フリーランス歯科衛生士
沢口 由美子
「なんじゃこりゃ!?」と思いました(笑)。これまでの替ブラシは一つひとつの穴に束になって植わっていて、ヘッドの大きい「プレミアムシリーズ」の場合、その分振幅の幅も大きいので歯と歯の間もしっかり磨いてくれる感覚がありました。でも「オールインワンブラシ」はこれまでとは違ってまるで“壁のように”植わっているので「磨いたらどうなるんだろう?」と感じました。
驚きました! はじめは自分の歯肉の状態は悪くないと思っていたのですが、磨いてみると少し痛かったんです。「痛いってどういうこと?」と思って、どこが当たっているのか、ブラシをもう一本持ってきて触ってみると、外周の毛の部分が当たっていました。だんだん慣れてきて結構いい感じに当てられるようになりました。そのあとはオールインワンブラシばかり使っていましたね。ただ、患者さんには「先端のオレンジ色の部分をこうやって当ててください」というふうに当て方はきちんと指導してあげた方がいいと思いました。
そうなんです。例えば大臼歯のポケットが深い患者さんの場合「ブラシを立てて先端のオレンジ色の毛の部分だけを当ててみて」と指導してもいいと思います(図2)。小臼歯や大臼歯の場合、歯と歯の間の隣接が深い部分にも入りやすいので、ブラシ中央のオレンジ色の毛束が歯面に当たって、外周のブラシ先端が歯間部の隣接部分や歯頸部にも深く入って「おっ! これいいな」と感じました。
そうですね。大臼歯のポケットが深い患者さんには先端のオレンジ色の部分で磨くよう指導しますが、通常の方なら中央のオレンジ色の部分と青色と白色の部分を磨きたい歯面に当ててもらえばいいと思います(図3、4)。中央のオレンジ色の部分が風車みたいになっていておもしろいですね。この部分がきっちり歯面に当たってくれそうです。あと、ブラシの色をエリアごとに変えているのがいいですよね。前の部分をオレンジ色にしてかかとの部分を白色、真ん中に青色の毛束※があるじゃないですか。その色を目安に磨き方の指導ができそうです。
青い毛の部分が中心に来るようにするとオレンジ色の毛の頂点とかかとの白い毛の頂点が歯間部に入るんですよ(図5)。大きいブラシはこれができるんです。当てる際には「軽く浮かせる感じでやさしく当ててください」と指導してあげるといいでしょう。殺菌成分がある歯磨剤を使えば歯間部分にもその薬効成分が入っていくと思います(図6)。
さっそく、ソニッケアーを長年使っている男性の患者さん2人に試してもらいました(図7~11)。一人はヘビースモーカーですけど、タバコを吸っていない時のように口の中がキレイになっていました。ヤニがつかない感じで、歯肉の状態も悪くないです。超音波スケーラーのチップをポケット中に入れると少し出血しますが、意外と大丈夫で「このブラシ、やるじゃん!」と感じました。
私はブラシの種類が多いと「楽しい」と思えますし、新しいブラシは必ず試すようにしています。そして、多くの歯科衛生士さんにも、ぜひすべて試して欲しいと感じています。「歯ブラシのプロフェッショナルだったらどの歯ブラシにも精通してほしい」と思うわけです。自分が「いいな」と思ったブラシをお薦めすることはもちろん大事ですが、いろんなブラシを試したうえで判断して欲しいですね。
そこなんですよ。「インターケアー」が歯並びが悪い方向けというのは分かりやすいですが、それでずっと磨き続けるのかというと、それは違うと思います。要はその時の口腔内状況やその患者さんにとって磨きやすいブラシ選択することが大切だと考えています。ですので、その状況によって替ブラシの種類を変えた方が良いと思った段階で「インターケアーをずっと使ってらっしゃいますが、そろそろ別のブラシ、例えば「プレミアムシリーズ」(図12)にしてみませんか?」と提案することによって患者さんのモチベーションも維持できると思います。こうした私の方法が、歯科衛生士の皆さんのご参考になれば幸いです。
※青色の毛束はブラシ交換サインの役割もあり、交換時期になると色が薄く抜けてきます。