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第21回(128号)

初心に帰ろう!

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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初心に帰ろう!

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

今日は、あるCS(患者満足)向上に取り組み始めた医療機関での話です。その医療機関はさまざまな研修を取り入れ、ドクター、看護師はもちろんのこと、事務部門、守衛の方まで全スタッフが参加しています。
さらにマナー推進担当を各科に配置し、毎月目標を掲げて患者対応のマナーの徹底に向けて取り組んでいます。マナー推進担当委員の方たちは、自分たちの仕事をしながら次に取り組む内容を考えたり指導の準備をするので、なかなか時間がとれず、とても大変だと思うのですが、短い時間をとって浸透させようと努力をしています。その甲斐あってか、少しずつは良くなってきていますが、一方でなかなか自分たちの習慣を変えようとしない方たちもいて一進一退といったところでしょうか。
しかし、そんな中で今年は少し変化がありました。今年は他の医療機関から多くのスタッフが新しく入ってきました。最近はどこの医療機関も患者接遇マナーに対する意識はできてきており、働くスタッフのマナーレベルもあがってきているところが増えています。
今年入ってきたスタッフの歓迎会のことです。上司の方が「なんでもいいので聞きたいことや、意見はありませんか」と問いかけたところ、ある新人の方がこう言ったそうです。「この病院の職員はなぜ職員同士で挨拶をしないのですか?私が前にいた病院では職員同士が挨拶をするのは当たり前だったので当然と思い、挨拶をしたら返してくれず、ショックでした」という言葉を聞いて、上司はさらにショックを受けたそうです。
患者様に対するマナー以前の問題です。私が思ったことは、その新人の方が周りの環境に影響されて、せっかく身についている良い習慣をなくしてしまわないでほしいということです。逆に負けずに挨拶をして新しい空気を吹き込んでほしいのです。
先日この病院の勉強会で、“これだけ言い続けているのに、なぜ当たり前のことが当たり前にできないスタッフがいるのだろうか、なぜ患者様を無視した行動をしてしまうスタッフがいるのだろうか” ということについて考えていただきました。
皆さんから出た意見として、『忙しい、余裕がない、仕事に慣れていない、惰性になっている、相手のことを考えていない、自分の作業に追われている、そもそもマナーを知らない』などの意見が出されました。さらに、あるスタッフからは、『余裕がない、仕事に慣れていないという方はおそらくまだ新人の段階でしょう。仕事を覚え、慣れてくれば余裕が出てできるようになると考えられます。しかし、惰性になっている、自分の作業に追われているというのは、ベテランの方だと思います。その場合、ベテランの方やドクターにはなかなか周りは言えないので、本人がこのことに気づかなければ直せないと思います』という意見も出されました。
確かにそのとおりで、この病院がなかなか変われない原因のひとつは、昔からいるスタッフは挨拶をしないことが当たり前になっていて、それがおかしいとも気がつかないし、気づいても誰も注意できなかったからでしょう。

そこへ新しいスタッフが入ってきたことにより、当たり前のことができていないということも言われて初めて気づき始めたのでしょう。いい傾向だと思います。ベテラン、新人にかかわらず、医療というあえて大変な分野を選んだ方々はおそらく、「病んだ人を助けたい、人の役に立てる仕事をしたい」という純粋な気持ち、熱意があったに違いありません。最初から惰性で仕事をしようとか、流れ作業をしようという気持ちでこの仕事に就いたことはないと思うのです。
勉強会のまとめで皆さんに伝えました。「初心に立ち返ってください。仕事を始めたころの気持ち、情熱は失っていませんか。気がついたらそれがスタートでいいと思います」と申し上げました。話を聞いてくれていたベテランスタッフの中には真剣に頷いている方、初心を振り返り自身を見つめている方が見受けられました。
今年入ってきたスタッフの方々が明るい兆しと感じられたのも、彼らが新しい職場に就くにあたって、初心に戻って心機一転がんばろうという気持ちで入ってきてくれているからなのでしょう。多勢に無勢ではありますが、先輩たちが彼らから学んでくれることを祈っています。
話は変わりますが、先日ある歯科医院の先生からお手紙をいただきました。「今まで仕事をしていた医院から独立し、少し離れた場所に新たに院長として開院しました」というお知らせでした。その先生は数年前に私の患者接遇マナー研修を受けてくださった方です。とても熱心な先生で、その後も医院のスタッフを送り出してくださいましたので、しっかりと記憶に残っている先生でした。そのお手紙の中にはこんなことも書かれていました。「研修で学んだことを心がけて取り組んでいたつもりでいましたが、ふと傲慢になってきている自分に気づきました。心機一転、初心に戻ってがんばります。今度採用するスタッフにも研修を受けさせたいと思っています」と新しいスタートに燃える先生の意気込みが伝わってくるお手紙でした。
人間誰しも、毎日仕事をしていると気づかぬ間に、初心を忘れていくものです。でもそれを何かの節目やきっかけで思い出すことができたらいいですね。

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