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179号 WINTER 目次を見る

Case Report

上顎犬歯部にTi ハニカムメンブレンを応用した2症例

金沢市開業なぎさ歯科クリニック 理事長 船登 彰芳/副医院長 石倉 千尋

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キーワード:非吸収性メンブレン

目 次

はじめに

筆者らは、抜歯即時埋入が適応ではない審美領域では、抜歯を行い、2、3ヵ月の軟組織の治癒を待った後に、審美的結果を得るための3次元的な骨形態を付与するために、チタンメッシュと吸収性膜を併用した骨造成を行ってきた。現在では上記のような症例を、Tiハニカムメンブレンで対応している。筆者らの臨床実感として、このメンブレンの利点を列記する。
*厚さが20μmで非常に薄く、減張切開量は、比較的少なくすむことができる。
*フレームが付与されているメンブレンを使用することによって、チタンメッシュの代替として使用でき、またベンディングを行いやすく、折りたたんだり、切込みを入れることによって、形態付与が行いやすい。
*ボーンタック併用で固定を行いやすい。インプラント同時埋入の場合、ボーンタックが使用できずとも設置できれば、チタンメッシュの代替として捉えられ、Tiハニカムメンブレンで被覆されていない骨移植材を吸収性メンブレンで被覆することによって、簡便に骨造成が行える。
*わずかな裂開が生じても、感染などのリスクが少ない。
*膜の除去が、簡便である。
しかしながら、あくまでも非吸収性メンブレンであるため、骨造成時の切開、減張切開・縫合などには、熟練が必要であることはいうまでもない。
以下Tiハニカムメンブレンを使用した2症例を提示する。

症例1

上顎左側犬歯唇側転移重度カリエス部位にTiハニカムメンブレンを応用した症例(図18

  • [写真] 初診時
    図1 初診時、上顎左側犬歯部は補綴装置が脱離しており、応急的に接着してある状態であった。
  • [写真] 犬歯・第二大臼歯部にインプラントを埋入
    図2 側方からの上顎挙上術を行って、およそ6ヵ月後、犬歯・第二大臼歯部にインプラントを埋入。
  • [写真] 骨造成を行った
    図3 犬歯部にカウンターオギュメンテーションを目的として、骨造成を行った(推奨されるメンブレンの設置法は表裏逆である)。
  • [写真] 意図した骨造成量を獲得できた
    図4 骨造成より6ヵ月後、意図した骨造成量を獲得できた。
  • [写真] 側切歯部位はPontic shieldを行った
    図5 プロビジョナルレストレーションを装着後、側切歯部位はPontic shieldを行った。
  • [写真] 上顎左側臼歯部側方面観
    図6 上顎左側臼歯部側方面観。
  • [写真] 上顎左側インプラント部位のデンタルXray
    図7 上顎左側インプラント部位のデンタルXray。
  • [写真] 上顎前歯部正面観
    図8 上顎前歯部正面観、右側犬歯部も歯根破折のため、インプラント治療を行っている。

症例2

上顎左側犬歯部に骨造成・第一小臼歯に外科的歯内療法を同時に行った症例(図918

  • [写真] インプラント埋入を行い、暫間アバットメント高さ2mmを設置
    図9 抜歯を行い4ヵ月後、インプラント埋入を行い、暫間アバットメント高さ2mmを設置した。
  • [写真] 骨移植材料を充填し、Tiハニカムメンブレンで被覆
    図10 骨移植材料を充填し、Tiハニカムメンブレンで被覆した(推奨されるメンブレンの設置法は表裏逆である)。
  • [写真] 被覆されていない骨移植材料部位と歯内外科処置を行った部位を吸収性膜で被覆
    図11 被覆されていない骨移植材料部位と歯内外科処置を行った部位を吸収性膜で被覆した。
  • [写真] 可及的にテンションフリーになるように縫合
    図12 可及的にテンションフリーになるように縫合した。
  • [写真] 骨造成後、6週後にわずかな膜の露出を認めた
    図13 骨造成後、6週後にわずかな膜の露出を認めた。感染の兆候はない。
  • [写真] 来院のたびに洗浄を繰り返したところ膜は歯肉で被覆
    図14 骨造成6ヵ月後、来院のたびに洗浄を繰り返したところ膜は歯肉で被覆された。
  • [写真] 十分な骨造成量が得られた
    図15 十分な骨造成量が得られた。
  • [写真] 側方切歯部位には根尖移動術・犬歯部に上皮付きの結合組織移植・第一小臼歯には遊離歯肉移植術を行った
    図16 側方切歯部位には根尖移動術・犬歯部に上皮付きの結合組織移植・第一小臼歯には遊離歯肉移植術を行った。
  • [写真] 最終補綴装置装着後の正面観
    図17 最終補綴装置装着後の正面観、反対側同名歯と調和のとれた組織をインプラント周囲に獲得できた。
  • [写真] 最終補綴装置装着後のCT像
    図18 最終補綴装置装着後のCT像(使用CT:トロフィーパンプロ)。インプラント周囲に十分な骨造成を確認できる。

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