当院におけるCTを用いた Digital Work Flowの中で一番多いのはインプラント治療の診断とDental Implant Surgical Guideの作成である。
通常全顎撮影は2方向スカウトにて、部分的な4×4、4×8はパノラマスカウトを主に用いて撮影する。最終的なSurgical Guideの形態を想定して撮影障害陰影を生む隣在歯や対合歯の金属を用いた補綴物はあらかじめ外した上でCT撮影を行う。
同時にCEREC Primescanでスキャンパスに沿って口腔内撮影を行う。CT撮影によって得られたDICOMデータとCEREC Primescanで得たSTLデータをDentalWing社 coDiagnostiXにインポートしてSurgical Guide作成する。この際インプラント手術の基本となっているTop-down treatmentの考え方からソフトウエア上でバーチャルティースを作成して補綴スクリューの埋入方向を決定しそれに伴いインプラントの太さと長さ外形を決定していく。
インプラントの埋入ポジションが決まったら、次にGuideの厚さと挿入圧を決定し、フィッティング精度確認用の窓を何箇所かに設置し、使用患者名を記載したらインターネットでデータを送付する。2日ほどして設計したガイドが到着したら患者の口腔内に装着し、適合具合を口腔内から確認して4×4の最小サイズで予定通りの位置にスリーブがきているか確認する。
また、Surgical Guideができあがると同時に、今回使うインプラントドリルの回転数やトルク値、注水量などがドリルステップごとにワンタッチで移行できるQR codeができあがる。
それをBianAir社のSurgical Morter ChiroProにてiPadのカメラで読み取りを行う。また、インプラントパッケージに付いているQR codeを読み取ることで使用インプラントのロット番号やサイズ、使用期限に至るまで瞬時に情報を読み取ることができる。
さらには実際にオペをスタートすると術中記録としてモーター作動中の回転数、トルク値、注水量を記録し、PDFとして後でプリントアウトすることができる。
埋入後規定期間の経過とともにオステオインテグレーションが確立したことを確認した後、専用のスキャンボディーを装着し再びCEREC Primescanにて補綴装置作成のためIOSを用いてスキャンする。
ここからは以前はTi-Baseを用いてインプラントの上部構造体を作成していたが、現在はアトランティスカスタムアバットメント作成と同時にCAD Dataが3shape用、CEREC用、Exocad用、凡庸用としてSTL Dataが使えるように出てくる。これを使ってCERECでカスタムアバットメントに合う外冠を作って行く。
カスタムアバットメントのマージンはすでにCAD上で示されるため最適なマージンラインを引くことができる。これをもとにテンポラリークラウンを作成する。このテンポラリークラウンを調整装着し数日実際に口腔内で使って最適な形・咬合形態に仕上げていく。
患者からのヒアリングと口腔内の咬合状態で満足したらテンポラリークラウンを外さずにCEREC Primescanにて再度スキャニングを行う。
このデータはCEREC SW上では合成できないため、ここからExocadの設計ソフトceramil mindに移行して合成していく。
既にテンポラリークラウンで作成したデータをinboxを経由してSW上に取り込みマッチングしていく。SW上で高さや幅をテンポラリーデータに限りなく近づけたら「元データを反映する」という項目にチェック入れて最終形態の咬合面を反映して削り出しに移る。
その後、ジルコニアディスクにネスティングしてミリングしていく。シンタリングファーネスに入れる前に形態修正から研磨ポイントで大まかな研磨までしてから窯の中に入れるようにする。
マルチカラーのディスクであれば特に過度なキャラクタライズは行わずに中研磨、仕上げ研磨でセットしていく。
最終フィッティングはX線上でも確認を行う。