました。問診の結果、当院は初めての受診で、セカンドオピニオンを求めて、久しぶりの歯科医院受診ということが分かりました。
私たちは、初診の患者さんの場合、ご自身の口腔内に関心を持っていただくためにどうすればいいかをまず考えます。この方の場合、主訴は歯のクリーニングですから、現時点ではお口の状態にある程度関心をお持ちと考えられます。そこで今日何か一つでもモチベーションアップにつながる要素をお伝えすることができれば、今後のメインテナンスまで定期的に通っていただけると判断し、そこをゴールに設定しました。
まずPMTCペーストには研磨効果を期待して「LUNOSプロフィーペースト2in1」のうちフッ素濃度1500ppm配合のミントを選択、歯磨カップにはヤングデンタル「プロフィーカップエリートフレックスロングLF」を使ってPMTCを開始しました。
LUNOSプロフィーペーストは高濃度のフッ素(1500ppm)が配合されているので以前からとても興味がありました。フッ素濃度1000ppm以上の歯磨剤では、フッ素濃度が500ppm上昇するごとにう蝕予防効果が6%ずつ上昇することが明らかになっていて、これからの成人のう蝕予防には欠かせないものです。
2in1ペーストは、1本で粗研磨から最終研磨まで可能な効率的なペーストです。研磨前は濃いブルーだったものが研磨するうちに薄い水色へと変化していくことが特徴です。この薄い水色になった時点で粗研磨から艶出しの段階へと移ったことが施術側にも分かりやすくとても重宝しています。通常はこの2in1ペースト1本で終了するのですが、今回は患者さんのさらなるモチベーションアップを期待して、仕上げ用の「LUNOSプロフィーペースト スーパーソフト」のオレンジを使って、より滑沢で艶のある歯面を目指しました。
PMTC終了後に確認してもらったところ「とてもキレイになりました。今日来院して良かったです」ととても喜んでいただき、次回の予約も入れていただきました。その後、歯肉退縮や以前CR処置した褐線部分は着色しやすく、PMTCでは除去しにくいことを説明し、仕上げとして後日「エアーフローハンディ」による自費メインテナンスを提案したところ、快く了承いただけました。
[写真] 医療法人隆和会 谷山歯科医院のスタッフたちさらに当院では、PMTCに使用した材料を治療用トレーにおいて1つずつご説明し、同時に患者さんの口腔状態に合わせたセルフケア製品もお薦めしていますが、この患者さんには、フッ素濃度1450ppm配合でう蝕予防効果の高い「Check-Up standard」を就寝前に、さらに歯の美白効果が期待できる「Brilliant more」を朝のエチケット用にお薦めしたところ、その使い分けをご理解いただき両方購入していただきました。
以上、当院におけるアプローチの一例をご紹介しましたが、患者さんによって主訴や症状は様々です。まず私たちにできることは、「お口のプロフェッショナル」として知識と技術の研鑽を続け、それをもとに患者さんとの信頼関係を築くことからスタートします。私もまだまだ道半ばですが、私たちが口腔ケアを心から楽しいと感じることで、それだけ患者さんのお口の中もキレイにハッピーになると信じて、この仕事を楽しみながら続けていきたいと思っています。

私が考える『予防歯科』とは

私が敬愛する北里柴三郎先生が『医道論』という演説原稿の中で「人民に摂生保健の方法を教え体の大切さを知らせ、病を未然に防ぐこと」と、予防医学の重要性を説いています。私はこの言葉に大きな感銘を受けると同時に、まさに私たちが日々行っている口腔衛生指導と相通ずるものがあると感じました。人には通常28本あるいは32本の歯がありますが、う蝕や歯周病などによって歯を失う方はたくさんいらっしゃいます。そしてそれを未然に防ぐために私たち歯科衛生士の存在意義があると感じています。私も「お口のプロフェッショナル」を目指して邁進してきましたが、歳を重ねるほどにその奥深さを実感します。完璧な予防には遠く及びませんが、患者さんの口腔内をつぶさに観察し、“今日この時間この瞬間に”私ができることを実直に取り組んでいきたいと思っています。

  • [写真] PMTC前の下顎前歯部の状態
    図1 60代女性。クリーニングを主訴に来院。PMTC前の下顎前歯部の状態。
  • [写真] 「LUNOSプロフィーペースト2in1」での研磨
    図2 「LUNOSプロフィーペースト2in1」は短時間で粗研磨から最終研磨に移行できる。
  • [写真] 「LUNOSプロフィーペースト スーパーソフト」オレンジを使って仕上げ研磨
    図3 さらに「LUNOSプロフィーペースト スーパーソフト」オレンジを使って仕上げ研磨。
  • [写真] PMTC後の下顎前歯部の状態
    図4 PMTC後の下顎前歯部の状態。ステインは除去され自然な歯の白さを回復している。
  • [写真] PMTC前の上顎口蓋面の状態
    図5 PMTC前の上顎口蓋面の状態。
  • [写真] ヤングデンタル 「プロフィーカップエリートフレックスロングLF」での研磨
    図6 ヤングデンタル 「プロフィーカップエリートフレックスロングLF」は柔軟性が高く歯面にフィットしやすい。
  • [写真] PMTC後の上顎口蓋面の状態
    図7 PMTC後の上顎口蓋面の状態。下顎前歯部同様、ステインは目立たなくなっている。
  • [写真] 「エアーフローハンディ」を用いた歯面メインテナンスの様子
    図8 後日行われた 「エアーフローハンディ」を用いた歯面メインテナンスの様子。
  • [写真] PMTCに使用した製品とセルフケアにお薦めの歯磨剤やデンタルリンスをご紹介
    図9 PMTCに使用した製品とセルフケアにお薦めの歯磨剤やデンタルリンスをご紹介。
  • [写真] 受付には数々のセルフケア製品がディスプレイされている
    図10 受付には数々のセルフケア製品がディスプレイされている。
  • [サムネイル] クリーニング終了判断の目安~LUNOSペーストの色調変化~
    「クリーニング終了判断の目安~LUNOSペーストの色調変化~」の動画はこちら
  • [サムネイル] プロフェッショナルケアの一例~パウダークリーニングから仕上げまで~
    「プロフェッショナルケアの一例~パウダークリーニングから仕上げまで~」の動画はこちら

デンタルマガジン 177号 SUMMER