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第45回(152号)

スタッフ側でできる他医院との差別化を図る取り組み

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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スタッフ側でできる他医院との差別化を図る取り組み

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

最近、割引クーポンサイトなどで歯のホワイトニングや歯列矯正の格安提供をたびたび見かけるようになりました。診療報酬の改定や薬価改訂を通じて今まで以上の経営努力、つまり患者にいかにして選ばれる診療所になるかを考えなければ生き残れない業界になっているといえます。
新たなサービスやワンランク上の商品サービスを展開することで集患力をあげることはできるかもしれませんが、それも初めのうちだけで、どの医院でも行うようになれば、また顧客の獲得競争が始まります。しかもたとえ広告や情報サイトで見てクーポン券持参で来院していただけたとしても、2回目以降通常の料金になった際に再度来ていただけるかどうかわかりませんね。
先日介護ケアタクシーの代表者とお話しする機会がありました。このタクシーは車椅子での病院や買い物、食事といった外出の送り迎え、付き添いのサービスを提供しています。利用料は介護保険が適応されないのでかなり高額のようです。利用者には介護付有料老人ホームの方や裕福なお宅の方が目立ちます。
開業当初は付き添いをするスタッフは介護の資格や経験が必要で、ドライバーは運転免許があれば、あとは車椅子の扱いや運転の仕方の研修をしっかりと行えばよいと思っていたそうです。しかし顧客の多くは現役時代からホテルやデパート、飲食店で優れたサービスを受けることに慣れている方が多く、ケアタクシーのスタッフの対応にも厳しいようです。話し方や対応などが悪いと老人ホームの担当者に不満をいい、二度と同じ会社には手配しないということもあるそうです。最近は急激に同業者が増え、スタッフ、ドライバーともに普通以上にきめ細かく、ワンランク上の接客をしなくては生き残っていくことができない厳しい状況であるとのことでした。
より上顧客、リピート顧客を取り込んでいくためには、設備を良くし、優れた機器や商品、サービスを導入することも大切ですが、それに見合うスタッフの対応がなくてはそれらも生かせないということでしょう。
こちらの会社にうかがった際のことです。当日お客様の付き添い、送迎をするスタッフ間で打ち合わせをしていました。お客様のお身体の状態はもちろんのこと、何度か利用されたお客様であれば、その方の性格や人柄、以前どんなお仕事をされていたのか、どんなことを気になさる方なのか、気をつけてあげてほしいこと、お叱りを受けたことなど、過去対応したスタッフがお客様との会話で得た情報を細かく伝えていました。
どのドライバー、スタッフが担当しても情報は共有されているので、初めて付き添うスタッフでもスムーズにお客様とコミュニケーションをとり、対応しています。単に丁寧というだけでなく、その方に合わせた対応、会話をすることができ、喜ばれているそうです。最近ではリピートが増え、口コミでも広がり、お客様が順調に伸びてきているようで、ドライバーやスタッフを増やしたそうです。
歯科医院でも資格や経験は必要ですが、サービス業である医療の現場ではそれと同等、もしくはそれ以上に人間性や仕事に対する価値観が大切なのです。一般的なサービス業よりも求められているホスピタリティ(思いやりや優しさ、もてなしの心)はより高いレベルが求められるのです。まして自費治療の患者を増やしたい、リピート患者を取り込みたいという医院であればなおさらでしょう。

他との差別化をホスピタリティの側面で図るには基本的対応ができていることは当たり前で、その上で患者一人ひとりに合った応対が大切です。患者さんの症状だけでなく人柄や性格、家族関係といったことまでも把握し、会話の中に取り入れ一言添えるときに活用します。
皆さんの歯科医院ではスタッフミーティングを開いていますか?
いろいろなセミナーに参加したスタッフが他のスタッフにも学んだことを伝えていくことは重要なことです。自医院の場合、学んだことがどの場面に生かせるのか、どの点を改善すべき注意すべきなのかについて話し合うとよいでしょう。
特別なときだけでなく、日々患者さんの情報(その方の性格や対応において気をつける点、会話の中で拾った情報など)を共有化させ、自分ならどんな対応をするか、会話をするかなどについて、意見を出し合うとよいでしょう。また、他のサービス業などで良いなと思ったサービスや対応、嫌だと思ったことを出し合い、自医院に当てはめ、どんな対応、サービスを提供すると良いかを話し合ってみるのはいかがでしょう。何時間も時間をとることは難しいと思いますので、初めはお昼休憩の少しの時間にリーダー的な方から「昨日行ったお店でね…」というように雑談のように話題を投げかけ、「うちにもこんなサービスがあると良いよね」とか「○○さん最近喘息が出てきているみたい」など、他のスタッフが持っている情報や意見を引き出すように仕向けていくのです。
初めはなかなか盛り上がらないかもしれませんが、良いアイデアや意見が出たことをきっかけに、それを応対の中で実践してみてください。良い結果、反応が出たらスタッフも達成感を得ることができ、さらに次の意見やアイデアも自発的に出るようになってくるはずです。
一番大切なことは院長から強制されるのではなく、一緒になってスタッフ全員が自発的に取り組んでいくということです。設備や新しいサービス商品の導入に頼るだけでなく、ぜひスタッフ側でできる他医院との差別化を図る取り組みをしてみてください。

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