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第36回(143号)

初心忘れず、正確・迅速・丁寧に

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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初心忘れず、正確・迅速・丁寧に

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

先日近くに新しくスーパーマーケットがオープンしました。初日は行列ができるほど多くの人でにぎわっていました。オープンして2日目に行ってみたのですが、行列はないものの、平日にもかかわらず、人でにぎわっていました。
久しぶりに活気のあるスーパーに行き、今後も利用したいな、と思うと同時にオープン後1ヵ月たち、半年たつとどうなるのだろう、同じように活気があり、サービスは親切で行き届いているのだろうか…と、ふと考えました。どんな店舗や施設でもオープンしたては、珍しさもあり人は集まってきます。最初は来店してくれたことに感謝し、丁寧な応対をすることで人は集まります。しかし、その店の評価は、いかにして最初の印象をずっと定着させることができるかどうかだと思います。
新しく店がオープンするときや新しいスタッフが配属されるときには、きっちりと教育を受け、マニュアルに従ってきちんとした対応をするので、基本はみなできると思うのです。問題はそれ以上のプラスアルファのサービスや応対ができるかどうかでしょう。
オープン2日目に私が行ったとき見た光景で「いいな~!」と思ったのは、あるお客様が店員に話しかけたとき、とてもいい笑顔で丁寧に説明し、来店してくれたことに感謝し、雑談も少し交えながら「是非今後もよろしくお願いします!」と嬉しそうに受け応えしている店員の姿でした。日常会話を自然に交えながら、専門的な説明もきちんと対応していたところからベテランスタッフなんだなと感じました。しかし、この店員の方は他店からの応援のようでした。店が落ち着き、この感じよいベテランスタッフが帰ってしまった後は、残るスタッフが同じように対応してくれるのでしょうか。ぜひそうあって欲しいと願っています。
このスーパーのすぐ近くにも大手のスーパーが2軒あり、どちらも対応はそれなりにしっかりしています。それらの競合他社に勝っていくためには、ただ安い、新鮮な商品を置いているだけでは価格競争になってしまうだけです。商品以外の、人によるサービスやシステムで、プラスアルファの価値をつけて顧客を定着化させていくことが重要でしょう。
先日、久しぶりに私がいつも行っている歯科医院に行ってきました。以前当誌にも、マニュアルが徹底されており、どのスタッフも応対がしっかりしていて、院内のコミュニケーション、連携がとてもスムーズだとご紹介した医院です。
今回は奥歯何本かの表面がヒリヒリと痛み出したので、予約をしました。しかし、急に仕事で都合が悪くなったため、2日前に予約変更の電話をしたところ、予約がずいぶん先になってしまうらしく、当初予約していた日の翌日に急患扱いで対応してくれることになりました。
当日、他の患者の治療の合間を見ての対応だったのですが、ほとんど待たされることもなくスムーズに対応していただけました。1年半ぶりだったのですが、対応は当初と変わることなく、基本的な対応も感じよくなされていてほっとしました。
ただ残念だったのは、2回目に行ったときのことです。1回目に痛みを取り去る治療をしていただき、歯石除去もしていただきました。「次回は歯周病のチェックをします」と言われ、2回目に行ったところ、「ご自分の歯ブラシは持ってこられましたか?」と聞かれたのです。

私は1回目のときに聞いていなかったので、自分の歯ブラシは持ってきてはいませんでした。仕方がないので、医院の歯ブラシを使って説明をしてくれました。そして「次回はご自分の歯ブラシを持ってきてください」と言われました。私は、「このきっちりとしているはずの医院でもこんな初歩的な説明を言い忘れることがあるんだ」とブラッシング指導をきっちり受けられなかったことを残念に感じました。
おそらくこの医院のスタッフは、歯周病のチェックをする際にはブラッシング指導をするし、その際に患者が自身の歯ブラシを持参することは当たり前のことと思いすぎていたのかもしれません。そのため1回目のときに対応してくれたスタッフが私にそのことを伝え忘れたのです。しかも受付のスタッフからも次回の予約の際に、同様のことを聞かされなかったことも残念でした。どちらかが伝えてくれていれば、私は自分の歯ブラシを持ってきていたはずなのに…。
誰にでも忘れてしまうということはあります。だからこそ治療室で伝達されたことを受付が把握し、必要に応じて念を押すということは必要だなと改めて痛感しました。
感じのよさ、迅速さをずっと維持していることはすばらしいことです。しかし、どんなに感じよく、迅速、スムーズであったとしても、正確性が欠けていては、全てが台無しになることもあります。医療の場であればなおさらです。
感じのよさをいつまでも続けていくことは、ある意味、そのスタッフの性格や人格によることもあるでしょうから、よいスタッフがいれば持続していくことは可能でしょう。しかし正確性についてはどうでしょうか。つい当たり前になりすぎたことが「分かっているだろう」という無意識の感覚になって伝えもれてしまうことや説明不足になってしまうこともあるのかもしれませんね。
人と接する仕事においてマニュアル的対応が当たり前になっている今、ある意味それができていて当たり前、“初心忘れず、正確・迅速・丁寧に”これらをバランスよく網羅し続けていくことが本当に評価される歯科医院になっていくポイントでしょうね。

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