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DMR ディー・エム・アール

No.231 2018年10月1日発行
スペースラインEX マイクロスコープ診療に適したユニットとは / シグノT500 STUDIO F・A・PORSCHEの卓越したデザインと機能性
東京都中野区 ユニゾンデンタルオフィス 院長 麻生 昌秀、f/p design gmbh 代表 Fritz Frenkler、モリタ製作所 / 兵庫県高砂市 岩本歯科 院長 岩本 宏、STUDIO F・A・PORSCHE、モリタ東京製作所
麻生 昌秀先生×モリタ製作所

スペースラインEX
マイクロスコープ診療に適したユニットとは

麻生 昌秀先生(東京都中野区 ユニゾンデンタルオフィス 院長)×モリタ製作所(スペースラインEX開発者)

これまで半世紀以上にわたって、人間工学に基づき術者の安定した姿勢と患者さんの心地よさを追求し続けてきた「スペースライン」。そして最新機種「スペースラインEX」は、新たに搭載されたインスツルメントをはじめ、5つのポイントが近年注目のマイクロスコープを用いた診療にも高い親和性をもたらしています。
なぜ、スペースラインEXはマイクロ診療と親和性があるのか、麻生昌秀先生と由利正樹(モリタ製作所)にお話しいただきました。

麻生先生 私は普段ベッドタイプのチェアユニットで診療を行っていますが、スペースラインEXの開発にあたり、マイクロスコープ診療をよりスムーズにストレスなく行える新たな機能について、術者の視点からアドバイスさせていただきました。その大きな特長として、根管治療では新たにEMR機能が内蔵され、根管形成・根管拡大が最低限のストレスで行えるようになっているだけでなく、煩雑な治療前の器具器材の準備も必要ありません。
ただ、本来マイクロスコープ診療には、見えない部分を見るためのミラーテクニックと、マイクロ下で覗き続けながら集中して診療を行うためのアシスタントワークが欠かせません。これらを常に自然な姿勢で行えるスペースラインのこだわりは踏襲されています。

由利 スペースラインEXの開発コンセプトは「変わることなく進化する」ですが、お話しいただいたミラーテクニックとアシスタントワークは「変わらない」部分で、EMR機能はスペースラインEXになって「進化」した特長です。また、マイクロスコープ診療をさらに快適に行える機能として、ゆっくりユニットを昇降させることでピント合わせが可能なマイクロモード、ユニット一体型にも関わらずマイクロスコープに伝わる振動を抑えた除振機構をはじめ、様々なこだわりを盛り込んでいます。

麻生先生 除振機構は将来的にマイクロスコープ導入を検討している先生にとってもユニット選択の大きなポイントになりそうですね。その他に、マイクロスコープ診療では拡大視野で診療を行える分だけ手指の正確な動きが必要になりますが、そのためにはできるだけ患者さんを高い位置で診たいんです。それを可能にするため、開発段階で術者の手元の位置まで上昇できるように提案しました。その結果800mmまで上昇可能となり、固有感覚に基づいた自然で楽な姿勢を保つうえで理想的とされる高さに近づきました。

由利 最低位は380mmで昇降幅は420mmまで設けましたので、マイクロスコープ診療のほか、小児や高齢の患者さんが快適に乗り降りできるようになっています。さらに、インスツルメント、チェア、オペレーティングライトの操作をフットコントローラーで行えるようにして、今後ますます高まっていくと考えられるインフェクションコントロールにも配慮しています。

麻生先生 これからの診療はマイクロスコープを駆使した精密な治療と、ユニットにはできるだけ触れない(タッチレス)スタイルがトレンドになるでしょう。スペースラインEXはそうした「未来に繋がるユニット」として今後の広がりに期待しています。

スペースラインEXがマイクロスコープとの親和性をもたらす5つのポイント

ポイント1 マイクロモード+垂直昇降(最高位800mm)

マイクロモードに切り替えることで、チェアの昇降スピードをスロースピードにできます。さらに微妙な焦点距離の調整をフットコントローラーで操作でき、術者は視線を外さずに集中して治療を行うことができます。また、最高位は800mmまで垂直に上昇し、高い位置で治療が行えるので、腕がV字になりアームレストを使わなくても長時間ストレスを感じずに治療を続けることができます。

  • ハッチリーマーキットの写真
    ゆっくり垂直に昇降するので、根管孔から根尖部のフォーカスをチェアの動きだけで行うことができます。さらにその操作はフットコントローラーによる足の操作で行えるので、術者は術部から視線を外さず、またインスツルメントを持ち変えず治療に集中することが可能です。
    • マイクロモード+垂直昇降 + フットコントローラーによる操作 = 治療時間の短縮
    • 麻生先生と左はモリタ製作所 高嶋美彦(常務取締役)、右は由利正樹(技術開発部 次長)
      麻生先生と左はモリタ製作所 高嶋美彦(常務取締役)、右は由利正樹(技術開発部 次長)
ポイント2 根管治療に適した様々な機能をオールインワンで

EMR機能を搭載した「トライオートZX2」「ソルフィーF」の機能がビルトインされ、より精度の高い根管治療を可能にします。

根管治療に必要なEMR機能がビルトインされ、根管内の情報はディスプレイに表示される。
根管拡大形成
  • 根管拡大形成の図
    OGP機能:モーターによる穿通・グライドパスが可能
    術者による手指の細かな動きをモーターで再現。EMR機能により切削片を根尖に押し出したり、根管孔を不用意に壊してしまうことなくより正確でスピーディーな治療を可能にしました。
  • 根管拡大形成の図
    OTR機能:ファイルが折れにくく効率的な根管拡大が可能
    切削回転中、ファイルにかかる負荷に応じて反転することで、ファイルの食い込みや破折を防ぐことができます。
    画像提供:牛窪敏博先生/外賀泰先生
洗浄及び根管長測定
  • 洗浄及び根管長測定の図
    根管長を測定しながら洗浄拡大を行えるので、根尖孔を誤って拡大してしまうことがありません。また、根管内に挿入されたチップやファイル先端の根管内位置がディスプレイに表示されます。
ポイント3 マイクロスコープのブレを抑える除振機構を内蔵

揺れを少なくする除振機構が内蔵されているので、マイクロスコープをマウントした際、焦点のブレを最小限に抑えることができます。そしてこの除振機構はFATシステムの揺れ防止にも効果を発揮しています。

  • 除振機構が内蔵されているのでユニット一体型なのに焦点がブレない。
  • 焦点があっている画像
    除振機構をどの場所に設置したらいいか、どれだけ速やかに減衰すればいいかなど、大画面に画像を映し出して何度も評価、改良を行いました。
ポイント4 チューブタービンの「重さ」のストレスを軽減する“AIキャッチ”

マイクロスコープ診療では見ることより、術部を見ながら手を動かすことがより重要になります。特に根管治療で使用するモーターは重く、チューブのテンションも精密な治療を妨げる要因になります。スペースラインEXでは、これまでのスペースラインと同様、インスツルメントはいつでもピックアップしやすい位置に配置され、新たに装備された「AIキャッチ」機能により、モーターやチューブの重さが軽減され快適に治療を行うことができます(PdWトレーシステムの場合)。

  • AIキャッチの説明図
ポイント5 アシスタントとのスムーズな連携が可能

マイクロスコープ診療では術部へのフォーカス合わせが大変なため、一度合わせたフォーカスに対して、できるだけ視線を外さずに継続して治療を行うことが、スピーディで効率の良い診療を行う秘訣です。そのためにはアシスタントワーク(4ハンドシステム)が欠かせません。スペースラインEXでは、歴代のスペースラインシリーズと同様に、アシスタントとのスムーズな連携を可能にする特長が受け継がれています。

なぜスペースラインでは、アシスタントが無理のない自然な姿勢で作業を行えるのでしょう。その秘密は、スリーウェイシリンジとバキュームシリンジの形状にあります。

スリーウェイシリンジの形状

ミラークリーニングを行う際、スリーウェイシリンジを長く持ちシリンジのノズルをミラーに平行にして口腔内に入れるだけで、口の中を覗き込むことなく適切な位置にエアーをかけることができる長さと形状になっています。

  • スリーウェイシリンジのノズルの形状
バキュームシリンジの形状

バキュームシリンジの長さは、脇を締めた自然な姿勢で前腕を伸ばした時、チップの先端が患者さんの右臼後結節に届く長さに設定されています。さらに、バキュームで口腔内洗浄を行うことでうがいの時間を短縮でき、マイクロスコープのフォーカス合わせを再度行う必要もありません。アシスタントは、患者さんの左口角だけを見て、その位置にバキュームを合わせることで、唾液や水を吸引することができます。

シリンジを違う位置でグリップすると肘が体から離れた不安定な姿勢となり、長時間のバキューム操作が困難になります。

  • シリンジをグリップする位置 ○
  • シリンジをグリップする位置 ×
  • バキュームシリンジとバキュームチップの角度

    バキュームシリンジとバキュームチップの角度
    アシスタントが自然な姿勢を保ったままバキュームシリンジを操作できるように、シリンジのボディ部分とチップ部分の角度を90°に設定しています。

患者さんの左口角にバキュームチップのを軽くあてることで右側臼後結節、のラインを左側上顎咬合面に沿わせることで左側臼後結節の唾液や水を吸引することができます。

  • 患者さんの左口角にバキュームチップのAを軽くあてる写真
  • 患者さんの左口角にバキュームチップのAを軽くあてる写真
  • バキュームの図

f/p design ―沿革と受賞歴―

f/p designは2000年にドイツで設立され、代表のフリッツ・フレンクラーが率いるミュンヘンと京都のデザインチームは、製品デザインを中心にインターフェース、インテリア、グラフィックに至る幅広い分野においてデザイン業務に携わっています。ヨーロッパ、アジア、アメリカの多くの大手メーカーに向けて、デザイン戦略やコーポレートデザインに関するサービスを提供しており、日本のグッドデザイン賞の金賞や、ドイツのiFデザイン賞の金賞など、設立以来で60を越えるデザイン賞を受賞しています。

  • f/p design 事務所外観
  • f/p design 事務所内観
  • f/p design 事務所内観
Spaceline EXのデザイン
f/p design gmbh 代表 Fritz Frenkler

スペースラインは、モリタグループの製品ラインナップを代表するチェアユニットのシリーズであり、モリタブランドの代名詞とも呼ばれています。世界ではじめて水平診療を実現したチェアユニットとして、将来も歯科医療の分野で革新的な存在であり続ける使命を持っているともいえます。

Spaceline EXの開発は、モリタ製作所のエンジニアと私達の共同作業で進められました。私達の仕事は、スペースラインの設計思想をデザインの観点から解釈して、導き出したデザインの解を、次世代のユーザーに伝わるように分かり易く表現することでした。人を中心とした設計思想の目的は、ユーザビリティの追求にあります。歯科医師や歯科衛生士にとってのユーザビリティとは、目的の作業をいかに効率良く達成できるかを意味します。

多くの機能を搭載したSpaceline EXは、極めて高度で複雑な設計要素をもつ製品です。私達は、製品パーツの一つひとつを、機能に即して簡潔に整えていくことで、ユニット全体を明快で分かり易い形状にまとめました。製品の視覚的な複雑さの除去と、機能の分かり易い表現は、歯科医師や歯科衛生士の作業への意識集中と作業効率の向上に寄与します。また、製品全体での秩序正しいデザイン処理は、Spaceline EXが内蔵する先進の診療テクノロジーを、外観に可視化する役割も担っています。患者さんは、洗練されたデザインを通して、最高水準の環境で診療を受けている安心感を得ることができるのです。

人を中心とした設計思想を表現したSpaceline EXのデザインは、まさにモリタDNAを体現するものです。その独自で卓越したユーザビリティにより、モリタブランドの革新性とスペースラインの存在がさらに高く評価されることを確信しています。

Fritz Frenkler (フリッツ・フレンクラー)経歴
フリッツ・フレンクラー氏は、ドイツのブラウンシュヴァイク造形美術大学を卒業後、ドイツとアメリカのフロッグデザインにてデザイナーとしての活動を始めました。1986年には東京でフロッグデザインアジアを設立し、その代表に就任しました。1992年からは、ヴィーゲウィクルハーンの代表となり、その後ドイツ鉄道株式会社のデザインセンター長を歴任しました。2000年に f/p designを設立し、現在その代表を務めると共に、iFプロダクトデザイン賞の審査委員長、2006年からはミュンヘン工科大学の建築学部工業デザイン学科の修士および博士課程の教授も務めています。

岩本 宏先生×モリタ製作所

シグノT500
STUDIO F・A・PORSCHEの卓越したデザインと機能性

岩本 宏先生(兵庫県高砂市 岩本歯科 院長)×モリタ東京製作所(シグノT500開発者)

「機能をカタチにする」をコンセプトに高いデザイン性を誇るポルシェデザインと、術者の使い勝手と患者さんの快適性を追求するモリタとのコラボレーションにより誕生した「シグノT500」。その特長と使用感について、「シグノLX-1」「シグノトレファート」さらに今回の「シグノT500」と、歴代シグノシリーズのユーザーである岩本 宏先生と金子孝士(モリタ東京製作所)にお話しいただきました。


私たちメーカー側のリクエストした機能を盛り込みながら、統一感のあるデザインに落とし込めたと思っています(金子)。日頃の手入れを怠らずに長年うちのエースとして活躍してもらうつもりです(岩本)。

金子 「シグノT500 」は「シグノトレファート」に続き、STUDIO F・A・PORSCHEがデザインしています。今回のデザインでは、トレファートで培ったノウハウに加えて、デザイナーが実際に日本の歯科医院を見学し歯科事情の理解につとめたり、私たちメーカー側とのディスカッションを繰り返し行うなどした結果、使い勝手や快適性の部分でさらに進化を遂げることができたと自負しています。

岩本先生 使う側としては、デザイン面よりも機能の方に目がいくのでデザインだけを見て評価はできませんが、トレファートのイメージを残しながらも全体的に丸みを帯びて飽きのこない形状がとても気に入っています。特にシートの座面がトレファートでは平らで直線的な感じだったのが、T500ではお尻のところが少し窪んでいて座りやすくなっていますね

金子 はい。T500では、できるだけ奥にしっかり座ってもらって患者さんの正中が決まるように体圧分布を考慮したバケットタイプにしています。お尻の位置が決まることで頭もズレにくくなります。シグノシリーズは、代々背ズレが起きにくいことを売りの一つにしていますが、T500はバックレストと連動してシート部分が可動し、背ズレがこれまで以上に軽減できるようになっています。

岩本先生 確かに20年近くシグノを使用してきて、患者さんの背ズレを気にすることはほとんどありませんでしたが、T500にもその特長が受け継がれているわけですね。

金子 患者さんの快適性という部分では、2軸式のヘッドレストと上下にスライドするバックレストを採用しています。

岩本先生 この機能は大ヒットです。以前のチェアではヘッドレストとバックレストを最大まで伸ばしても足りないほど高身長の患者さんがいましたし、お子さんや腰の曲がったお年寄りなど、患者さんは身長、年齢ともに千差万別ですが、現状では全ての患者さんに対応できています。

  • シートを触る岩本先生の写真
  • チルチング機構の写真
  • 足折れの写真
  • ヘッドレストの写真
  • ヘッドレストの写真
  • 1:「何も知らない患者さんがT500に座るなり『椅子新しくなりました?』と聞かれました」と岩本先生。 2:チェア傾斜時にバックレストと連動してシート部が可動し、背ズレを防ぐチルチング機構を採用。 3:足折れのステップがなくなり乗り降りと清掃性がアップ。 4、5:ヘッドレストの調整機能はいろんな身長の患者さんに合わせられ便利。

金子 高齢化が今後さらに進みますから、T500では、高齢者をまずベースに考え2軸のヘッドレストを採用しました。そこから背の高い人にもアジャストできる可動域が広いバックレストを取り入れています。

岩本先生 あと、足折れタイプのステップがなくなったことで座面がさらに低くなって乗り降りがとても楽になりました。今までステップに足を載せてからシートに座る方もいて少し危なく感じることもありましたが、T500では、シートの前までスッと入って来てお尻の窪みにうまく誘導されてバックレストに背中を沿わすように深く腰掛けてくださいます。患者さんの導入・位置づけがとても親切に設計されていると感じます。

金子 T500では、衛生管理の強化とメインテナンス性の向上も大きな改良点なのですが、実際にお使いいただいていかがでしょう。

  • T500の写真
  • メンテナンス時の写真
  • 1:日常的にメインテナンスが必要な部分はすべてユニットサイドに回り込むことなく正面から作業できるのは、診療室のスペース確保に頭を悩ませる先生方にとっても朗報。 2、3:バキューム管路クリーンシステム 4:カットフィルター
  • フットコントローラーの写真
    1:ハンドピース制御やチェアのオート操作など、機能拡張が選択できるフットコントローラー。 2、3:ペダルの角度が小さくなってふくらはぎの負担が軽減。「移動させる際のフットハンドルは斜めからでも足を入れられる」と岩本先生からも好評価。
  • AIキャッチ機能の写真
    ペダルを踏むとチューブを挟んで手首への負担を軽減するAIキャッチ機能を搭載。

岩本先生 トレファートまでは、バキューム管路をユニット横の扉を開けて清掃する必要があり、うちの診療室はパーテーションで区切っているので、それを移動してユニットの扉を開いてと毎日大変でした。T500では、バキューム管路の洗浄や除菌・カットフィルターなどのメインテンスがユニットの正面(術者側)からできるようになったので、手入れするスタッフからの評判も上々です。

金子 特に日本の歯科医院ではスペースが限られる場合が多く、メインテナンス性の向上も先生方からご要望があった1つです。患者さんごとに洗浄が必要なバキューム管路もこれまではコップで水を吸わせたりといった別作業が必要でしたが、現在は治療が終わると装置に差し込んでスイッチを押すだけで管路内を洗浄できるようになっています。

岩本先生 あと、一日1回ホースの洗浄のために薬剤を通すのですが、ベースンにあるフラッシング装置に差し込むだけで管路内の残留水を排出し洗浄するところまで自動でやってくれます。こうした機能もこれからのインフェクションコントロール対策に欠かせないものになっていくでしょう。

  • ハンドピースの話をする岩本先生の写真
    「ハンドピースが軽くコンパクトになって、重量バランスも持ちやすいように考えられていて疲れをほとんど感じません。おかげで使用頻度が上がっています」と岩本先生。
  • LEDライトを使う岩本先生の写真
    LEDライトを使うのは初めてという岩本先生。「無影効果もあるので、私の頭が半分かぶってしまっても十分な明るさがあり重宝しています」。
  • 診療室のワンショット
    診療室のワンショット。
    奥からシグノLX-1、シグノトレファート、シグノT500が並ぶ。


「メーカーとユーザーという関係の前にまず人間関係が大事」と岩本先生。左はモリタ東京製作所の金子孝士(第1技術開発部 部長)、右は上田智章(営業部 部長)。

金子 これまでユーザーの先生方にご意見をいただく中で、メインテナンスの手間を軽減して欲しいという声をたくさんいただいていました。また、感染対策についても同様で、血液や汚染が気になるハンドルやホルダー部分もシリコーン製で術者が触れる部分は基本的に全てオートクレーブ可能になっています。

岩本先生  私は、殺菌力のある機能水(微酸性水)を診療に使うために以前から調査・研究を重ねてきましたが、最近では治療に応用する先生やそうした教育を受けた歯科衛生士も増えています。今後、歯科用ユニットにもその流れは加速度的に進むでしょう。T500はそのパイオニアとしての役割を担ってくれることを期待したいですね。

Design must be honest

F.A.ポルシェ

我々のデザインスタジオは1972年にツェル・アム・ゼー(オーストリア)に設立されましたが、この時すでにF.A.ポルシェは、ポルシェ911のデザインにおいて実績があり、この哲学に確証を持っていました。それは装飾を排しながらも時代を超越したデザインを備えています。完璧に仕立てられたテーラードスーツのように、スポーツカーに求められる技術的なエッセンスが散りばめられています。静止している状態にあってすら、911からは躍動への渇望を感じ取ることができるのです。

人間工学と美を体現したテクノロジー モリタが歯科医師に贈る新機軸チェアユニット

モリタの進化系チェアのデザインを担当するということは、最上級の満足感と完全なる機能性を示すことがトップ・プライオリティとして求められます。人間工学や耐久性・信頼性、モジュール性を併せ持つこのチェアユニットは2018年5月に日本で初披露されました。モリタは世界から医療技術製品における最も重要なマニュファクチャラーの1社として考えられており、品質に妥協は許しません。

この伝統ある日本企業と共に、我々は綿密に市場分析を重ね、専門家と協議を行い、また、日本だけでなく欧州の歯科医師からの意見もふんだんに取り入れ、このチェアユニットを開発しました。その過程では、高品質な素材や機能品を用いた等身大のモックアップなどで徹底した検証を行い、歯科医師と患者さんにとって心から満足を感じていただける最良の形を明確にしていったのです。患者さんが快適にリラックスできる姿勢は、歯科医師にも効果的でスムーズな治療をもたらすでしょう。革新的な特長の一例として、ヘッドレストは口腔内のあらゆるエリアを効果的に処置するべく全方位に調整が可能です。

専門家と協議を行う写真家具調度品産業からもインスパイアを受け選定した素材やカラーは、診療室に居心地の良さをもたらします。“ ソフト・プレシジョン”、すなわち、柔らかな印象を持ちながらも細部には徹底した正確さを求めるというコンセプトを我々は掲げ、有機的でありながら、精密かつ技術的な要素を取り入れています。いつでもすべての必要な器具を手に取れるよう、ユニットは様々な使用方法を追究しており、直感性を損なわない治療を可能にします。このTシリーズすべてのチェアユニットは互いに相乗効果を生むべく、各要素がモジュール性とカスタマイズ性を備えています。

様々な高さ、リクライニング角度は子どもから高齢者までを考慮し、そして歯科医師には立位での外科的治療も可能にします。また、ベースンは患者さんの目の前に旋回して出てくるなど快適さも忘れません。

シンプルかつ効果的なケアを念頭に置いたすべてのメインテナンス要素はメインテナンス扉の内側に集中配置しております。このチェアユニットは、1つひとつのニーズを満たせるよういくつかのバリエーションを持ちながら構成されています。我々の哲学は、革新的でありながら熟慮された技術と、最上の生産性からなる洗練されたデザインとの結合で現されます。この新しく“進化”したチェアユニットは、新たなデザインスタンダードとなる可能性を十分に秘めており、歯科医師とアシスタントにプレミアムなパフォーマンスをお約束いたします。

Download (PDF, 4.52MB)

これまで半世紀以上にわたって、人間工学に基づき術者の安定した姿勢と患者さんの心地よさを追求し続けてきた「スペースライン」。そして最新機種「スペースラインEX」は、新たに搭載されたインスツルメントをはじめ、5つのポイントが近年注目のマイクロスコープを用いた診療にも高い親和性をもたらしています。なぜ、スペースラインEXはマイクロ診療と親和性があるのか、麻生昌秀先生と由利正樹(モリタ製作所)にお話しいただきました。麻生先生 私は普段ベッドタイプのチェアユニットで診療を行っていますが、スペースラインEXの開発にあたり、マイクロスコープ診療をよりスムーズにストレスなく行える新たな機能について、術者の視点からアドバイスさせていただきました。その大きな特長として、根管治療では新たにEMR機能が内蔵され、根管形成・根管拡大が最低限のストレスで行えるようになっているだけでなく、煩雑な治療前の器具器材の準備も必要ありません。 ただ、本来マイクロスコープ診療には、見えない部分を見るためのミラーテクニックと、マイクロ下で覗き続けながら集中して診療を行うためのアシスタントワークが欠かせません。これらを常に自然な姿勢で行えるスペースラインのこだわりは踏襲されています。由利 スペースラインEXの開発コンセプトは「変わることなく進化する」ですが、お話しいただいたミラーテクニックとアシスタントワークは「変わらない」部分で、EMR機能はスペースラインEXになって「進化」した特長です。また、マイクロスコープ診療をさらに快適に行える機能として、ゆっくりユニットを昇降させることでピント合わせが可能なマイクロモード、ユニット一体型にも関わらずマイクロスコープに伝わる振動を抑えた除振機構をはじめ、様々なこだわりを盛り込んでいます。麻生先生 除振機構は将来的にマイクロスコープ導入を検討している先生にとってもユニット選択の大きなポイントになりそうですね。その他に、マイクロスコープ診療では拡大視野で診療を行える分だけ手指の正確な動きが必要になりますが、そのためにはできるだけ患者さんを高い位置で診たいんです。それを可能にするため、開発段階で術者の手元の位置まで上昇できるように提案しました。その結果800mmまで上昇可能となり、固有感覚に基づいた自然で楽な姿勢を保つうえで理想的とされる高さに近づきました。由利 最低位は380mmで昇降幅は420mmまで設けましたので、マイクロスコープ診療のほか、小児や高齢の患者さんが快適に乗り降りできるようになっています。さらに、インスツルメント、チェア、オペレーティングライトの操作をフットコントローラーで行えるようにして、今後ますます高まっていくと考えられるインフェクションコントロールにも配慮しています。麻生先生 これからの診療はマイクロスコープを駆使した精密な治療と、ユニットにはできるだけ触れない(タッチレス)スタイルがトレンドになるでしょう。スペースラインEXはそうした「未来に繋がるユニット」として今後の広がりに期待しています。「機能をカタチにする」をコンセプトに高いデザイン性を誇るポルシェデザインと、術者の使い勝手と患者さんの快適性を追求するモリタとのコラボレーションにより誕生した「シグノT500」。その特長と使用感について、「シグノLX-1」「シグノトレファート」さらに今回の「シグノT500」と、歴代シグノシリーズのユーザーである岩本 宏先生と金子孝士(モリタ東京製作所)にお話しいただきました。金子   「シグノT500 」は「シグノトレファート」に続き、STUDIO F・A・PORSCHEがデザインしています。今回のデザインでは、トレファートで培ったノウハウに加えて、デザイナーが実際に日本の歯科医院を見学し歯科事情の理解につとめたり、私たちメーカー側とのディスカッションを繰り返し行うなどした結果、使い勝手や快適性の部分でさらに進化を遂げることができたと自負しています。岩本先生  使う側としては、デザイン面よりも機能の方に目がいくのでデザインだけを見て評価はできませんが、トレファートのイメージを残しながらも全体的に丸みを帯びて飽きのこない形状がとても気に入っています。特にシートの座面がトレファートでは平らで直線的な感じだったのが、T500ではお尻のところが少し窪んでいて座りやすくなっていますね。金子 はい。T500では、できるだけ奥にしっかり座ってもらって患者さんの正中が決まるように体圧分布を考慮したバケットタイプにしています。お尻の位置が決まることで頭もズレにくくなります。シグノシリーズは、代々背ズレが起きにくいことを売りの一つにしていますが、T500はバックレストと連動してシート部分が可動し、背ズレがこれまで以上に軽減できるようになっています。岩本先生 確かに20年近くシグノを使用してきて、患者さんの背ズレを気にすることはほとんどありませんでしたが、T500にもその特長が受け継がれているわけですね。金子 患者さんの快適性という部分では、2軸式のヘッドレストと上下にスライドするバックレストを採用しています。岩本先生 この機能は大ヒットです。以前のチェアではヘッドレストとバックレストを最大まで伸ばしても足りないほど高身長の患者さんがいましたし、お子さんや腰の曲がったお年寄りなど、患者さんは身長、年齢ともに千差万別ですが、現状では全ての患者さんに対応できています。金子 高齢化が今後さらに進みますから、T500では、高齢者をまずベースに考え2軸のヘッドレストを採用しました。そこから背の高い人にもアジャストできる可動域が広いバックレストを取り入れています。岩本先生 あと、足折れタイプのステップがなくなったことで座面がさらに低くなって乗り降りがとても楽になりました。今までステップに足を載せてからシートに座る方もいて少し危なく感じることもありましたが、T500では、シートの前までスッと入って来てお尻の窪みにうまく誘導されてバックレストに背中を沿わすように深く腰掛けてくださいます。患者さんの導入・位置づけがとても親切に設計されていると感じます。金子  T500では、衛生管理の強化とメインテナンス性の向上も大きな改良点なのですが、実際にお使いいただいていかがでしょう。岩本先生  トレファートまでは、バキューム管路をユニット横の扉を開けて清掃する必要があり、うちの診療室はパーテーションで区切っているので、それを移動してユニットの扉を開いてと毎日大変でした。T500では、バキューム管路の洗浄や除菌・カットフィルターなどのメインテンスがユニットの正面(術者側)からできるようになったので、手入れするスタッフからの評判も上々です。金子  特に日本の歯科医院ではスペースが限られる場合が多く、メインテナンス性の向上も先生方からご要望があった1つです。患者さんごとに洗浄が必要なバキューム管路もこれまではコップで水を吸わせたりといった別作業が必要でしたが、現在は治療が終わると装置に差し込んでスイッチを押すだけで管路内を洗浄できるようになっています。岩本先生  あと、一日1回ホースの洗浄のために薬剤を通すのですが、ベースンにあるフラッシング装置に差し込むだけで管路内の残留水を排出し洗浄するところまで自動でやってくれます。こうした機能もこれからのインフェクションコントロール対策に欠かせないものになっていくでしょう。金子 これまでユーザーの先生方にご意見をいただく中で、メインテナンスの手間を軽減して欲しいという声をたくさんいただいていました。また、感染対策についても同様で、血液や汚染が気になるハンドルやホルダー部分もシリコーン製で術者が触れる部分は基本的に全てオートクレーブ可能になっています。岩本先生 私は、殺菌力のある機能水(微酸性水)を診療に使うために以前から調査・研究を重ねてきましたが、最近では治療に応用する先生やそうした教育を受けた歯科衛生士も増えています。今後、歯科用ユニットにもその流れは加速度的に進むでしょう。T500はそのパイオニアとしての役割を担ってくれることを期待したいですね。

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