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第5回(112号)

敬語を使えるようになりたい ~パート4~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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ASSISTANT ASSISTANT

きれいな日本語を話したくないですか?~パート4~心の扉をノックする言葉

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

抜けるような青空のもと、太陽に向かって色鮮やかにひまわりが大輪を咲かす季節になってきましたね。今年新しく就職された方も十分職場の雰囲気に慣れてきたころではないでしょうか。
患者さんや職場の方とも気持ちよく挨拶ができるようになりましたか。さて、今回は少し振り返って社会人の基本とも言うべき《挨拶》についてお話したいと思います。
挨拶という言葉の意味をご存知でしょうか。
挨拶という漢字の意味には「押して開いて近づく」という意味があります。何を押して開くかというと、“相手の心の扉”です。「心を開く」とか「心を閉ざす」という言葉があるように、人は第3者に対して目に見えない扉をもっているようです。
皆さんが、初めて職場に足を踏み入れたとき、どきどきしませんでしたか?
そして、相手が笑顔で「こんにちは」といってくれた時、ほっとして、こちらも挨拶しやすくなったのではないでしょうか?
このように笑顔で発される“挨拶”は、緊張している相手の心の扉をノックして、扉を開かせてくれる言葉なのです。しかも、挨拶をしたことで、その後の会話もしやすくなると思います。
社会に出るまでは、友達や知っている人にだけ挨拶をしていた方も、仕事を始めると、知らない方と出会う機会が増えます。
相手も心の扉を持っているはずです。
例えば、初めて来院する患者さんはどうでしょうか。「この医院の人は優しいだろうか。感じよかったらいいな」と思いながら、緊張して入っていらっしゃるはずです。
もちろん、まだ仕事や社会に慣れていないあなたも人見知りをするかもしれませんね。でも、あなたの職場をご自分の家だとしてください。あなたの家に訪ねてきた方はあなたより緊張していると思いませんか。だったら、あなたがその方を迎え入れて、リラックスさせてあげるのが当然だと思うのです。
医院に尋ねてきた患者さんを、あなたが先に挨拶をして、笑顔で迎えてあげれば、患者さんも緊張がほぐれて少しずつリラックスしていくのではないでしょうか。
そろそろ挨拶に慣れてきた方は、今度は、“先に”“明るく”“笑顔で”“目を見て”を心掛けて挨拶をしてみましょう。きっと、患者さんも心の扉を開いて、親しく会話ができるようになると思います。
話は変わりますが、先日東京に行ったときのことです。ランチの時間にあるカフェに入りました。友人と待ち合わせをしていた私は、4人がけの席が空いていたので、そこに座って待つことにしました。
4人がけといっても2人がけのテーブルが2つくっついた席でした。座るとすぐに店員が来たので、「もう一人来ますので、注文はあとでします」というと黙って去っていきました。
手帳に目を通していると、突然先ほどの店員が来て、何も言わずに2つくっついていたテーブルを引き離しにきました。突然だったので、ちょっとびっくりしました。
机を引き離すとまた何事もなかったように、去っていきました。その後友人が来て注文をしたのですが、注文したプレートも何も言わずに、ボンとおいていきました。先ほどの机の移動場面を見ていなかった友人も「なんだか感じ悪い」と思わずもらしたほどです。
確かに、どこにもドアはないけれど、私が手帳を見て座っていた空間は私の空間でした。そして、友人と話している時間は友人との二人の空間でした。まさにその見えない部屋に突然ノックもせずに踏み込んできて、だまってドアも閉めずに出て行ったという感じでした。
ちょっと一言、「失礼します」とか「お待たせしました」という言葉があれば、私は顔を上げ、見えない空間の部屋の扉を開けたのではないでしょうか。
例えばあなたが町を歩いていて、いきなり知らない人から何の前触れもなく、とても近くに寄ってきて「郵便局どこ?」って聞かれたらどう思いますか?
私なら、(変な人かしら?)と不安になり、一歩下がるかもしれませんね。知らない相手に話しかけるとき、相手が考え事をしたり、何かしているとき、そこには目に見えない部屋があると思ってください。ということは、相手に安心して扉を開けてもらうための言葉が必要だと思うのです。
待合室で待っている患者さんを呼ぶ時、チェアーにすわっている患者さんにエプロンをかけるとき、チェアーを倒そうとするとき…。いきなり相手の部屋に踏み込むのではなく「失礼します」「お待たせしました」トントンとノックをするような気持ちで話しかけてみてください。
このように、挨拶は、朝の挨拶、帰りの挨拶だけではないのです。
「おそれいりますが…」「よろしくお願いします」「しつれいですが…」。相手に対して話しかけるときや近寄るとき、相手に触れるとき、こちらの話を聞いて欲しいとき、何か受け取るとき、とまさに「コミュニケーションのきっかけ言葉」なのです。
前々回に“相手を動かす”ことの多い皆さんが少しでも気持ちよく患者さんに動いてもらうようにする言葉がけについてお話しましたね。
「“~して下さい”という指示・命令ではなく“~して頂けますか”という依頼形の言い方にすると、気持ちよく応じてくれますよ」という話をしたと思いますが、その依頼の言葉を話しかける前にも、この挨拶用語は使えるのです。
ぜひ、“明るく”“笑顔で”“自信を持って”“積極的に”、患者さんやスタッフの心の扉をノックしてください。
あなたは、ひまわりのように輝いた存在となり、患者さんやスタッフに安心感と信頼感を与え、より楽しい医院になることは間違いないでしょう。

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