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Interview
スタッフの「困りごと」は効率化のヒント!受付の会計業務を自動化し、働きやすい職場に
峰歯科・矯正歯科クリニック(三重県伊賀市) 院長 峰 啓介

■目 次

[写真] 峰 啓介 院長
峰歯科・矯正歯科クリニック(三重県伊賀市)
峰 啓介 院長

「働きやすい職場」が重視されるなかで、院内の業務改善や効率化に悩まれる医院様は多いのではないでしょうか。今回は早い時期から医院の「効率化」を進め、経営面でも大きな成果を上げておられる峰啓介先生に、取り組みの一つをご紹介いただきました。

■面倒な会計業務は自動精算機にお任せ受付の混雑や計算ミスも防げる


――「働きやすい職場」について、峰先生の取り組みをお聞かせください

2006年に2代つづく実家の歯科医院を継承しました。そこで院内のオペレーションを見直し、スタッフとともに業務の「効率化」に取り組んでいます。働きやすい職場の条件には「人間関係」と「オペレーション」の2つの要素があると思います。人間関係では私も診療中は真剣ですから、時にはスタッフに厳しく接することもあります。その真意を理解し、みんながついてきてくれるのはありがたいと思っています。
また、オペレーションでは「面倒」「大変」「時間がかかる」といったスタッフの「困りごと」にいち早く耳を傾け、どのように解決していくかを常に考えています。そのためにも日頃からスタッフに気軽に話しかけ、ついでに「困ったことはない?」と聞くようにしています。これまでの経験から、個人面談などでは本音を聞き取りづらく、日常のさりげない会話の中にこそ、多くのヒントが隠れていると感じています。

――受付業務を効率化されたのはなぜですか

診療エリアの「効率化」を進めていくうちに、患者さんの数が次第に増えていきました。そうすれば受付が混雑するのは目に見えています。以前から受付スタッフが診療後も遅くまで残っているのが気にかかり、話を聞くと「診療後のお金の計算が合わない」ということでした。「これは何とかしなければ…」と思いました。そもそもお金を計算する手間が省けたら、計算ミスはなくなります。そこで最初に導入したのが「自動釣り銭機」です。おかげでこの問題は一気に解決しました。 ただ、釣り銭機だけでは受付の根本的な混雑解消にはなりません。とくに当院は一度に3~5名のご家族連れの患者さんが多くお越しになります。家族でも会計は一人ずつになりますからどうしても行列ができます。これを解決するため、2019年には「自動精算機TEX-77」を1台導入しました。実は以前から大規模病院に設置されている自動精算機に注目していました。当院も電子カルテレセプトシステム「DOC-5」と連動できるものを探していたところ、モリタで取り扱っていることを知りました。自動精算機は保険診療の会計専用に活用し、窓口の混雑解消や患者さんの待ち時間の短縮に役立てています。
なかでも、受付スタッフの「お金の計算が合わない」というストレスを軽減できたことが大きかったと思います。私からすると、彼女たちはコミュニケーション能力が高くて、仕事もぶりも優秀です。それにもかかわらず、「自分は計算が苦手だから受付に向いていない」と思い込んで、会計業務にコンプレックスを感じていたのです。本来の受付業務は「予約を取る」ことですから、それには計算能力よりも、コミュニケーション能力のほうがはるかに大切です。スタッフの声を現場の改善に生かせて良かったと思います。

――予約システムもデジタル化されたそうですね

[写真] 峰歯科・矯正歯科クリニックのスタッフたち
女性スタッフのライフプランに合わせたサポートも手厚く、長く安心して働ける環境が整えられている。

それまで1枚の紙の予約表に1日の予定を書き込み、診察エリアにも予約表のコピーを置いて対応していました。紙の予約表そのものは、シンプルで使いやすく気に入っていたのですが、予約の電話が増えるにつれて、デジタル化を考えざるを得なくなりました。たとえば、複数の電話が同時に鳴ると、アポイント帳は一つなので、スタッフ複数人でアポイント帳を見る必要があり、対応が大変になります。
一方で、やはり現行のレセプトシステムとの兼ね合いから、デジタル化への不安や躊躇もありました。そのため、WEB予約システム「Genifix(ジニフィクス)」に決めた理由も既存システムと簡単に紐づけできることが一番でした。また、紙の予約表のスタイルをそのままデータ化しているので、端末上でもすぐに使えて非常に助かっています。
現在は受付のパソコンのモニターに加え、診療エリアに置いている3台のタブレット端末で、全体的な予約状況を把握し、手の空いているスタッフが誰でも、どこからでも予約の電話を受けられるようになりました。予約変更も診察券ナンバーで検索できます。患者さんがご自分の予約日時を覚えていなくても、すぐに履歴を確認できるので、対応するスタッフにも喜ばれています。
当院では、再診の予約は診療内容により、補綴物の完成日などを考慮する必要があるので、これまで通りの医院主導の予約制にしています。また、患者さんの任意で当院のGenifix LINE連携オプションに登録いただくことで、予約日の前日や定期検診時期にお知らせ通知をしたり、患者さん自身が予約を確認することもできます。このおかげで無断キャンセルの患者さんは圧倒的に少なくなりました。

■効率化のための投資は時間とお金を生み安定した雇用にもつながる

――現在の1日の患者さんはどれくらいでしょうか

1日あたり60~80名、多い日は90名になることもあります。当院のスタッフは、歯科医は父と私の2名、歯科衛生士は9名、歯科助手4名(うち2名は保育士兼)、受付4名(うち1名は通訳兼)です。
常時7台のチェアユニットを稼働し、あえて担当制や診療用とメインテナンス用のユニットの区別はしていません。予約を入れる時に診療とメインテナンスのバランスを考え、診療当日はユニットが空き次第、患者さんをご案内するシステムにしています。
保険治療中心の歯科治療に取り組んでいった結果、患者さんが増え、どうしても「効率化」が必要不可欠となりました。保険診療の患者さんは通い続けていただけることが多く、自費治療中心より保険治療中心の経営の方がリスクが少ないと考えています。
患者さんが増え、「効率化」に取り組んだ結果、売上も増えました。実際に私が継承した後、医院の売上は約4倍に伸びています。そのため受付エリアにとどまらず、診療エリアでも早くから速乾性の高い歯科用セメントやタービン滅菌器の導入など、効率を良くするための歯科材料選びや機器への投資を意識してきました。これは単純にスタッフの思いを叶えたり、働きやすさのためだけでなく、業務の効率を確実に上げてくれています。また、それは時間やお金を産み、歯科医院の利益につながっていると思います。

  • [写真] 予約状況を一括管理できるWEB予約システム「Genifix」
    予約状況を一括管理できるWEB予約システム「Genifix」。Genifix LINE連携オプションの配信サービスの活用で無断キャンセルも減少。
  • [写真] 診療とメインテナンスの予約状況を色分けして表示
    診療とメインテナンスの予約状況を色分けして表示。1日のスケジュールも一目で把握できる。
  • [写真] 診察エリア
    診察エリアのパソコンやタブレット端末で、複数の予約の電話にもスムーズに対応できる。
  • [写真] 設置された自動精算機
    「以前から大規模病院の自動精算機に着目していた」という峰先生のアイデアで同院の設置が実現。
――院内の効率化を検討されている先生にメッセージをお願いします

受付に自動釣り銭機を導入されている歯科医院は多いと思いますが、自動精算機になると圧倒的に少なくなるのではないでしょうか。「三重県内の歯科医院で当院が初」といわれているぐらいですから(笑)。ただ、「受付でお金のやりとりがなくなるだけで、かなり効率化する」というスタッフの実感は大きいです。他の医院様でも精算業務の自動化などへの潜在的なニーズはあるかもしれません。
たとえば歯科業界では、女性は結婚や妊娠のタイミングで退職することが多く、短期間で次の人を探したり、ある程度のレベルに育成することはなかなか困難です。ちょうど当院では受付のスタッフが産休に入っていますが、受付が一人減っても、次の人を雇うことなく、自動釣り銭機や自動精算機、WEB予約システムが、一人分の役割を果たしてくれています。
こうして普段から業務を効率化、簡略化しておけば、院内のスタッフのなかで業務をカバーし合い、お互いの雇用を守ることができます。そうすれば、若いスタッフも将来のライフプランを描きやすいのではないでしょうか。その意味でも効率化につながる投資は惜しみません。スタッフ一人ひとりの人生を考えれば、むしろ必要な投資だと思います。

  • [写真] 簡単会計が可能な自動釣銭機
    簡単会計が可能な自動釣銭機。左の「セルフレジ 380シリーズ」は領収書や医療明細書の発行も可能となっている。
  • [写真] 自動精算機は保険診療専用として活用
    自動精算機は保険診療専用として活用。年配の患者さんもスムーズに会計を済まされていくという。
  • [写真] 峰歯科・矯正歯科クリニックの外観
    3代つづく医院には県内全域から多く来院。業務の効率化は「働きやすい職場」や「売り上げアップ」に繋がる。

デンタルマガジン 178号 AUTUMN