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第7回(114号)

プラスαの一言

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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プラスαの一言

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

先日あるコーヒーショップに行ったときのことです。
「カフェラテ下さい」と注文してから、新製品の紹介の看板が目に付き、急に「マシュマロカフェに変えていいですか?」と聞くと、気持ちよく受けてくれました。受け取りカウンターで商品を待ちながら、「この間、○○さんがおいしいって言ってたわ。だから試してみたかったのよ」などと、同僚と雑談をしていました。
まもなく、注文のコーヒーを受け取り、テーブルについて飲んでいると、先ほどの店員さんが掃除をしながら近づいてきました。ふと通りすがりに、「マシュマロカフェのお味はいかがでしたか?」と笑顔で話しかけてきたのです。思わずこちらも笑顔で「あっ、おいしかったですよ」と返すと「ありがとうございます」と笑顔を返して、また通り過ぎて行きました。
コンビニエンスストアやファミリーレストラン、ファーストフードといったチェーン店の応対は確かに大体どこでも均一です。きっちりとした応対用語があり、どの店でもだいたい同じ接客を受けることができます。
でも、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「お待たせいたしました」「申し訳ございません」…。これらの言葉がないことで、不満を持つお客様はいらっしゃいますが、これらの言葉が発せられたからといって、満足したり、感動したりするでしょうか。
おそらくないと思います。なぜかといえば、当たり前のことだからです。接客業においては基本中の基本です。だからこそ、徹底は必要ですが、それで十分ではないのです。
私は年に数回、“選ばれる歯科医院になるために”というテーマで研修をさせていただいています。参加されるのは仕事経験の浅い方や新卒の方が多いので、必ず、応対用語の練習を行います。しかし、それができたからといって“選ばれる”歯科医院になれるわけではありません。
研修を実施する前には参加者の医院のドクターから、研修に向けて受講者のプロフィールや望むことをヒアリングします。
その際、多くのドクターが希望する項目として、“患者とのコミュニケーション”が多く挙げられます。
きっちりとした挨拶はもちろんですが、その後、緊張している患者さんや待っている患者さんなどに対して、日常会話をして気分を和らげて欲しいということです。
しかし、実際は、今まで同年代の友達とは話が弾んでも、まったく違う世代の方や知らない大人と会話する機会のなかった方々にとっては、これが至難の業です。何を話してよいのかわからないのです。
話は飛びますが、ある金融機関の窓口の女性の研修をしていたときのことです。
地域に根ざした機関でしたので、顔見知りの方や毎月足を運ばれる方もいらっしゃいます。
にもかかわらず、いつも「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」…ではあまりにも無味乾燥です。
そこで、この店舗のメンバーは、“挨拶や応対用語に、必ずプラスαの言葉を添えよう!”と皆で決めました。
最初は、社員同士の挨拶から始めました。外出するときには、「行ってらっしゃい」プラス「雨が降っているので気を付けてね」。帰ってきたら、「お帰りなさい」プラス「随分ぬれたね。風邪引かないように…」というように、相手を見て、状況を見て、何でも気が付いたことを言ってみるのです。
当初はギクシャクしていたり、同じ言葉しか出なかったりしていたのですが、徐々に慣れてきました。つまり、無意識に挨拶するのではなく、その都度、相手の表情や様子に意識をむけるようになっていったのです。
そうすると、「おはようございます。あっ、髪形変えたんですか? なかなかいいですよ!」と、どんどんと言葉が沸きでるようになりました。
と同時に、お客様にも同じように言えるようになってきたのです。
「いらっしゃませ!今日はお早いですね」「こんにちは!もうお風邪は良くなりましたか」という具合です。努力の甲斐あって、彼女たちの応対はお客様からも好評でした。
最初、生みの苦しみはあるかもしれません。でも、その日一日は、プラスαの言葉が同じであっても良いのです。
「お足元悪い中大変です」「風が強くなってきましたので気を付けてお帰りください」…。たとえ、その日一日、同じ言葉しか出せなかったとしても、お客様は違う方です。笑顔で心を込めていえば、その一言で、お客様は気持ち良く、心も温まってお帰りになるかもしれませんね。
そして、次の日は、次の日の言葉を考えていけばよいのです。1カ月もすれば、“言葉の貯金”はかなりできます。こうして、会話も自然になり、自分自身も会話が楽しくなってくるはずです。
“接客用語プラスαの一言”を合言葉にして取り組んでみてはいかがでしょうか。
どこにでもあるチェーン店のコーヒーショップでしたが、私の心には、コーヒーの味とその時の店員さんの一言が残っています。

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