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第18回(125号)

気配り・思いやりのアンテナ~ホスピタリティ~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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気配り・思いやりのアンテナ~ホスピタリティ~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

先日、うかつにも風邪を引いてしまい、38度の熱が3日間続きました。その後に仕事が控えていたので、なんとしても治したい一心で、3日間連続で点滴を受けました。
熱のため食事もとれず、体力を消耗していたこともあり、点滴の針がなかなか入らず、何度もやり直しました。
その時、看護師の方が「ごめんなさいね、痛いですよね~」「何度も痛い思いをさせてごめんなさい」「足は痛くないですか?」と言って、ひざの下に枕を入れてくれたり、「寒くないですか?」と毛布を余分にかけてくれるなど、こまめに気を配り、本当に気持ちのこもった言葉を掛けて下さいました。
少し良くなってから、以前に予約を入れていた歯科医院に、予定通り行くことにしました。キャンセルするのが申し訳なく思ったのです。
受付の女性に、診察券を渡しながら、「すみません。せっかく1時間取って下さっているのですが、まだ咳が止まらないので、途中で早めに終えていただくかもしれません」と伝えたところ、「大丈夫ですか?お辛いですよね。苦しくなったらすぐにおっしゃってくださいね」と、とても親身になって労わってくれるのです。チェアに座ってからも「大丈夫ですか?寒くないですか?」と気遣ってくれました。

研修では、いつも“医療に携わるものの基本ポリシーはホスピタリティである”とお伝えし、患者様への気配りや声かけを態度や表情に表せるように、実習を通じて学び取っていただこうと努力しています。
このどちらの女性も、決してマニュアル的ではなく、自然に労わる表情と言葉が出てきて、彼女たちのホスピタリティが伝わってきました。そんな彼女たちの言葉に押されて、痛い点滴もつらい治療も我慢することができた気がします。
こんな自然なあたたかいスタッフを多く育てられたらいいのになと実感しました。

話は変わりますが、私が買い物に行ったときのことです。
店から駐車場には、人が2人通るには少々狭い階段がありました。私が階段を上ろうとすると、若いお母さんが2歳にもなっていない小さなお子さんの手をひいて、上から一段一段ゆっくりと階段を下りてきました。
そのお子さんはよちよち歩きですが、自分で歩きたかったのでしょう。私はそう思い、じっと降りてくるのを待っていました。私の隣には、やはりとても若いお父さんが、母子が降りてくるのを待っていました。
やっとたどり着き、私は階段を上れるようになったのですが、その若いお母さんとお父さんは、それだけ私を待たせていたにもかかわらず、頭も下げなければ、「すみません」の一言もなく、平気な顔をして通り過ぎていきました。
私はちょっとむっとしましたが、あのお子さんもそうなるのかしら…と後姿を見て気の毒に思いました。

一方、つい先日、電車から降りて出口に向かう階段を降りていた時のことです。とても幅の広い階段でしたが、私の前に3人の小学校1~2年生らしき女の子たちが、階段で遊びながら、もたもたと降りていました。
特に急いでいなかった私は、「可愛いな、何処の小学校かしら…」と思いながら少し足を止めました。すると、そのうちの一人の女の子が、「すみません」と私に謝り、「ももちゃん、後ろ邪魔になっているよ」と言って、友達の手を引きながら階段の端に寄ってくれたのです。他の子供たちも、ぺこっとお辞儀をして、さっと端に駆け寄りました。
なんて躾の行き届いた子供さんなんだろうと感心しました。お父さん、お母さんがいつも自然と周りに気配りをしている姿を見て、彼女たちも覚えていったのでしょう。
思いやりや気配りは、一夜漬け的にすぐに身につくものではありません。でも、思いやりや気配りが自然にできる家族や先輩、仲間がいる環境の中にいれば、だんだんと影響を受けていくはずです。
皆さんの医院には、よく気が利く先輩や仲間がいらっしゃいますか?
いらっしゃるとすれば、あなたはとても恵まれています。
その方の動きや言葉に意識を向けてみましょう。相手の気持ちや次の行動を先読みしていることが分かるはずです。
そしてあなたも、周りを見渡してみましょう。相手の気持ちを想像してみましょう。どんな気持ちでしょうか。もし自分だったら、どんな言葉が欲しいでしょうか。どんな気遣いが欲しいでしょうか。そう考えることができたら、言葉は自然と出てくるに違いありません。
それが、思いやり、気配り、すなわち“ホスピタリティ”なのです。
自分のことだけで精一杯、というのではまだ一人前とは言えませんね。
早く仕事を覚え、もっと先を、もっと視野を広げて観察することができる“アンテナ”を持ちましょう。
ホスピタリティは、“学ぶ”というより、“自分の視野や想像を広げる”という意識を常に持つことで育っていくといえるでしょう。
先ほどの可愛い小学生は、しっかりと周りに気を遣うことができる“気配りのアンテナ”が育っているようですね。将来が楽しみです。

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