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第8回(115号)

期待の新人

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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ASSISTANT ASSISTANT

期待の新人

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

ようやく梅雨も明け、照りつける日射しが一段と厳しく感じられる季節になりましたね。
皆様の医院の新人スタッフもそろそろ慣れてきた頃でしょうか?
今年も多くの新人スタッフや新入社員が誕生しました。毎年4月1日前後の新聞には、今年の新入社員の傾向や新入社員に期待することについて書かれています。
もう何年前ぐらいの記事でしょうか。「最近は指示待ち人間が増えてきている」という内容が出ていました。それ以来、毎年いくつかの企業で新入社員研修を担当させていただくのですが、相変わらずこの傾向は見られます。
“指示待ち人間”って、どういうことかといいますと、「指示があれば動くが、指示がないと動かない」。つまり、仕事に対して、受身的であるということです。
もうひとつの傾向として私が感じるのは、素直であるということです。素直であることはいいことなのですが、受身的な素直さが、仕事上では困ることがあります。素直なので、指示されたことは素直にしてくれるのですが、それ以外のことはしない方がいるということです。つまり、考えて行動する、一歩先を考えて、自発的に動くという点が弱いのです。
新人のうちはいいでしょう。言われたことを素直に実行してくれるのですから、指導する側も楽な面もあるかもしれません。しかし、問題は、それからです。
一通りのことを教え、今後は仕事を任せたいという時期に来る頃です。「当然、やっておいてくれるだろう」「言わなかったけど、考えてできるだろう」と思っていたら、「言われなかったのでまだしてません」「まだ聞いてません」ということがあります。
経営側、ドクターや先輩としては、いちいち指示をしなくても、それまでに指導したことをもとに、考えて自発的に仕事を探すことを望んでいます。
歯科関係の本に出ていた言葉を借りますと、ドクターがアシスタントスタッフに望む資質は、“予知性と協働”だそうです。
“予知性”(“先読み”とも言いますが)とはどういうことかといいますと、「次は○○の治療だから、□□の準備が必要なる。そろそろ用意をしておこう」とか、「患者さんはこういうことも心配するだろうな。なので、先に説明をしておいてあげよう」というように、今指示されていることだけをするのではなく、その先を読んで行動することです。
予知性が備わっていることで、安心して仕事を任せ、並行して協働(お互い協力しながら働く)することができ、仕事の効率が上がるのです。では、予知性を身に付けるにはどうしたらよいのでしょうか。
まず必要なことは、“メモを取ること”です。例えば、治療のアシストだとしたら、ドクターの治療の流れ、それに伴うアシスト、必要な器具、必要な作業の流れを追って、メモを取るのです。
その後、空いた時間などに、その流れを復習し、「どの段階でアシストを行うのか、必要な器具は他にないか、一番使う器具はどれなのか、作業(セメントを練るなど)は、どれぐらいの時間がかかり、どのタイミングで取り掛かればいいか」というように、ポイントを明確にするのです。その上で、不安な点をドクターや先輩に質問し、確実にしておきます。
そうすることで、何度も同じことを言われなくとも、行動に移せますし、何より質問する際も、「もう一度教えて下さい」というより、ずっと前向きな聞き方として評価を受けることでしょう。
このように、毎日仕事を覚えていく過程でも、ただ指示を待って、慣れに任せていくのと、自発的に自分から仕事を覚えようとするのでは、同じ一年後でも成長度にかなり差が出てくることでしょう。
また、予知性があるということは、ドクターはもちろんのこと、顧客や患者など相手が次にどうして欲しいのかを察して、行動することにも通じていき、患者さんや仕事仲間、人間関係における“ホスピタリティ”(思いやり)にも通じていきます。
最初が肝心です。新人でまだ頭が柔軟なうちに考える習慣を付けることです。もし、2年、3年と、マニュアルどおり、ルーティンワークを何も考えずにこなしていたら、考える力は衰えてしまうかもしれません。
もう一度言います。大切なのは、“考えること”です。仕事を覚えるときに、ただ作業をするのではなく、なぜそうする必要があるのか、それはいつのタイミングなのか、なぜそうしたほうがいいのか。理由をきっちりと追求しながら、覚えていくと良いでしょう。
そうすることは応用力に繋がります。イレギュラーなことが起こった場合も、いつもどおり行うべきなのか、それとも様子を見たほうがいいのか、簡略化したほうがいいのか、など、状況に応じた判断ができるようになるはずです。つまり、臨機応変な対応ができるようになるということです。
そして教える側も、ただ指示を与えるだけでなく、勉強会などで、一緒に“考える”習慣をつけていくことが大切です。
双方の工夫と心がけで、医院にとってなくてはならない存在と思えるような“人財”に育ててください。一年後の成長が楽しみですね。

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