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Clinical Report

SMT・ダイアグノデント ペン・アーウィンアドベールEVOを組み合わせた治療 -ダイアグノデント ペンを用いた再補綴への可能性-

ノエル歯科医院開業(茨城県) 塩谷 公貴

キーワード:光学機器の併用/優しく正確なう蝕治療/見えない場所を数値で可視化

■目 次

はじめに

本院では、う蝕治療を低侵襲で行うことのできるEr:YAGレーザーを使用しているが、診断用のレーザー機器と組み合わせることで患者と患者の歯への負担を軽減している。光学機器の進歩により歯科治療も大きく変化をしている。例えば、レーザー歯科治療がその最たる例だろう。Er:YAGレーザーによるう蝕蒸散によって、う蝕治療も大きく変わってきた。Laser TherapyがLight Therapyと呼ばれるようになり光学機器の応用は治療だけでなく、診断にも広がってきている。
本稿では、本院での3種類の光学機器(SMT・ダイアグノデント ペン・アーウィンアドベールEVO)を用いた口腔内の状態の見える化やう蝕治療についてご紹介したい(図13)。

  • [写真] 隣接面
    図1 隣接面う蝕の進行を数値化することが可能になり、患者説明が容易になった。
  • [写真] ダイアグノデント ペン/Er:YAGレーザー
    図2 ダイアグノデント ペンによる診断と適切なタイミングでのEr:YAGレーザーでのMI治療。
  • [写真] SMT
    図3 SMTを併用することで患者の口腔状態を考慮した予防やセルフケア指導も可能になった。

レーザー機器としてのダイアグノデント ペン

ダイアグノデント ペンも医療用レーザー機器の一種である。波長は655nmで出力は1mWの半導体レーザーであり、レーザー光を歯質に照射し、蛍光反射の強度を測定し、健全歯質に比べう蝕罹患歯質の方が蛍光強度が大きくなることを利用している。
アーウィンアドベールEVO(Er:YAGレーザー)と同じ医療用レーザーだが、アーウィンアドベールEVOはクラスⅣのレーザーに分類されるため安全管理者や眼の防護が必須だが、ダイアグノデント ペンはレーザー機器のクラスではクラスⅠに分類されるため防護用ゴーグルの着用などは義務ではなく、歯科衛生士も取り扱うことができる。
また、プローブの種類により測定可能部位が異なる(図46)。

  • [図] SMT・ダイアグノデント ペン・アーウィンアドベールEVOによる患者にやさしいMI治療の流れ
    図4 SMT・ダイアグノデント ペン・アーウィンアドベールEVOによる患者にやさしいMI治療の流れ。
  • [写真] ダイアグノデントペン
    図5 ダイアグノデントペンもレーザー機器(クラスⅠ)。
  • [図] プローブごとに異なる固有の導光経路
    図6 プローブごとに異なる固有の導光経路をもつ。

MI治療と光学機器(SMT・ダイアグノデント ペン・アーウィンアドベールEVO)

MIに基づいた治療方針のためには、従来通りの視診・触診・X線診断だけでは不十分で、ダイアグノデント ペンを用いたう蝕治療の指標が欠かせない。
数値としてう蝕進行度合いの変化を患者に説明できるメリットは非常に大きく、治療説明時に活用することで正常・経過観察・予防処置・要治療を明確にし、経験に頼らない正確な診断を患者に提示できる。
また、全ての患者にダイアグノデント ペンの同じ指標を用いるのではなく、SMTによって歯や歯ぐきの健康度合いを数値化・見える化し患者とのコミュニケーションに活用する。その上で、治療が必要な場合、アーウィンアドベールEVOによる最小侵襲のう蝕治療を行うことが可能になる。
患者から「このむし歯本当に治さなくてはいけませんか?」と質問を受けた場合、X線写真・口腔内写真にダイアグノデント ペン、コミュニケーションツールとしてSMTを併用することで、経過観察の上で「数値が○○だから、治療開始しましょう」と説明できる。
このように、光学機器の併用により「優しく正確なう蝕治療」が可能になった。
例えばダイアグノデント ペン(隣接面用プローブ)で治療が必要なう蝕を感知した場合、アーウィンアドベールEVOを使用することで、若干の健全歯質の蒸散が必要にはなるが無痛的治療による修復治療が可能である(10pps‐50mJ~20pps‐150mJ、C600Fチップ 注水:図78)。
ダイアグノデント ペン(ペリオ用プローブ)ではポケット内のう蝕の検知が可能になった。
従来の方法では電気メスで歯肉を切除しう蝕を切削し修復をする必要があり、麻酔の使用は欠かせないものであったが、アーウィンアドベールEVOを使用することで、歯肉の蒸散(20pps‐30mJ、C800Fチップ 非注水)・う蝕の蒸散(10pps‐50mJ、CS600Fチップ 注水)・修復処置まで無麻酔で施術が可能である(図910)。
さらに、咬合面の小窩裂溝への予防処置でもSMT・ダイアグノデント ペン・アーウィンアドベールEVOを応用している。
SMTで歯の健康を見える化し、ダイアグノデント ペンでは測定し予防・治療の判断に活かしている。
ブラシコーンによる歯面清掃だけではなくブラシだけでは届きにくい小窩裂溝にアーウィンアドベールEVOのブラシチップを用いて、清掃・乾燥を行っている(図1113)。
ダイアグノデント ペンでの数値によっては予防填塞ではなく、う蝕蒸散・修復処置を選択する場合もある。
今回のチップ・設定値は目安であり、低侵襲を意識し組織の反応により常に変更する必要がある。

  • [写真] Er:YAGレーザーにて蒸散
    図7 隣接面用プローブにてう蝕を測定後、Er:YAGレーザーにて蒸散。
  • [写真] う蝕蒸散後修復処置
    図8 う蝕蒸散後修復処置を行う。
  • [写真] Er:YAGレーザーにて歯肉とう蝕を蒸散
    図9 ペリオ用プローブにてう蝕を測定後、Er:YAGレーザーにて歯肉とう蝕を蒸散。
  • [写真] 歯肉蒸散後修復処置
    図10 歯肉蒸散後修復処置を行う。
    • [写真] Er:YAGレーザーにて小窩裂溝を清掃
    • [写真] Er:YAGレーザーにて小窩裂溝を乾燥
    • [写真] 予防填塞
    図11~13 裂溝用プローブにて測定後、Er:YAGレーザーにて小窩裂溝を清掃・乾燥し予防填塞を行った。

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