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第39回(146号)

当たり前のサービスから患者を包み込むサービスへ

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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当たり前のサービスから患者を包み込むサービスへ

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

今年は春先から暑くなったり寒くなったり、気温の変動が激しく、体調管理に困る日が続きましたね。
先日ある勉強会に参加したのですが、初日はとても暑い日で、座っているだけで汗ばんできました。次の日も同じような気温であったため、薄着で参加したところ、この日はクーラーが効いていて足元が冷えてしまいました。場所によって、エアコンの状況も違うでしょうから、着るもの、羽織るものなどよく考えて出かけなくてはいけないと実感しました。
暑い季節には、みなさんの歯科医院でもクーラーがフル稼働していることと思います。暑い外から医院の中に入った時にひんやりとしていれば、それは気持ちよく、患者さんは喜ばれることと思います。しかし、待ち時間が長くて時間が経つにつれ、汗が引いてくると寒く感じる方もいらっしゃるかもしれません。
またご年配の方や冷え性の方にとっても、クーラーが苦手という方がいらっしゃるかもしれませんね。その日の気温やその時の待合室の人数、患者さんの様子を伺いながらきめ細かな調整をしていただけると、患者さんにはとても喜ばれると思います。
先日のある新聞のコラムに年配の女性が投稿されていました。足に力が入らなくなり、通院を始めたとのことですが、初診で緊張されていたものの、医師や看護師の親切な対応にとても安心されたそうです。
それに加えて、その医院の待合室には、かごの中に数枚のひざ掛けが重ねてあり、「お使いください」と書かれていたそうで、“診察するだけでなく、患者を大切に包み込んでくれている”と感じたそうです。親切丁寧な対応にプラスされた心遣いが、この患者さんの心をつかんだのではないでしょうか。
ほとんどの歯科医院は診療室の中でチェアに座った時にひざ掛けを勧めてくれます。スカートの時だけでなくとも足元にひざ掛けを掛けていただくだけで、落ち着く気がしますので、とてもありがたい気遣いです。しかし、待合室にひざ掛けが置いてある歯科医院はあまりないのではないでしょうか。でも決して奇抜な発想ではありませんね。ちょっと患者さんの立場に立って考えてみたら自然に思い浮かぶことですし、費用がとても掛かることでもないかと思います。
さまざまなサービスを取り入れても、どこにでもある当たり前のサービスは、あって当然のこととして受け止められていると思います。かといって奇をてらった突飛なサービスも喜ばれるとは限りません。
同じ当たり前のサービスであっても“治療室でチェアに座ったら、ひざ掛けを勧める”というマニュアル的な対応ではなく、足元が冷えるから掛けてあげる、気温が低くなってきたから温度を和らげる、暑くなってきたから少し温度を下げる、というように、相手の様子や、その時の状況を考えての思いやりの結果が“ひざ掛けを勧める”という動作であってほしいものです。
そのように考えていくとサービスの形は場所や患者さんの層、治療に掛かる時間や待ち時間の長さによっても異なってくるでしょう。

先日行ったネイルサロンでは施術を受けている間、目の前のモニターに女性が好みそうなビデオ映画が流されていました。最近はネイルサロン以外でも同じようなサービスを取り入れている施設に出会うことがよくあります。長時間座っていても待つ時間が短く感じたことを覚えています。
しかし残念なことに、そのネイルサロンに翌月に行った時もその後もスクリーンに映し出されていたのは同じ映像でした。そうなると3回目にはもう見飽きているので、退屈に感じてしまいました。
「どこどこがこんなサービスをしていたからうちも取り入れよう」という単純な考えでは本当に喜ばれるサービスにはならないのではないでしょうか。待っている時間が退屈だろうから、それを紛らわすためにはどうすればよいだろうか、毎回来る方が飽きないようにするにはどうすればいいだろうか、最近の客層、患者層が変わってきたようだが今置かれている雑誌は適切であろうか、どんな工夫をすればよいだろうか…というように、サービスや心遣いを変化させていくことを常に考えることも必要だと思います。
私がお世話になっている歯科医院では、次回の予約を取ると前日にお知らせメールを携帯に送ってくれるサービスをしてくれているのですが、最近は、歯に関する予防や治療などの情報を定期的に入れてくれたり、リコールの予約キャンセルによる空きがあることを知らせてくれるようにもなりました。
その医院では、リコールの予約をとりたくてもいつもいっぱいで、なかなか取ることができないので、ありがたいサービスです。常に同じレベルのサービスを続けることはとても大切なことですが、それだけでなく、このままのサービスを続けていて今のニーズに合っているのだろうか、ということを考え変化していくことも大切ですね。
みなさんの歯科医院でも、ドクターだけでなくスタッフ全員で、患者さんの様子や状況、変化に常に興味を持ち、何を求められているだろうか、今のサービスのあり方で現状求められていることとあっているだろうか、ということを考えて是非“患者さんを包み込むサービス”を実践していただきたいと思います。

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