DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

Interview
不良肉芽を軽快に除去できる使用感が気に入っています。
兵庫医科大学 歯科口腔外科学講座 主任教授 岸本 裕充 先生
[写真] 兵庫医科大学 歯科口腔外科学講座 主任教授 岸本 裕充 先生

当院の歯科口腔外科外来では水平埋伏智歯の抜歯のほか、高血圧や糖尿病、心臓疾患などの持病をお持ちの方の抜歯などが治療の半数以上を占めています。あと、口腔領域の嚢胞や腫瘍、さらに主に患者さんを対象にオーラルマネジメントを行う「周術期口腔機能管理」にも全国に先駆けて取り組んできました。また、近年増加傾向にある骨吸収抑制薬(ビスフォスフォネート薬など) に関連して発生する「薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)」に対して多くの治療実績を持っています。
歯科用レーザーとして、舌小帯の切除をはじめとした軟組織処置のために以前からCO2レーザーを使用していましたが、2014年ごろにEr:YAGレーザーも導入し、歯周外科の際に歯石や不良肉芽を除去するケースや、がん患者さんの口腔粘膜炎の処置に活用しています。Er:YAGレーザーはソフトに当てていると根面や歯面を傷つけることなく軟組織の不良肉芽や硬組織の歯石が選択的に気持ちよく切除できる、まさに(不良肉芽だけが)“飛んでいってくれる”ような使用感が気に入っています。ピッピッピッというレーザーの発信音はリズミカルで、手用で行う際のガリガリっという感じがなく優しい感じがします。患者さんも適度に音が鳴ることに安心感を持たれるようで評判もとてもいいですね。
ところで、当院で注力しているMRONJは比較的新しい病気でもあり、治療法が確立されていないところがあります。その中で、露出骨の粘膜下に付着しているバイオフィルムを低侵襲に引き剥がしたり、除去した腐骨周囲の骨面の処理など、MRONJの治療にも少しずつ応用していければということで研究を続けています。そこにEr:YAGレーザーを応用することで、骨の削除量を少なくできるのではないかと感じています。
また、「周術期口腔機能管理」の場合は医科の手術や化学療法を行う前の予防的処置として口腔ケアを行うことが多いのですが、従来法でスケーリングを行ったところ菌血症を発症し手術直前に発熱、結果的に手術延期を余儀なくされるケースを見聞します。しかし、近年Er:YAGレーザーを使うことで菌血症が起こりにくくなるという報告もあり、私たちも普段使用していてEr:YAGレーザーはとにかく低侵襲で、処置後の痛みや腫れも少ないと感じているので、今後活用の幅をさらに広げていければと考えています。

デンタルマガジン 181号 SUMMER