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No.214 2009年12月1日発行

新世代のNewスーパーボンドの特長と臨床応用

中村光夫、下野正基、眞坂信夫、山本憲廣

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新世代のNewスーパーボンドの特長と臨床応用- 良好な生体親和性を継承し、操作性は大幅に向上 -

中村光夫 千葉県開業 下野正基 東京歯科大学教授 眞坂信夫 東京都開業 山本憲廣 千葉県開業

発売から27年、広範な臨床用途に応える良好な接着性と封鎖性によって接着歯科医療の発展に大きな貢献を果たしてきた歯科用接着材「スーパーボンド」が、新たなテクノロジーをもとに新世代に向けたNew『スーパーボンド』として生まれ変わった。定評のある生体親和性はそのまま維持され、操作性が飛躍的に向上したNew『スーパーボンド』。本日は4人の先生方にお集まりいただき、接着歯科臨床の現状と新世代のNew『スーパーボンド』の概要とあわせて今後の展望をお伺いした。

図1新世代のNew「スーパーボンド」3つのセット
筆積セット(左下)、混和セット(右下)、C&B セット(上)

接着歯科医療を広めた
世界に誇るべき接着材

  • 眞坂 信夫

  • 中村 光夫

眞坂本日は、新しく発売されるNew スーパーボンドについて、接着歯科臨床の歩みを振り返りながら、その特長と将来展望などを、下野先生、中村先生、山本先生と共にお話させていただきたいと思います。スーパーボンドは接着歯科医療というものを広めた世界に誇るべき日本オリジナルの接着材であり、長年にわたり、一部改良はあったものの、本質的には同じ内容で30年近く、臨床で多用されています。スーパーボンドが開発された経緯から、長い歴史の中で発展してきた過程について、先生方にいろいろ振り返っていただきながら、これからの夢を大きく広げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。さて、中村先生は中林宣男先生の教室でスーパーボンドの開発にも携わってこられたわけですが…。

中村日本で歯科用の接着性レジンの研究が始まったのは1960年代であり、東京医科歯科大学医用器材研究所の前身である歯科材料研究所有機材料部門の初代教授・増原英一先生(故名誉教授)によって材料開発が進められました。そこにスーパーボンドの原点があると思うのですが、メチルメタクリレートモノマー(MMA)の重合開始剤にアルキルボラン、なかでもトリ-n-ブチルボラン、いわゆるTBBが歯科用として初めて使われました。これを使用すると、人や牛の歯の代替として当時使用していた象牙棒への接着に有効であること、それも乾燥したものではなく、湿潤した象牙棒によく接着するということを発見したことに始まります。TBBには酸素と容易に結合して過酸化物を生成する性質があるため、これが微量な酸素を含んだ水の界面で反応すると、MMAの重合の助触媒として作用し、水を含んだ象牙棒の界面に浸透し、重合硬化して密着するもの、と増原先生は説明されています。それが現在も続いているTBBの接着性の理論につながっていると思われます。このMMA-TBBレジンが歯科用接着材として実用化されたのは、東京医科歯科大学矯正学教室の三浦不二夫教授(現名誉教授)が矯正のダイレクトボンディングシステム(DBS)に世界で初めて使われたということに始まります。
このDBS用接着材「オルソマイト」は持田製薬から発売され、実験室段階では安全性の関係からTBBはワセリンとのペーストで用いられていたものが、その後ガラスシリンジが考案され、現在のキャタリストように安全に使用できるような形になりました。その技術はサンメディカル社に継承され、今日まで続いているオルソマイトスーパーボンド、スーパーボンドC&Bなどのスーパーボンド・シリーズに使用されています。

  • 眞坂 信夫

  • 中村 光夫

  • 下野 正基

  • 山本 憲廣

眞坂エナメル質のみならず象牙質にも接着する接着材というのはMMA-TBBレジンが最初ですが、その後、中林先生の研究で4-METAが開発され、これにより接着強さが強化されたということでしょうか。

中村MMA-TBBレジンは矯正用接着材として国内で使用されていたのですが、経時的に接着強さの低下が見られたということで、この弱点を克復するために、歯質のカルシウムと親和性のあるキレート剤やモノマーなどを合成して、耐久テストが繰り返されました。その中で中林宣男教授(現名誉教授)が、歯科用接着材には歯質への浸透性のある親水性基と、耐水性のある疎水性基を同一分子内にバランスよく具備する必要があると考え、そこでカルボキシル基を持つトリメット酸無水物とヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の縮合体である4-メタクリロキシエチルトリメット酸無水物(4-META)を合成し、この4-METAをMMAの中に5%溶解したものをTBBで重合すると、エナメル質に対する接着性が格段に向上し、長期的に安定するようになりました。さらに、この材料は非貴金属合金の、コバルトクロムやニッケルクロムとの接着性も示すことが見出されました。この4-METAについては1978年に、サンメディカル社の親会社である三井化学から派遣された竹山守男氏が論文を発表し、それが今日のスーパーボンドにつながっています。

眞坂矯正からスタートした接着材が、歯冠修復に使われるようになった経緯をお話しいただけませんか。

中村象牙質に接着したいということで実験が進められたのですが、無処理の象牙質ですと2MPaぐらい、リン酸でエッチングしても5~6MPaしか接着しないというのが当時の状況でした。中林先生の研究で10%クエン酸-3%塩化第二鉄水溶液によって象牙質を処理すると18MPaになりました。これは恐らく今でも世界でトップクラスの接着性能だと思います。そして1983年に象牙質の表面処理材として、この10%クエン酸-3%塩化第二鉄溶液(表面処理材グリーン)を組み込んだスーパーボンドC&Bが矯正以外の補綴・保存用途に用いる多目的接着材として発売されました。

  • 下野 正基

  • 山本 憲廣

抜群の接着耐久性を有し
優れた生体親和性を発揮

眞坂そのような経緯があり、スーパーボンドが臨床に導入され、評価を受けました。ちょうどその頃、接着ブリッジが登場したこともあって、レジンセメントは爆発的に普及しましたが、スーパーボンドは使いこなしが難しい材料という点で臨床的に不評を被りました。そういったマイナス評価がありながら、現在これだけ普及している要因は、やはりスーパーボンドの接着強さ、接着耐久性の良さということなのでしょうか。

中村エナメル質に対する接着耐久性の良さ、シーリングの良さというのも一つの要因だと思います。ただ、象牙質に対して、これ以上の接着耐久性を持つ接着材があるのか、と思うぐらい安定した接着性を示しますし、術後のトラブルもほとんどありませんので、そのあたりも良好な評価につながっているのだと思います。

眞坂結局、長い時間かかって、それが先生方に理解されてきたから、現在も市場占有率6割という支持になっているのでしょうね。ところで、術後のトラブルということに関して、スーパーボンドの歯髄に対する生体親和性についてはいかがでしょうか。

下野今から20年くらい前に、眞坂先生から歯髄に対する安全性と生体親和性についての病理学的な解析をしてほしい、というご依頼がございました。しかし当初、「そんな優れたレジンがあるはずがない」と我々は考えていました。培養細胞、線維芽細胞を使った実験で、他の市販レジン材とともに、まずpHの変化と細胞増殖について調べることにしました。我々はいつでも実験をするときに、こういう結果が予想されるだろう、ということを事前に想定しながら実験を進めるわけですが、正直あまり期待はしていませんでした。ところが案に相違して、他のレジンではほとんど細胞増殖がみられなかったのに対して、スーパーボンドではコントロールの半分強の細胞増殖を示しました。
これは生体親和性が極めて高く、毒性がほとんどないことを示唆するもので、更にミリポアフィルター重層法や動物実験によって毒性がないということを組織学的にも証明することができました。併せて、なぜ毒性を発揮しないのかという疑問がわいて、一連の研究によって歯髄とスーパーボンドの間にハイブリッドレイヤーが形成されることを明らかにすることができました。また、ヒトの実験でも、インフォームド・コンセントを得た矯正用の便宜抜去歯を用い、スーパーボンドの生体親和性は非常に高いこと、全く為害性がないことを証明することができました。加えて、切断をした歯髄表面にスーパーボンドをのせて、治癒してくる歯髄の中の神経細胞の形成を免疫組織学的に検索し、神経線維の再生がやや遅れるというデータを得ることができました。これは生物学的には好ましいことではないのかもしれませんが、臨床的にトラブルが発生しない背景にそのようなことが関係しているのではないかと考えられます。

眞坂下野先生が、スーパーボンドは歯髄に対して極めて優れた接着性と生体親和性を発揮するということを実験で解明されたことで、多くの臨床家に大きなショックを与えました。それまでMMAレジンは生体親和性が悪いというイメージがあったのですが、1991年の下野先生の論文によって、スーパーボンドはそれとは違うものだと理解されるようになりました。

  • 図2歯髄とレジンとの間にはハイブリッドレイヤーが形成されている。電子顕微鏡でみると、歯髄細胞や間質にレジンが浸透しているのがわかる。

  • 図3露髄面にレジンをのせると、両者の間にdentin bridge が形成される。歯髄内に炎症は全くみとめられない。

時代が要求する臨床に対応し
常に進化するスーパーボンド

眞坂スーパーボンドはその長い歴史の中で、プライマーの追加や色々な改良が加えられているわけですが…。

中村まず1987年に、ポーセレン接着用に「ポーセレンライナーM」が市販されています。松村英雄先生(長崎大学から日本大学教授)と、当時の医用器材研究所の1階の研究室で、シランを酸性モノマーで活性化することによってスーパーボンドをポーセレンに接着させる研究をしていました。そこに加熱処理とか、重合促進剤として鉄化合物を入れるとさらによく接着するということがわかり、そのデータを1986年に学会発表しています。それがもととなって、今では酸性モノマーでシランカップリング剤を活性化することによるポーセレンプライマーというものが各社で幅広く製品化され発売されるきっかけになっています。

眞坂貴金属接着用の「V-プライマー」も追加されたものの一つですね。

中村東京医科歯科大学の門磨義則准教授がSH基を有するチオン系の接着性モノマーを合成し、これが貴金属合金の金やパラジウムなどに接着することを明らかにして、「V-プライマー」という名前で1994年に発売されました。臨床応用にあたっては、当時、長崎大学におられた松村英雄先生と、熱田充教授(現名誉教授)によって精力的に行われました。

眞坂その頃には、磐石とも言えるスーパーボンドの接着の基礎ができ上がってきました。その後1995年には、造影性がないという不満に対応したポリマー粉末・ラジオペークが開発されました。

中村歯冠修復用のスーパーボンド粉材の「オペークアイボリー」と、造影性の「ラジオペーク」は、松村英雄先生による研究から生まれました。白色のオペーク性を発揮させる素材として酸化チタンに由来するものがあるのですが、単にそれをPMMAのポリマー粉末に添加するだけではスーパーボンドは糸引き状態になって非常に使いにくかったのです。松村先生は東北大学工学部のご出身なので、東北大学工学部と共同研究して、酸化チタンの表面をマイクロカプセル化することによって問題を解決し、今のスーパーボンドのオペーク材である「オペークアイボリー」、「オペークピンク」を創造なさっています。そして、さらにその技術を発展させ酸化ジルコニウムとPMMAの複合体として添加したものが造影性の「ラジオペーク」です。

生体親和性の良さから生まれた
スーパーボンド根充シーラー

眞坂2005年にはスーパーボンド根充シーラーが発売されました。私は1980年代後半から自分の臨床では無機セメントがなくなりすべてがスーパーボンドでしたが、実は根管充填も1991年からスーパーボンドに変わっておりました。良好な接着封鎖性、ならびに歯根膜細胞、歯髄に対する生体親和性についてしっかりしたデータが出ていましたから、必然的にスーパーボンドを根充シーラーに展開させる発想に到達したのです。なぜ、封鎖性が悪く、そのうえ生体親和性のないユージノール系シーラーが今の時期においても変わらずに使われているのか、不思議でしょうがないんです。

下野根尖病巣というのはあくまでも感染症ですから、感染源とその歯周組織の間を完璧にシールしたら病変は起こらないという認識が不十分なのだと思います。炎症というのは血管結合組織における生体の防衛反応ですから、歯髄が死んでしまった場合、歯髄には炎症は起きないのです。歯髄の壊死組織には偏性嫌気性菌などが含まれているわけですが、それが異物として根尖孔から外に逸出して、そこで初めて炎症が引き起こされるわけです。根尖部の側枝や副根管などあらゆる可能性のある交通路経由の辺縁漏洩をなくすような材料で封鎖すれば、そういった病変は起こらないと考えられます。表現は悪いかもしれませんが、臭い物には完全に蓋をしてしまえということです。最近、難治性の根尖病巣の場合には偏性嫌気性菌がその病巣内で増殖していることが示されました。その菌塊を除去できないために、なかなか治癒しないのだと言われています。バイオフィルムが根管の外に一旦できてしまうと、取り除くことは難しいのです。

眞坂根管の中をきっちりとスーパーボンドで封鎖しておけば、最終的に根尖部にバイオフィルムが残っていても歯根端切除や再植による根尖部処理で対応可能です。単根歯なら一度抜いて、根尖部をきれいにして、もう1回戻します。私はそれしか方法はないと思っています。スーパーボンドを使ってからは、本当に術後トラブルはありません。

山本私は修復の出身ですが、エンドの先生に聞くと、除去のことを常に考えているというのです。私も眞坂先生と同じようにしっかりと防げばいいという考えです。

眞坂ポストの接着も、メタルポストは歯根破折が多いということで、現在ガラスファイバー製に切り換わってきていますが、これは脱離が多いという話を聞きます。要するに光重合の接着性レジンでファイバーポストを入れるということが問題なのだと思います。デュアルキュアのボンディング材というのは根管の深いところまできっちり硬化しているのでしょうか。

中村通常のレジンというのは根本的に水と空気の触れているところはエアインヒビションと言って固まりにくいのです。二重結合が解けていないところがあり未重合になると、やはり接着していない部分が出てくるわけです。

眞坂だから、ファイバーポストもスーパーボンドで接着した方が保持力が良いと考えていますし、実際に脱離のトラブルはありません。

中村それはやはりスーパーボンドのTBBですね。TBBは水と酸素のあるところから重合硬化するというか、過酸化物をつくり出すという、その特異的な才能があると思います。

矯正から補綴、保存、歯周へ
拡大を続ける臨床応用

眞坂2005年にはスーパーボンド根充シーラーの他に、次亜塩素酸ナトリウムの問題を解決するアクセルも発売され、矯正から始まった臨床応用が補綴領域だけでは収まらず、その後、直接歯髄の保存にまで応用されるようになりました。山本先生は保存領域がご専門でいらっしゃいますよね。

山本スーパーボンドは私が小学生の頃からあり、先輩方から「優れた材料なんだよ」というところから教わった材料です。私は先生方が長年にわたって実績を出していただいてからの研究になりますが、その中で、使い勝手という面で、硬化時間とか、作業時間をどのように変えたらいいかとかを研究してきました。2005年のIADRで発表したのですが、スーパーボンドのクイックモノマーと普通のモノマーでの混和法で、4滴のうち比率を変えて行った結果、クイックモノマーを多くするほどセッティングタイムが短くなってきます。それにもかかわらず接着データはほぼ変わりません。今は開業していますが、クイックモノマーと通常のモノマーをその日の温度や症例によって変えながら使っています。また、破折歯の保存や歯髄系統に関しても直接覆罩にはスーパーボンドは欠かせないものになっています。

  • 図4従来モノマー液とクイックモノマー液の混合比率が硬化時間に及ぼす影響
    N.Yamamoto, S.Wakamatsu, S.Hirayama,N.Kamiya and T.Ikemi: IADR2005(Baltimore)

  • 図5従来モノマー液とクイックモノマー液の混合比率が接着強さに及ぼす影響
    N.Yamamoto, S.Wakamatsu, S.Hirayama, N.Kamiya and T.Ikemi: IADR2005(Baltimore)

眞坂破折歯の保存のお話が出ましたが、それに関連したもので、実は1995年より、スーパーボンドによる(縫合部)パック、SBパックと呼んで活用しています。下野先生にお願いして、SBパックのデータを出していただきましたが、非常にいいデータでした。これで、歯周病関連にもスーパーボンドをエムドゲインとかGTRメンブレンなどと併用すれば画期的なことができるのではと考えております。

下野私たちは歯周組織の歯肉上皮がエナメル質とどういうメカニズムでくっついているのかということを長年研究してきました。これは一言で言うと、接着性蛋白のラミニンとインテグリンが上皮とエナメル質の間に発現してきて、これによってくっついているということが分かりました。ネズミを使った実験によると、歯肉を切除した表面に傷を完全に封鎖するという意味合いで、4-METAレジンを使ってみると、傷口が完璧にシールされて治りがよくなりました。再生してくる上皮とレジンの間に、ものの見事に接着性蛋白のラミニンとインテグリンが発現してきました。これによって、4-METAレジンは歯周パックとして新たな応用が十分可能だろうと考えています。もう一つ、GTRの膜を歯に固定することは臨床的には非常に難しい問題なのですが、4-METAレジンの応用によってどうやらクリアできそうです。GTR膜への応用は薬事面での検討が必要ですが、4-METAレジンは歯髄と同じ間葉系の組織・細胞である歯槽骨、歯根膜、セメント質に対しても良好な親和性を発揮すると考えていますので、今後の臨床応用に向けた研究が進んでいくことを期待しています。

眞坂先程もお話しましたが、私は再植というものに非常に期待しています。破折した歯を接着保存して大体10年ぐらいすると、破折部のところから垂直性の歯根吸収が起こります。それを一度抜いて、その歯の歯頸部にGTRメンブレンを固定し、そのまま元へ戻して再植するわけです。破折部分は10年経ってもしっかり接着していますから歯冠修復物には手を加えません。それでまた10年使えれば、これから有効な治療法になると。そういう意味で、SBパックというのは素晴らしいと思います。ところで、最近スーパーボンドと似たようなMMA系の製品も出てきていますが…。

中村スーパーボンドとの違いはやはりTBBじゃないかと思います。4-METAは酸性です。TBBは酸性モノマーの重合に悪影響を及ぼすことは全くありません。他社が使っているのはほとんどレドックス系のBPOです。アミンは塩基性であり、4-METAなどの酸性の接着性モノマーと共存させると殺し合い現象が起きてしまいます。その結果、酸性モノマーが死んだ場合は接着性能がなくなり、アミンが死んだ場合は硬化が不良になります。歯質、メタル、セラミックスなどすべての接着においてTBBと酸性の接着性モノマーとの組み合わせが有利であることはもう動かし難い事実ですので、他社の追随を許さないというのは、そういうところではないかと思います。

操作性が格段に向上した
New スーパーボンド

眞坂それがスーパーボンドの評価が今まで下がらなかったという理由でしょうね。ただ、スーパーボンドの操作性というのは非常にマイナー的な面がありました。

中村手元での操作可能な時間が短く、口の中に入れてからの硬化時間が長い。だから、使いにくいと言われています。それを改良したのがNew スーパーボンドです。

眞坂以前、「ブリッジを装着しようとしたら、途中で固まって、大変な思いをした」と接着歯学会のある先生に怒られたことがあります。ダッペンディッシュを冷やせば解決するということを提案して、もう20年ぐらいそのシステムでやっているわけです。今回ようやくその冷却の必要のない粉材が開発されたということで、非常に期待しています。

図6筆積セット構成

山本Newスーパーボンドは、3つのセット構成があって、ひとつは従来のC&Bをそのまま継続するC&Bセットで、使い慣れたものを使い続けられます。ほかの2つ、筆積セットと混和セットが今回の改良の目玉でして、一言で言うと、非常に使いやすいということです。この2つは、まず手元の操作時間が長くなって、口腔内で硬化するのが早くなっています。また、真夏のような室温が25℃を越える場合を除きますとミキシングステーションを冷やす必要性が全くなくなりました。まず筆積セットですが、筆積ポリマー粉末が新開発され、ダッペンディッシュがディスポダッペンカップに変わって、取り扱いが簡単になりました。あと表面処理材 高粘度レッドがシリンジタイプになって使い勝手がいいのと、筆積LLのディスポチップは筆が太いので、かなり大きいポリマー玉を使うときに今までより使いやすいですね。

中村LLの筆は一度に多くの粉末が採取できますから、筆積でインレーやクラウンの接着を行う場合に非常に有効だと思いますね。それと、ディスポ筆がケースに入って、1本1本、リーマーケースのようなプラスチックケースからスライド式で採取可能になりましたから、非常に衛生的になったうえに取り出し易くなりました。

眞坂硬化時間はいかがですか?

山本筆積クリアの硬化時間は3.5分、咬合調整は5分後には可能です。そして混和セットでは、混和粉材が2種類、混和ティースカラーと混和ラジオペークがあります。16℃における手元の操作時間は約3.5分、23℃でも約2分あります。硬化時間も約6.5分で、咬合調整は8-9分と10分以内で可能となっています。ということで、操作時間が延長され、硬化時間は短縮されましたので理想的な材料になりました。

中村混和セットも、ダッペンディッシュはディスポになっていますから、操作性もいいですが、なにより衛生的ですよね。冷却する必要もなくなりましたし、粉のなじみが良く、すぐクリーミーになるために盛りつけの時間が短縮されました。また、単品を購入した際にはプラスチックトレーの中の構成品内容を自在に変更し、セット箱に組み込むことができます。自分が使いやすい粉や液などを自由に箱にセットできますので、いわゆるマイスーパーボンドをつくることができます。

山本もう一つ付け加えるなら、表面処理材グリーンのエッチング材もシリンジタイプになって非常に使いやすくなったということと、装着物周辺の余剰セメント材の除去がすごく楽になったということです。これからスーパーボンドをお使いになる先生にも、Newスーパーボンドをお勧めできます。

眞坂除去が楽になったというのは、何か理由があるのでしょうか。

中村粉材の改良じゃないかと思います。PMMAの表面性状を改質して、モノマーへの粉末の溶解速度を抑えることによって、組成を変更せずに操作時間の延長を図っていますので、手元での操作時間の延長に加え、シャープに硬化後はパリパリッという除去しやすいような操作感につながっているのではないでしょうか。

眞坂本当にスーパーボンドというのはずいぶん恵まれた環境にありますね。いろいろな先生がいろいろ素晴らしい研究をされて今のスーパーボンドに結実しています。今回の改良点をまとめると、冷却しなくても十分な混和時間とシャープな硬化特性、操作性が格段に向上したということでしょうか。新世代のNewスーパーボンドに生まれ変わったことで、この材料の普及に一層拍車がかかるものと期待しています。本日はどうも有難うございました。 

  • 図7シリンジタイプの表面処理材 高粘度レッドによってピンポイントでエッチングできる

  • 図8筆積クリアによって動揺歯固定も短時間で塗布できる

  • 図9ディスポチップ(筆)は全種類プラスチックケースになり、スライド式で簡単に採取可能になった

  • 図10混和セット構成

  • 図11混和セットの操作時間と硬化時間(咬合調整可能な目安)

図12収納のバリエーション

  • [スーパーボンド]歯科接着用レジンセメント ■管理医療機器(クラスⅡ)■医療機器認証番号 221AABZX00115000

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