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第22回(129号)

将来の自分のために

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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将来の自分のために

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

卒業、入学、そして入社、さまざまなスタートの季節ですね。私の息子も今年の春高校を卒業しました。いままでクラブ活動一筋で学校以外の世界とは全くといってよいほど、接することなく過ごしてきた彼にとって、今激動の季節といってよいかもしれません。
クラブ引退と同時にアルバイトを探し始め、車の免許を取りに自動車学校へ…と、どんどん行動範囲を広げています。活動範囲が広くなると同時に、今までとは違った環境、人間関係に飛びこんだわけです。しかし本人は親の不安をよそに、日々目を輝かせて毎日の出来事を話してくれます。彼の仕事はイタリアンレストランでの接客なのですが、仕事の流れやメニュー、料理の内容など覚えることがたくさんあり、それだけでなく、お客様の食事の進行具合を気にしなければならないし、子供連れのお客様であれば、階段の上り下りの際ベビーカーやお荷物などに気を配る、お水はなくなっていないだろうか、注文は決まった頃だろうか、など、常にアンテナを張り巡らさなければなりません。
このレストランでは、一方的に店側のペースでお料理をお出しするのではなく、お客様の食べる速度に合わせることやお客さんの好みや腹具合にも合わせていくことが求められます。
レストランなんだから、接客業だから当たり前といえば当たり前のことであり、自分がお客の立場だったときは、特に意識もしてなかったり、「当たり前だろう」と感じていたことが、いざ、もてなす側となってみると、様々なことに同時に気を配り、先読みをしていくことがいかに難しいことかを実感しているようです。
最近は少し仕事にも慣れ、職場の先輩たちと、上司の愚痴も言うようですが、まかないの夕食がとても美味しかったとか、店でシェフが料理を作っているのを見て、自分でも作ってみようと家で料理にチャレンジし始めるなど、毎日が充実しているようです。
先日も帰ってきて、つくづくと、先輩にはかなわない、すごい!というのです。自分はお客様の料理の進行具合をテーブルまで見に行かなくては分からないのに、厨房側にいて見えなくとも、「そろそろ前菜料理は食べ終わっているだろうから、下げてきて」といわれ見に行くと、本当に終わっていたり、何組ものお客様がいて、あれもこれもしなくちゃと思っていながら、し忘れていることに気付くと、すでに先輩がやってくれているなど、常にいくつものことに気を配り、冷静にスマートに仕事をこなしていくのだそうです。まだ新米の彼にとっては全神経を使ってフル回転しているのに先輩にはかなわないというのです。
しかし、最近はそんな先輩やオーナーシェフからも、褒められることも出てきたらしく、少しは自信がついてきているようです。バイト料が安いとか、残業が多いとか生意気なことを言うこともありますが、私としては、しばらくここでお世話になるのは彼にとって良いことだなと思っています。
初めての仕事先でお手本となる先輩にめぐり合うことは、彼にとって大変ラッキーなことです。素晴らしいお手本が身近に居るのですから、見よう見まねでも、ついていけばよいのです。

私が仕事をし始めたときもそうでした。尊敬できる先輩の横について仕事をさせてもらったおかげで、怒られもしたけれど、たくさん教えられアドバイスをもらい、先輩の姿を真似ながら仕事を覚えていったものです。あのときに、あの先輩だったから、今の自分はあるな…と思えるぐらい、自分にとっては良い経験であり、よい出会いでした。
もちろん、全ての先輩や人間関係が良い仕事場なんて、そんなにあるものではありません。中には、惰性でだらだらと仕事をしている人や、流れ作業のように何も考えず、工夫せずに仕事をする人もいるでしょう。もしそんな人たちの下で初めての仕事をしたとしたら、「仕事ってこんなものなんだ…」と思うかもしれません。上司や先輩を選ぶことはできませんが、見る視点を変えればよいのです。ああはなりたくないな、という目で、自分ならどうしたいか、どうあるべきかを自身に言い聞かせることも大事ですし、そのような人たちを見るのではなく、自分にとって刺激を与えてくれる、見習いたいと思える先輩を見ていけばよいのです。自分がこうなりたい、ああなりたいと思える先輩や上司を見ていけば、おのずと、その方向に進んでいけるはずです。いいものを見てどんどん刺激を受けて欲しいと思います。
息子はこれからまた上の学校に進み、さらにどんな将来の道を見つけるかは分かりませんが、“アルバイトだから、責任がない”なんて甘えた考え方ではなく、アルバイトであっても将来に繋がることは十分に学べるという考えを持って、自分のためにしっかりと仕事をして経験を積んで欲しいと思っています。
この春から歯科医院で働き始めた方も大勢いらっしゃることでしょう。アルバイトの方もあれば、正社員としてスタートした方も多いでしょうね。
スタッフに求められていることは、患者さんの体調、年齢、希望に合わせることや、ドクターのペースや作業の流れ、様子に合わせていくこともあるでしょう。ただでさえ、覚えることはたくさんあり、大変だとは思いますが、しかし、それを見事にこなしている先輩もいらっしゃるはずです。しっかりと先輩の動きを見、言葉に耳を傾けましょう。
全てを兼ね備えている先輩がいらっしゃらないとしても、良い部分だけを見習い、そうでない部分は、「自分ならどうして欲しいか」というように、患者さんやドクターの立場に立って考えていけばよいのです。その感覚が養えれば、他の仕事にでも通用するはずです。できれば早いうちに、そのような視点を持つことをお勧めします。きっと皆さんの仕事の成長の仕方、将来のご自分の姿がかわってきますよ。

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