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Dental Talk

Er:YAGレーザー発売25周年記念座談会 Er:YAGレーザーがつなぐ海外交流 台湾大学 × 東京医科歯科大学

Associate Prof, National Taiwan University Yi-Wen Chen/Assistant Prof, National Taiwan University Chen-Ying Wang/Associate Prof, Chung Shan Medical University Taichen Lin/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野 教授 青木 章/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野 助教 水谷 幸嗣

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[写真] つなぐ海外交流 台湾大学 × 東京医科歯科大学[写真] つなぐ海外交流 台湾大学 × 東京医科歯科大学
本座談会はリモート形式で行われました。

東京医科歯科大学 歯周病学分野では、2003年の石川 烈教授(現名誉教授)の時代に、初めてYi-Wen Chen先生(台湾大学)が大学院生として留学されて以来、Chen-Ying Wang先生(台湾大学)、Taichen Lin先生(中山大学)が続いて留学生として在籍されるなど、これまで長年にわたり台湾の大学と学術的な交流が続いています。

レーザーの臨床応用を契機に始まった海外交流

Chen私は2003~2008年の間、東京医科歯科大学で「歯周病と全身疾患の関係」について研究する幸運に恵まれました。指導教授の石川 烈教授をはじめ、多くの優秀な先生方から歯周病について学んだほか、友人もでき楽しい留学生活でした。2003年の台湾歯周病学会では、石川教授をはじめ青木 章先生、水谷幸嗣先生が歯科用レーザーの講演のため台湾に招待され、アテンドをつとめたことも良い思い出です。2008年に帰国してからは、レーザーの研究にも取り組み、現在も継続中です。
Lin私は大学卒業後から、歯周治療やレーザーに興味を持っていました。2011年の台湾歯科大会で青木先生の知遇を得て、「Er:YAGレーザーを用いたインプラント周囲炎」を研究する目的で、2012~2016年まで、東京医科歯科大学歯周病学講座 和泉雄一教授(現名誉教授)・青木先生のレーザーチームでお世話になりました。
Wang青木先生、水谷先生、このたびは直接お会いできずとても残念に思います。新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るって2年以上が経ちましたが、その状況であっても私たちは強い絆で結ばれていると感じています。これはひとえに青木先生の素晴らしい指導のおかげと感謝しています。
2004年に台湾大学で行われた石川教授による基調講演「歯周病へのレーザー適応評価」は素晴らしい内容でした。その当時、台湾では歯周治療にレーザーを使用する習慣がなく、石川教授の講演が台湾国内で歯周治療へのレーザー活用に大きな関心を抱く契機になりました。そうした経緯もあり、当時の私の指導者であり石川教授とも友人関係であるDr.Houは東京医科歯科大学への短期留学を私に勧めてくださいました。さらにその後、本格的にレーザーを研究するため東京医科歯科大学への長期留学を決めたのです。台湾大学の素晴らしいサポートもあり、2007~2009年の留学生活では多くの学びを得ることができ、とても感謝しています。帰国後には、台湾での学会講演に青木先生と水谷先生を招待する機会がありました。また、2018年には東京医科歯科大学と台湾大学で合同シンポジウムを開催しました。和泉雄一教授、片桐さやか先生、秋月達也先生をはじめ、その他学生の皆さんが台湾大学へお越しになり、日本と台湾両大学の歯周病学科でレーザー研究についてディスカッションする機会もありました。コロナ収束後には、以前のように両大学が協力しあって素晴らしい活動が行えることを期待しています(図14)。

  • [写真] 2005年2月、東京医科歯科大学 レーザーグループを初訪問した時のワンショット
    図1 2005年2月、東京医科歯科大学 レーザーグループを初訪問した時のワンショット。
  • [写真] 2009年4月、東京医科歯科大学 レーザーグループと海外留学生の記念撮影
    図2 2009年4月、東京医科歯科大学 レーザーグループと海外留学生の記念撮影。
  • [写真] 2015年6月、第27回日本レーザー歯学会学術大会(北海道)での記念撮影
    図3 2015年6月、第27回日本レーザー歯学会学術大会(北海道)での記念撮影。
  • [写真] レーザーグループ親睦会の様子
    図4 レーザーグループ親睦会の様子。

台湾のレーザー歯科事情

[写真] Chen-Ying Wang
Chen-Ying Wang
水谷日本ではレーザー治療に関して、現在図5の項目が医療保険に収載されています。基本的には、通常のう蝕や歯周病の治療のアドバンスなオプションとしてEr:YAGレーザーを用います。最近では、口腔粘膜処置にレーザーを使用すると50点と100点という加算が設けられました。臨床的なパフォーマンスとして考えると、縫合の必要もなく比較的簡便に、そして患者さんも痛みが少ない軟組織処置が400、560、600+50点の保険点数で算定できるので、従来よりも小手術を取り入れた治療へと広がるきっかけになると思います。
台湾におけるレーザー使用の状況はいかがでしょうか。
Wang台湾の場合、レーザー治療は自費扱いになっています。例えば2、3歯以下でレーザー治療を行うケースでは、約5千台湾ドル(約2.2万円)の費用がかかります。保険適用ではない分、患者さんの費用負担は日本より少し高額に感じるかもしれません。それでも台湾にはレーザー治療を希望される方はたくさんいらっしゃいます。
[写真] Yi-Wen Chen
Yi-Wen Chen
Chen私は主にGBRで骨補填材とコンビネーションでレーザーを使用しています。その場合、レーザーの治療費を含めて2万台湾ドル( 約8.8万円)で、日本と比べて高額だと思います。
Lin台湾ではフラップを開けないと保険適用にはなりません。ですので、例えば臼歯の4~7番の場合、フラップを開けてオペをすれば4,550台湾ドル(約2万円)ほどです。ただ、再生治療の場合、骨補填材などの材料費をすべて含めて3万台湾ドル(約13.2万円)ほどかかります。Er-LCPT(Er:YAG Laser-assisted Comprehensive Periodontal Therapy)を行う際にはフラップを開けないので自費診療になってしまいます。一方、Er-LBRT(Er:YAG Laser-assisted Bone Regenerative Therapy)はフラップを開けるため、保険適用になるので比較的よく行います。
[写真] Taichen Lin
Taichen Lin
青木フラップレスの処置がすべて保険適用ではないということは、SRPも保険ではできないのでしょうか。
Lin超音波スケーリングやSRPは保険適用です。ただ費用には大きな開きがあります。たしかにフラップを開けないと保険は効きません。私は4、5年前はEr-LCPTの処置に自信がありませんでしたが、現在は患者さんに事前に説明して、再生治療の約50%をチャージさせてもらって、うまくできなければ治療法を変更します。私のやり方はこのような感じです。ただ、手術なしでは改善しない症例で、Er-LCPTで治すことができると患者さんはとても喜んでくださいます。私も最近、4症例ほど成功しましたが、さらに成功率を上げていきたいと考えています。

  • [写真] Er:YAGレーザーの適用疾患と保険点数
    図5 Er:YAGレーザーの適用疾患と保険点数

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