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No.210 2007年2月10日発行

院内のデジタルデータの活用と患者さんとの対話型コミュニケーション

長崎市桝屋歯科医院:桝屋順一

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院内のデジタルデータの活用と
患者さんとの
対話型コミュニケーション

長崎市 桝屋歯科医院桝屋順一

1. はじめに

コンピュータの進歩・普及は歯科医院にも大きな変革をもたらし、デジタル化は、もはや避けて通れない要素である。
デジタル化と言ってもその種類は豊富で、桝屋歯科医院(以降 当医院)で導入しているシステムを列挙すると

  • 1レセコンを含む電子カルテ
  • 2診療予約システム
  • 3デジタルレントゲン(IP:Imaging Plate)
  • 4デジタルレントゲン(CCD: Charge Coupled Device)
  • 5CT解析によるインプラント・シミュレーション
  • 6口腔内写真他、臨床写真の管理・活用
  • 7診療見積書の発行・管理
  • 8診療請求書の発行・管理
  • 9窓口保険収入・自費収入・雑貨収入を含む、入金管理(レセコンの機能として)
  • 10デジタル位相差顕微鏡システム
  • 11口腔内CCDカメラシステム
  • 12本製品であるメドバイザーデンタル

以上であるが、本稿では12のメドバイザーにスポットをあてて解説する。
写真は当医院での初診時資料で、次回の来院までに①治療計画書②治療費概算見積等と共に患者へ渡している(図1)。

  • 図1初診時検査のデジタル化された資料

  • 図2デジタルカメラによる口腔内写真撮影の様子

  • 図3デジタル位相差顕微鏡の画像:動画

2. メドバイザーデンタルとは

現在、前述のように歯科医院にはレセコンをはじめとしてなんらかのコンピュータが導入されていることが多い。たとえば、デジタルレントゲンを導入済みの医院であれば、各チェアに設置したP Cないしポータブルシステム(ワゴンやハンドキャリーで移動できるシステム)PCがあるはずである。このPCに付加価値を持たせるとすれば、このメドバイザーを導入しない手はない(図4)。
デジタルレントゲンは患者サイドから見れば、放射線被爆量軽減の他には、以前小さくて見づらかったモノクロレントゲンが大きく表示できたり、加工できたりして幾分見やすくなったという事に過ぎない。むしろデジタルレントゲンの効用は、フィルムレスや処理液の廃棄の問題がない等、どちらかというと患者サイドよりも医院サイドである。
そしてこのレントゲンや口腔内写真の説明を、ホワイトボードや紙面に図示している医院も少なくないであろう。メドバイザーは、この写真や模型・図示では説明の難しい口腔内の様子を、ハイクオリティーな3Dアニメーションで解りやすく表現している。

図4各チェアに導入されたPCの状況

  • 図5メドバイザーによる説明:デジタルレントゲンや模式図と併用

  • 図6チェアサイドでの説明

  • 図7デジタルレントゲンのみでの説明

  • 図8パンフレットのみでの説明

  • 図9Windowsでの4分割画面

このCDをコンピュータにインストールし、患者さんの興味・関心を引く説明が行え、楽しく理解・納得へと導くコミュニケーションが可能である(図5)。既設のチェアサイドPCには、すでになんらかのソフトが導入されているのでWindowsの画面分割表示機能をフル活用して、図9のように一度に多くの情報を表示できる。
中でもメドバイザーによる説明は、明らかに図6図7図8のような1つの媒体だけを使用した説明に比較して、医療サイドの負担が軽減され、患者さんの理解度は大きくなるであろう。

3. メドバイザーデンタルの機能

ハイクオリティーな3Dアニメーションおよびイラスト

たとえば、上顎前歯部のインプラント治療を例にとってみると、3Dアニメーションに比較して、口腔内写真は静止画像であり、患者さんにとって治療のプロセスが解りにくい。その上、時には見たくない生々しい映像が飛び込んでくることが多く、治療意欲の低下を招くこともしばしばある。この点においてもメドバイザーは有効である。

  • 図10

  • 図11

  • 図12

  • 図13

  • 図14

  • 図15

図10-15「インプラント修復」カテゴリーの「前歯インプラント」
上列:前歯インプラントの治療の流れ:アニメーション
下列:実際の口腔内写真 当医院治療例 右上1番の単独埋入
*アニメーションと合わせる為、写真の天地を逆にしています。

このアニメーションには他に、

  • ・「歯周治療」カテゴリーの「歯周組織の破壊」(図16)
  • ・「小児歯科」カテゴリーの「歯の萌出」(図17)
  • ・「ウ蝕 C&B」カテゴリーの「ブリッジ」
  • ・「義歯治療」カテゴリーの「臼歯の部分床義歯」
  • ・「PMTC/オーラルケア」カテゴリーの「歯面清掃ステップ」(図18)等がある。

図16「歯周治療」カテゴリーの「歯周組織の破壊」アニメーション

  • 0歳

  • 1歳

  • 6歳

  • 18歳

図17「小児歯科」カテゴリーの「歯の萌出」アニメーション

  • ラバーカップ

  • ブラシ

  • ポイントブラシ

  • ラバーポイント

図18「 PMTC / オーラルケア」カテゴリーの「歯面清掃ステップ」アニメーションと当院で独自に作製したPMTCパンフレットと実際のPMTCの様子

画像の取り込みが可能

もう1つの大きな機能として、医院で活用しているデジタルデータを取り込む事ができるという点が挙げられる。
これはメドバイザーのカスタマイズともいえるもので、自医院の症例やケースを説明しやすいように変えることができる。まさに、歯科医院向けソフトに今までなかった機能である。図19は当医院でポーセレンラミネートベニアのケースをデジタルシステムからインポートした画像である。これを、審美治療のベニアのところに表示できるようにしている。審美症例などは、生々しいというよりきれいな画像なので、かえって患者さんの治療意欲を高め、「私の歯もこうなりたい!」と思わせる事が多いので、この機能は有用である。

コミュニケーションツール
A. ドローイング機能
コミュニケーションをさらに深めるために、アニメーションや取り込んだ画像にマウスやペン(タブレットPC)で自由に文字や図形を手書き入力できる。
  • 図19

  • 図19

  • 図19

  • 図19

  • 図20

図20は関節円板の前方転位を説明しているところである。

B. サムネイル機能
手書き入力した画面は、消去されないように画面下端のサムネイルトレイ(図21図22)に自動的に一時保存され、患者さんに説明した履歴となるため、最初に戻ることが簡単で、流れに沿って説明することができる。
C. エキスポート機能
一時保存されたサムネイルをコンピュ-タ内の別フォルダや媒体(CD、MOなど)へ送り出し保存できる。この機能を活用して、当医院では説明履歴を患者さんごとに管理している。
使用頻度の高いメニューをカスタム編集
A. お気に入り機能
各カテゴリーの中から希望のメニューや取り込み画像を自由に選び、並び替え、オリジナルのカスタムメニューを作成することができる(図23) 。
この機能を活用して、使い勝手が良いだけでなくメニューを探す手間が省けるため、コンピュータ初心者でも軽快に操作できる。
B.プロファイル機能
複数の使用者がいる場合、使用者毎にカスタムメニューを作成することができる。すなわち、各チェアーの用途に応じてメニューをすべて変えることができる。たとえば予防中心のチェアーでは、予防関連のメニューが上位に表示されるようにしたり、オペ室では外科中心といったように、効率の良い説明ができる。またこのプロファイルはネットワーク上からも読み書きできるため、複数台のPCを使用していてもストレスなく使用できる。
当医院では、予防・外科・一般診療・審美治療の4つのプロファイルを使用している(図24) 。
  • 図21

  • 図22サムネイルトレイの拡大

  • 図23

  • 図24

4. 印刷機能

メドバイザーのサムネイル表示機能を利用して、効率的に印刷ができる。印刷物には、自動的にあらかじめ登録した医院情報と発行日が印字されるため、印字して渡すだけでなく、患者さんへの説明・指導の履歴を残す事ができる。
また印字レイアウトも複数登録されているため、バラエティーに富んだ説明文書が作成できる(図25) 。

図25印字サンプル

5. For Doctor&Hygienist

  • 患者さんとの対話が容易になり、信頼を築ける。
  • コンサルテーション時間の効率的な利用ができ、短縮化が図れる。
  • 治療に関する説明情報の蓄積が可能。
  • 患者さんごとのエビデンスとしてデジタル化が可能。
  • 患者さんにクオリティーの高い治療を受け入れてもらいやすくなる。

6. For Patient

  • 口腔衛生に興味を持つきっかけとなる。
  • 治療内容を理解しやすい。
  • 治療内容の選択肢を知ることができる。
  • 治療内容の選択に患者さん自らが参加できる。

7. まとめ

メドバイザーデンタルCDは、現在の歯科医療の中にまさに必要なシステムである。すなわち、従来から言われているInformed Consent(説明と同意)を助けるツールとなるだけでなく、現在の保険制度で必要となる説明の記録を残す意味においても有用であり、タイムリーである。
また、そのアニメーションの繊細さからも、自費率向上においてもその威力を発揮できると確信する。
PCを利用したシステムというと、つい二の足を踏んでしまうが、ユーザーフレンドリーであり、PCが苦手なスタッフや先生方にもきっと喜んでもらえるツールであると思う。
上手く活用して、患者さんに信頼されるわかりやすい歯科医療を提供したいものである。(桝屋 順一)

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