DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Clinical Report
マニー新型根管探索用ファイル「グライドファインダー」の特徴と臨床応用
フリーランス 歯内療法専門 MicroPex 所属 PERF-Japan 主宰 中川 寛一

キーワード:根管探索用ファイル/パスファインディング/T&Pモーション

■目 次

■グライドファインダー

 根尖経路の確保(以下 パスファインディング)を目的としてファイルを根管にすすめた場合に生じる、へたり(座屈:buckling)は根尖根管を開削するための力を効率良く伝えるための障害となる。そのため筆者はファイルを回転することとファイル先端の座屈に対する先端強度の向上を目的とし、Kファイルをベースにした新たなファイルの開発と製品評価をマニー(株)と共同で進めた。この開発には、自身の臨床におけるHファイルによる探索実績と先端強度の向上など試作品の検討をはじめ、パスファインディングに関する様々なノウハウを活かした。
このファイルは、当初座屈を考慮し先端強度の向上を図るためにKファイルの横断面形状のまま.03テーパーを与えたが、試作品の段階でさらにファイルのしなやかさを求めたいという考えから、実際に穿通、拡大に関与する先端部3mmの位置から段階的に横断面形状が可変する構造(長方形化)を採用した。
こうして誕生した「グライドファインダー」は穿通能力、座屈強度の向上による優れた根管探索性そしてしなやかさと切削能力を生かし予備拡大までを可能とするファイルとなった。これは新たな発想の根管探索用ファイルである(図1)。
グライドファインダーは以下のような特徴を持っている。
① 優れた先端切削性→根管をとらえる
② 探索、穿通性→座屈強度の向上
③ 先端部可変テーパーによる強いファイル刃部→座屈強度の向上
④ 可変横断面形状→根管追従性の向上
ファイルは先端刃部が#08、#10および#15の3種類に中間ファイルとして#12を追加し、21mmと25mmの長さが提供されている。
グライドファインダーはファイル先端部のテーパーが3mmの位置まで3%と大きく設定してある。このため座屈強度も大きくなりファイル先端に対する力がかけやすく、座屈荷重も大きくなることからターンアンドプル(Turn & Pull motion:以下 T&P)によるパスファインディングに理想的な形状であるとも言える。
実際の使用方法としては根尖経路を確認したい根管の延長方向に対する操作、または根管壁の開口部を探索するために、ファイル先端部に充分な力をかける必要がある。
一方、積極的な穿通能力を具備するインスツルメントは根管壁のどこにでも食い込み、その応用が難しい。手用インスツルメントから伝わる感覚がフワフワとしたソフトなものか、行き詰まりを感じるコツコツとしたものか、それらの中から有効な経路を見つける感覚を重要視したい(図23)。

  • [写真] グライドファインダー
    図1 グライドファインダー #08、#10、#12、#15の各サイズで21mm、25mmが発売される。
  • [写真] 根尖部の病理組織像(1)
    図2 根尖部の病理組織像(1) 根尖彎曲部の拡大像、根尖孔までファイルは到達していない。根管内には息肉の侵入、および根尖孔を中心とした炎症性肉芽組織の形成が認められる。
  • [写真] 根尖部の病理組織像(2)
    図3 根尖部の病理組織像(2) 根尖C-Dジャンクションで根管は彎曲し根尖孔への器具の到達は確認できない。根尖部を中心に小膿瘍の形成、根管内への肉芽組織の侵入が認められる。

■NiTiファイル

NiTiファイルは根管追従性、切削性、規格形成性に優れ、素材の安定性と相俟って現在根管形成における日常臨床に取り入れられるとともに臨床選択肢の一つとして位置づけられている。
もとよりNiTiファイルは根管経路を探索し、切削し確保する能力はない。NiTiファイルを使用する目的はプレデファインドテーパーのファイル形状を根管に与え根管形成を行い根管充填ための入れもの作りを行うことである。
NiTiファイルによる根管形成にあたっては開拡窩洞―根管口―根尖孔に至る根管経路の確保・確立が根管形成を行うにあたっての必須条件である。
そのための正確な根管長の決定は根管形成の第一歩である。しかしながら根尖孔に至るまでのパスファインディングには根管形態、組織学的構造物など様々な障害を伴うことも多くその決定は容易ではない。
パスファインディングには、先端の切削性だけでは問題は解決しにくい。既存根管への進入と根管内でのファイルの安定維持を得ることがパスファインディングをより確実に行うために重要である。
イニシャルファイルとして従来パスファインディングに使用してきた#15あるいは#20のHファイルにおいては初期の食い込み、そして経路を確保する以前に先端に座屈が生じ根尖に向かう充分な加圧を得ることができない他、何本ものファイルを無駄にすることが少なくなかった。
また座屈したファイルを繰り返し使用することにより、さらなるファイルの変形と相俟って最悪破断することもあった(図4)。

  • [図] 患者さん紹介の1/4は「根管が開かない」である
    図4 患者さん紹介の1/4は「根管が開かない」である。もちろんファイルの性能で全てが解決できる訳ではないが、ファイルのスペックへの依存は大きい。

■根管探索用ファイルの重要性

根管探索に特化したファイルには、① 先端切削性 ② 耐座屈性 ③ 根管内での安定性 ④ 根管開削方向の規定が求められ、現在本目的には多様な手用ならびにエンジン用のファイルが応用されている。これらはいずれも先端切削性に優れるが座屈特性には大きなばらつきと実際の根管探索に対する使用感には相違がある。
ファイル軸線上に加重し回転力を加えることによって切削・探索を行う操作は座屈を生ずるが、ファイルサイズには規定があるため同一サイズで座屈荷重を増加させ“硬さ”を与えるためにはテーパーを付与することが望ましい。
もとより根管を開けるという操作においてはファイル先端の刃部における安定が重要であり、経験上臨床的には先端部の切削性やしなやかさはパスファインディングに影響しない感覚がある。もっともこれには根管内におけるファイル操作の重要性が関与していると思われる(図56)。
根尖穿通能力に特化したファイルがいくつかのメ-カ-から発売されているが、これらは主に根管の通過傷害に対するパスファインディングに使用するもので、ファイル尖端部におけるカッティングエッジを特徴とし単体での根管切削能力を有することを特徴としている。作業長の設定を困難にする通過傷害(block)としては軟組織(歯髄残渣)や硬組織(切削粉)などの目詰まりの他に根管狭窄、彎曲、石灰化などの生理学的変化があげられる。これらを排除して根尖経路を確保するためには根管形態の把握のみならず適切なファイルモーション、根管清掃材の選択そしてマイクロスコープ等視覚機器の応用が重要である。ファイルの切削・穿通能力にのみ頼ると根管内に不整形態を生じ根尖経路の設定がかえって困難になりかねない。

  • [写真] グライドファインダーの断面構造
    図5 グライドファインダーの断面構造。先端部3mmまでは穿通に必要な剛性を確保するために.03テーパーを与え正方形の断面形状とし、以降の刃部はファイルに柔軟性を与え根管への追従性を確保するために長方形の断面形状とした。
  • [図] グライドファインダーの先端剛性としなやかさ
    図6 グライドファインダーの先端剛性としなやかさを示す。パスファインディングに際してはこれらの特徴を生かし、先端部に効率よく力が伝達されるように留意する。

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デンタルマガジン 178号 AUTUMN