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Field Report

口腔機能低下症の症状 「口腔衛生状態不良」の改善にソニッケアー「舌磨きブラシ」を活用

大阪府八尾市  みき おとなこどもデンタルクリニック 院長 小室 美樹

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  • [写真] 大阪府八尾市 みき おとなこどもデンタルクリニック 院長 小室 美樹

    大阪府八尾市
    みき おとなこどもデンタルクリニック
    院長 小室 美樹

今年2月に私が理想とする歯科医院「みき おとなこどもデンタルクリニック 」を開業することができました。私が目指す歯科医院像とは「全ての患者さんの口腔環境を整えて、楽しい人生をおくっていただく“お手伝い”をするクリニック」ということに尽きます。「痛いから来る」のではなく「口の状態を診て欲しい」という方を診て、現状を把握し、環境を整えたうえで、将来その方がどういう生活をおくりたいのか、その実現のために私たちにどんなお手伝いができるのかを患者さんとともに考えていきたい、それが私の願いです。そのためには、まずその方の口腔環境を知ることから始まります。
医科でいう「血液検査」は歯科では「唾液検査」に相当します。健康診断に行けば必ず血液検査を受けるように、当院では初診の際にほぼ全員の患者さんにSalivary Multi Test(SMT)を使った唾液検査を受けていただいています。SMTは、シンプルな検査方法で歯と歯肉の健康に関する6項目の測定結果を視覚的に提示してくれますから、今後の治療方針やメインテナンス指導の指標になるだけでなく、患者さんのモチベーションアップにも寄与する、当院にはなくてはならない検査ツールになっています。
ところで当院では、小さいお子さんから高齢の方まで様々な年齢の患者さんが来院されます。なかでも元気な高齢の患者さんの割合はとても多く、ひと昔前ではとても考えられない状況です。ただ、やはり歳を重ねておられる分、体のどこかに不安を抱えている方も少なくなく、もちろんお口も例外ではありません。
皆さんもご存知の通り、口腔機能の低下を認める患者さんで、7項目の検査項目のうち3項目以上で低下が認められる方は「口腔機能低下症」と診断され口腔機能管理料の算定となりますが、その対象年齢が今年4月の診療報酬改定により、これまでの65歳以上から50歳以上へと大幅に拡大されました。50歳以上となれば当院に来院する多くの患者さんが該当します。口腔機能については残存歯数との関連性が示唆されていますから、当院では後期高齢者の方は全員に、50歳以上では残存歯が20本以下の方に検査を実施しています。
[写真] みき おとなこどもデンタルクリニックのスタッフ7項目の検査項目のうち、「口腔衛生状態不良」の検査は、視診によりTongue Coating Index(TCI 図1)を使って、舌苔の付着程度を評価するものです。「口腔衛生状態不良」の方には、以前から舌清掃の重要性についてアピールしてきましたが、今回の保険改定によって患者さんにより納得していただきやすくなりました。
舌清掃が必要と判断された場合に武器となるのがソニッケアーの替ブラシの1つである「舌磨きブラシ」です(図23)。ソニッケアーは自分自身で使ってみて磨き心地が良く刷掃力も高いと感じて、高齢で手が不自由な方や手磨きでは満足できない方にお薦めしていました。ただ、替ブラシはホワイトプラス(コンパクト)が好きで、他の替ブラシには正直それほど関心がありませんでした。しかし、この舌磨きブラシはかなり優秀です。ゴム状のヘッド表面に無数の細かい凹凸が付いていいて、ブラシを舌に強く押し付けるのではなく、舌の上に置いて軽くなぞるだけで味蕾を傷つけることなく汚れを落とすことができます。振幅運動もそれほど大きくないので嘔吐反射も出にくいと感じています(図46)。
また、昨年秋に発売されたハンドル「プロテクトクリーン4700プロフェッショナル」(以下「4700」)と替ブラシ「プレミアムオールインワン」(以下「オールインワン」)も使ってみてとても良い感触を持ちました。「4700」はとくに高齢の方や電動歯ブラシ初心者の方に必要な機能だけが厳選されていて、欲しかった過圧防止センサーも搭載されているのでとてもお薦めしやすいです。さらに「オールインワン」は歯面と歯肉のケアを同時にしてくれる点や、独特の毛束の配置によって歯の上から“かぶせ磨き”することで外側の毛束が歯全体を包み込んでくれるので、磨き残しが多い臼歯の遠心部分の汚れも除去することができます(図712)。
私たちは治療や口腔ケアはできて当然、大事なことはその先にあって、患者さんが二度とお口のことで悩むことがなく、なんでも食べられて楽しく生活するための『お手伝い』をどこまでできるかがカギになります。今後も私たちの経験と知識を総動員してそのサポートを続けていきたいと考えています。

  • [図] Tongue Coating Index(TCI)
    図1 Tongue Coating Index(TCI)。TCIが50%以上(合計スコア9点以上)の場合、「口腔衛生状態不良」と診断される。(参考:『老年歯科医学』第31巻2号(2016年)84ページより)
  • [写真] 舌磨きブラシとブラシヘッド表面の拡大写真(右)
    図2 舌磨きブラシとブラシヘッド表面の拡大写真(右)。200個以上のミクロの凹凸が舌の汚れを除去する。
  • [写真] 舌磨きブラシを横から見た写真
    図3 舌磨きブラシを横から見た写真。薄い形状なので口の中に入れやすく嘔吐反射も少ないように感じる。
  • [写真] 舌磨きブラシ使用前
    図4 86歳女性。舌磨きブラシ使用前。舌苔がかなり付着している。
  • [写真] 舌磨きブラシ使用中
    図5 86歳女性。舌磨きブラシ使用中。
  • [写真] 舌磨きブラシ使用後
    図6 86歳女性。舌磨きブラシ使用後。使用前と比較すると、汚れが取れているのが確認できる。
  • [写真] 「オールインワンブラシ」使用
    図7 51歳男性。「オールインワンブラシ」使用。歯頸部と歯肉のマージン部まで一度に磨くことができる。
    • [写真] かぶせ磨き
    • [写真] かぶせ磨き
    図8、9 歯の上から“かぶせ磨き”を行うことで先端のオレンジ色の毛束が臼歯部遠心まで届き、汚れを落とす。
  • [写真] 「オールインワンブラシ」使用
    図10 43歳女性。「オールインワンブラシ」使用。中央の硬い毛束は歯面のステイン除去、周囲の軟らかい毛束は歯肉ケアが行える。
    • [写真] ランダムに配置された毛束が、通常のブラシでは入りにくい歯間部や叢生部分まで届く
    • [写真] ランダムに配置された毛束が、通常のブラシでは入りにくい歯間部や叢生部分まで届く
    図11、12 ランダムに配置された毛束が、通常のブラシでは入りにくい歯間部や叢生部分まで届いて汚れを掻き出す。

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