宮崎県宮崎市 ヨコヤマデンタルオフィス
今年で創刊50周年を迎えた『デンタルマガジン』。1973年の創刊時からご愛読いただき、ほぼ全号を大切に保管くださっているという横山司先生に、『デンタルマガジン』にまつわるお話を伺いました。
当時、私が勤務していた歯科医院に出入りのディーラーさんが「モリタから新しい雑誌が出ました」と持ってきてくださったのが『デンタルマガジン』の創刊号でした。その当時、歯科のメーカーからこれほどボリュームがある雑誌が発行されることなんてありませんでしたから、まずそのことに驚きましたね。
きちんと読み物になっていたのでページをめくっていておもしろかったですよ。その頃はまだ勤務医でしたが、翌年には開業しようと思っていたので、勤務先で使っていない機器や材料に関する情報や、ユーザーの先生によるレポートはとても参考になりました。なかでも「オフィス拝見」(現在は「Good Style Office」) はいつも手元に届いたら真っ先に開くページでした。毎号いろんな規模やコンセプトのクリニックが紹介されていて、「開業する時にはどんなレイアウトや内装にしようか」とイメージを練る際に大いに参考になりました。また、私の実家が建築の仕事をしていた影響で、私自身も設計や内装に興味があったので、平面図を見ながらあれこれ考えるのも好きでしたね。開業の時にはスタッフや患者さんの動線を考えながら「オフィス拝見」も参考にしながら、自分で図面を引いたんですよ。
他には、「歯科医院経営講座」もよく読んでいました。歯科医院の経営に特化したテーマで毎号書かれていて、当時としては珍しかったと思います。
私が若い頃はスタディグループの活動がさかんで、私も宮崎にあるスタディグループに入って、東京や大阪をはじめ各地のグループが主催する勉強会にもよく参加していました。以前は『デンタルマガジン』にも全国のスタディグループの紹介ページが毎号掲載されていて、「この先生はセミナーでたしか隣に座っていた方だ。頑張っていらっしゃるんだな」と刺激を受けることもありました。
他にも「使っています」(現在は「My Recommendation」)などで、大学の先輩や後輩など、知り合いの先生が載っていたらすぐに電話して、「載ってたね」とか「あの製品の使用感はどう?」と聞いたりもしました。インターネットやSNSもない時代ですから、こうした雑誌を通してお互いの近況を確かめ、旧交を温めることができて、とても感謝しています。
『デンタルマガジン』が今年で創刊50年ですか。私も開業から49年になり、まさに苦楽をともに歩んできた“相棒”といっても過言ではありません。時代に合わせてテーマやデザインは変化していくと思いますが、創刊100年を目指して、これからも続けてください。願いはそれだけです。毎号楽しみに待っています。
ここでは、ご子息純也先生も交えて「医院承継」をテーマにお話を伺いました。
司先生:1974年の開業から41年後の2015年に院長を承継しました。
司先生:譲ると決めたらとにかく口を出さないことです。親子間でうまくまとまらなくて息子さんが出て行ってしまうケースも耳にしますが、親が口を出し過ぎるのが原因のことが多いと思いますよ。
司先生:もちろんこれまで何十年も院長として頑張ってきたのですから、アドバイスしたい気持ちはよく分かりますが、やはり私たちの時とは時代が大きく違いますから、そこは若い人に任せた方がいいんですよ。
純也先生:いちばん分かりやすい例として、「院内に2つのクリニックがあるような感じ」とでも言えばいいのでしょうか。受付と会計こそ同じですが、患者さんを分けているので、私は父がどんな患者さんを診ているかあまり知りませんし、逆に私が診る患者さんや普段の私の診療スタイルを父はほとんど知らないと思います。
司先生:そもそも使っている器具や材料が違いますからね。そうなるとスタッフが大変になるので、私の診療だけをアシストしてくれる専属スタッフを決めています。
司先生が使用する診療室。3台あるユニットのうち1台を司先生専用にしている。
純也先生:父は補綴出身で義歯の製作やクラウン・ブリッジなどのノウハウが豊富なので、私の患者さんを診てもらうこともありますし、逆に根管治療などルーペを使った拡大視野で治療を行うケースになれば、父の患者さんを私が診て、終わったらまた父に戻したりしています。
司先生:そのあたりはお互いを尊重してうまく役割分担できていると思います。親は今までやってきたプライドがありますし、2代目は「ここからスタートだ」と意気込みがありますから、これが衝突してしまうと良い方向にはいかなくなるでしょうね。
司先生:私はこれから自分が健康でいられる限り、息子と一緒に地域の歯科医療に貢献できれば幸せです。
純也先生:父の患者さんのお孫さんが私の子供と同級生で、ずっと3代で通ってくださる方もいらっしゃいます。父とできる限り一緒に続けたいですし、「2代目になってダメになったな」と言われないように頑張りたいですね。