DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

アシスタントのためのイメージアップ講座

第24回(131号)
差別化、付加価値の工夫
株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子
ASSISTANT ASSISTANT

差別化、付加価値の工夫

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

最近とても気に入っているイタリアンのお店があります。3ヶ月ほど前に知人に連れて行ってもらい大変気に入りました。ちょっと値が張る店なので、めったに行くことはできないのですが、大好きな店の一つです。
何が気に入ったかというと、店の雰囲気や料理の味はもちろんですが、何よりオーダーを聞いてくれる人の出迎える笑顔がとても素敵なのです。さらに会話が失礼なく、それでいて以前から来ているような温かさで迎えてくれるのです。
メニューはお任せでコースにしてもらったのですが、まず「食べられないもの、苦手なものはありますか」と聞かれました。それからワインの好みも聞かれ、それぞれに答えてお任せしました。その都度味や量について聞かれ、率直に答えていたのですが、出された料理は思ったとおりで大変満足して帰りました。
とても気に入ったので、それから約3ヵ月して、最近再びその店に娘を連れて行きました。最初に紹介してくれた知人も一緒であったこともあったせいか、私のことを覚えていてくれ、今度は娘にも食べ物の好き嫌いや飲み物の好みについて聞いてくれました。
私にももちろん聞いてくれたのですが(自分では覚えていないのですが)、以前来た時と同じリクエストをしたようです。するとワインを持ってくる際、「前回お気に召されたものと同じワインをお持ちしました」といって勧めてくれたのです。また「お肉は前回量が多くて残されていたので、今回は少なめにさせていただきましょうか」といってボリュームを控えてくれました。味が美味しいのはもちろんのことですが、私はまだ2回しか来ていないのに前回話したことを覚えてくれていて、それを今回のオーダーにも生かしてくれたことが何よりも感動でした。もちろん好き嫌いの激しい娘の口にもぴったりと合ったようで料理も雰囲気も堪能し、楽しい時間を過ごすことができました。
巷には値の張る高級料理店はたくさんあります。有名ブランド名で店を構えている店、一流シェフが経営する店、一流ホテルに入っている店、内装や調度品で豪華さを演出している店など、他店と差別化を図るためにはさまざまな工夫が凝らされています。私がその店を気に入った一番の理由は、味はもちろんですが、スタッフの会話や粋な気配りです。たとえ値段は高くてもまた行ってみたいと思う価値がある店でした。
”他店と差別化を図る”といえば、私が担当させていただいている歯科スタッフセミナーのタイトルも同じです。”選ばれる歯科医院になるために”というタイトルで毎年何回か開催させていただいています。
最近、診療項目として審美や予防を掲げる歯科医院は当たり前のようになりましたが、さらに保険外治療の患者さんと一般の患者さんとの差別化を図るために入り口を別にしたり、壁紙やカーテン、待合室のソファ、掛けてある絵にいたるまで、ホテルのようにして、差別化を図っている医院もあるようです。居心地がよい、リラックスできる、といった空間を追及することも差別化には大切なことでしょう。
しかし、もう一つ大切なことがあります。どんなに素敵な豪華な空間であっても、そこで交わされる会話はどうでしょうか。せっかく”歯科医院”という無機質な感じを出さないようにと考えても、そこで交わされる会話が淡々としていては次回も来ようと思えるのでしょうか。

そのような場にふさわしい暖かい会話であったり、気配りがあって初めて居心地がよいと感じ、付加価値として伝わると思うのです。
もちろんこの話は自由診療だから…というわけではありません。保険診療においても同様のことが言えると思います。電話での受け付け方や案内の仕方、医院内の清潔感、設備面など、基本的な面では最近はどこも意識しているせいか、さほど大きな差はなくなってきています。そんな中で”選ばれる歯科医院”となるためには何が必要なのでしょう。スタッフの違いも大きなポイントといえるのではないでしょうか。患者さんとの会話がスムーズで、前回交わした会話が自然に出てくる、それぞれの患者さんの性格や状況に合わせた気配りができる…そんなスタッフがいれば、患者さんからも話しかけたいと思い、また行こう、話したい、と思えるのではないでしょうか。
私が担当させていただいているセミナーに参加するスタッフに対するご要望としても、患者さんとの会話、コミュニケーションをあげるドクターは多くいらっしゃいます。
セミナーに参加されるスタッフは経験の浅いスタッフ、年齢の若いスタッフが多いので、患者さんとの会話まではなかなかスムーズにいかないようですが、少し意識して取り組んでいけば会話も広がっていくはずです。必要最低限のことは、マニュアルに沿って話してもよいと思うのですが、それにプラスしてそれぞれの患者さんに合わせた会話を意識して交わしてほしいのです。以前に交わした会話や気になったことをメモしておく、次にそれを話題として出してみる、何気なく交わしていた会話を少し意識して、次につなげていこうとすることで、患者さんは、「覚えてくれていたんだ!」ときっとうれしく思えるはずです。
そのような会話があることで、次回も頑張って来ようと思えたり、行きやすくなるのではないでしょうか。お天気の話をすることももちろんいいことですが、もう一歩会話の工夫をそれぞれの患者さんに合わせた会話を意識することも、選ばれる医院になる一つのポイントだと思うのです。

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