会員登録

182号 AUTUMN 目次を見る

Clinical Hint

SRPを極めよう

木原歯科医院 歯科衛生士 牧江 寿子

PDFダウンロード

キーワード:SRPこだわりの器具/座るポジションと薬指の固定位置

目 次

SRPの成果

歯科衛生士の仕事の一番の醍醐味は、SRP後のX線写真で骨添加を確認することではないでしょうか。
図1は58歳女性、7の近心に12ミリの歯周ポケットがあり浸潤麻酔下でSRPを行いました。図2は術後10年後で7の近心に骨添加が認められ、プロービングデプスは3ミリに改善されています。

  • [写真] 58歳女性のレントゲン写真
    図1 58歳女性。7近心プロービングデプス12ミリ。浸潤麻酔下でSRPを施術。
  • [写真] 術後10年後のレントゲン写真
    図2 術後10年後。7近心プロービングデプス3ミリ。X線画像上で骨添加を確認。

こだわりの器具

 図3は全顎にディープポケットのある48歳の男性です。浸潤麻酔下にてGキュレットでSRPを施し、図4は初診から3ヵ月後の再評価時となります。プロービングデプスは全顎3ミリ以下BOP(-)となり歯周組織は改善しました。
使用した器具はYDMのGキュレットest2、シリコンハンドルのカラフィーとTOIROです。
番手は#11/12・#13/14・#15/16・#17/18です(図5)。いずれも、切れ味が長持ちすることを実感しています。
カラフィーとTOIROは番手を色で識別できるので施術中に手に取りやすいというメリットがあります。特に#13/14と#15/16はブレードが逆向きについているだけでパッと見ただけでは形態の見分けがつかないので、色で識別できることはとても便利です(図6)。
筆者の全顎SRPはミニブレードの11/12、13/14、15/16と硬い歯石が除去しやすいレギュラーブレードのハード17/18で全て完結します。
Gキュレットest2を揃える場合この4本からはじめられるといいでしょう。
新しくなったGキュレットのレギュラーブレードは従来品より長さが0.5ミリ短くなり扱いやすくなっています。
さらに、ミニブレードはレギュラーブレードより太さが0.25ミリ細くなり歯肉縁下に挿入しやすくなっています(図7)。

  • [写真] 初診時48歳男性
    図3 初診時48歳男性。全顎にディープポケットとBOPが認められる。
  • [写真] 初診から3ヵ月後の再評価時
    図4 全顎浸潤麻酔下でSRPを施術し、初診から3ヵ月後の再評価時。全顎プロービングデプス3ミリ以下、BOP(-)。
  • [写真] Gキュレットest2
    図5 Gキュレットest2。上からカラフィー13/14ミニ、15/16ミニ、17/18、TOIRO11/12ミニ。
  • [写真] 左:13/14ミニ、右:15/16ミニ
    図6 左:13/14ミニ、右:15/16ミニ。
  • [写真] 左:旧型13/14、中:新型13/14(旧型より0.5ミリ短い)、右:13/14ミニ
    図7 左:旧型13/14、中:新型13/14(旧型より0.5ミリ短い)、右:13/14ミニ。

シャープニングは必須

Gキュレットのカッティングエッジは70度でできています。切れないスケーラーでは作業効率が落ち時間も要し、歯石の取り残しも出やすくなるので施術前にシャープニングを行って準備を整えましょう(図8)。

  • [写真] セラミックストーンを70度でセッティングしシャープニング
    図8 セラミックストーンを70度でセッティングしシャープニング。

15/16と17/18のメリット

 15/16は近心用です。筆者が特に使いやすく感じるシーンは 66の口蓋根と近心頰側根の間の根分岐部(図10)と近心傾斜した大臼歯の近心です。この2シーンは11/12よりも15/16の方が断然使いやすいです。17/18は遠心用で特に最後臼歯の遠心にフィットしやすいです。
15/16、17/18は、11/12、13/14と比べてシャンクが深く曲がっているため、開口量が少ない患者様でもハンドルが対合歯列に当たらずに操作できます(図1112)。

  • [写真] 11/12ミニ使用
    図9 411/12ミニ使用。フロントポジションでフィンガーオンフィンガー。
  • [写真] 15/16ミニ使用
    図10 615/16ミニ使用。バックポジションでトゥースオンフィンガーオンフィンガー。
  • [写真] 11/12と15/16の比較
    図11 11/12と15/16の比較。
  • [写真] 13/14と17/18の比較
    図12 13/14と17/18の比較。

座るポジションと利き手の薬指の固定が最重要

SRPの最重要事項はどの位置に座るかのポジショニングと利き手薬指の固定場所です。
この2項目によってカッティングエッジへの力の加わり方が変わります。フロントポジションとバックポジションを使い分け、手指の固定場所を決めることが重要です。
筆者は右利きで左手の人差し指で頰を排除し、その上に右手の薬指を固定するフィンガーオンフィンガー(図9)や歯牙の上に左手の人差し指を置きその上に右手の薬指を置くトゥースオンフィンガーオンフィンガー(図10)をよく用います。
カッティングエッジにうまく力が加わらない時は座るポジションと薬指の固定位置を再検討してみましょう。

目 次

モリタ友の会会員限定記事

他の記事を探す

モリタ友の会

セミナー情報

セミナー検索はこちら

会員登録した方のみ、
限定コンテンツ・サービスが無料で利用可能

  • digitalDO internet ONLINE CATALOG
  • Dental Life Design
  • One To One Club
  • pd style

オンラインカタログでの製品の価格チェックやすべての記事の閲覧、臨床や経営に役立つメールマガジンを受け取ることができます。

商品のモニター参加や、新製品・優良品のご提供、セミナー優待割引のある、もっとお得な有料会員サービスもあります。