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第57回(164号)

問診票を活用していますか?~患者さんとのコミュニケーション~

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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問診票を活用していますか?〜患者さんとのコミュニケーション〜

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

皆さんのクリニックでも、初診の患者さんが来院されたときに、必ず問診票は書いていただいていますね。問診票は患者さんに最適な治療を行うために必要な様々な情報を知るためのヒアリングツールであり、カウンセリングを効率的に行うためのものです。
先日、あるクリニックに行った時のことです。矯正についてネットで検索し、カウンセリングの予約を入れました。受付で渡された問診票は、3ページにわたっていました。
最初のページには基本情報を書く欄があり、そのあと、主訴について、治療歴、口腔ケアの仕方、回数など、細かく質問項目がありました。2ページ目に来院の目的である治療について詳しく問う項目がありました。さらに既往症や服用中の薬、過去の治療歴、その他リスクを知るための質問項目があり、それに答えていきました。これもかなり具体的でしたので、一生懸命思い出しながら記入しましたが、現在飲んでいる薬の名前がすぐに思いつかなかったので、薬名は省き、3枚目の来院のきっかけを書き、記入を終了しました。書き終えた問診票を受付に渡し、ほどなくして呼び出されました。
治療室に案内されると、まず助手の方がカウンセリングの費用、自費治療が始まってからの費用についての説明をしてくださいました。その際、私は問診票に希望する自費治療を書いていたのですが、それに言及することなく、2〜3種類の治療方法と費用について並列で説明がありました。治療内容について質問をしたところ、「治療の内容についてはドクターから説明させていただきます」とのことでした(もちろん当然ですね)。
問診票がとても詳しく具体的であったので、患者さんとの円滑なコミュニケーションに力を入れているクリニックなのかなと想像していたのですが、問診票に記入したはずの内容と同じことを質問されることが多々ありました。「問診票には目を通していただけていないのかな?」と少し疑問に感じました。
その後、ドクターからX線撮影の結果を基にカウンセリングを受けました。ドクターは、こちらの質問にも丁寧でわかりやすい説明をしてくださったので、私にとって納得のいくカウンセリングを受けることができました。ただやはりここでも、問診票に書いた内容には目を通していらっしゃるのか不安になるような質問がありました。せっかくの問診票が活用されていないのかと思うと、少し残念に感じました。 
記入していただいた内容にしっかりと目を通し、それに基づいた質問がなされなければ、患者さんの手を煩わしただけになってしまい、不信感さえ与えかねません。もちろん問診票には目を通していらっしゃると思いますが、せっかく目を通したのであれば、治療方法の説明の際にも問診票に書かれていた内容から深めていく伝え方をすることで、患者さんは理解しやすく信頼感も増すと思います。「痛みはありますか?いつ頃からですか?」という質問も、「右の下の奥歯に時々痛みがあるとのことですが、それはいつ頃からですか?」と読んだ内容から深めていると思える質問の仕方のほうが良いですね。

またいくつかの治療方法を説明する際には、単に2〜3種類の方法を並列で伝えるのではなく、「〇〇さんは△△を希望されているとのことですが、他の方法を検討されたことはありますか?」と言ってから、他の治療方法を説明したほうが、「先ほど問診票に書いたことに合わせて説明をしてくれているんだな」と感じることができ、より前向きに話を聞こうとするでしょう。
そして助手の方は、説明の際に受けた患者さんからの質問は、必ずドクターに伝えておきましょう。ドクターはそれを受け、「〜についてご心配のようでしたが、〜は…」というように説明をしたほうが、情報共有、連携がしっかりとなされており“自分に合わせた説明、カウンセリングをしてくれている”と思え、より信頼感がわくはずです。
さらに、受付の方は記入された問診票にきちんと目を通し、空欄であったり、曖昧である項目はもう一度確認し、内容を確実にすることも必要です。既往病があり現在飲んでいる薬剤名が空欄になっていたとしたら、「薬の名前はお分かりではありませんか?」と、再度確認しておくことも受付の仕事です。
このように、カウンセリングは問診票から始まっていると言えます。患者さんから発信された言葉や内容は、受付、助手、ドクターへとしっかりと引き継がれることはもちろん必要ですが、せっかく引き継いだ、目を通したというのであれば、そのことが、患者さんに伝わる話し方を心がけることが大切です。
皆さんのクリニックでは、受付、助手、歯科衛生士、ドクター間での情報共有がしっかりとなされていますか?
今一度、確認し、患者さんにより安心感、信頼感を与えるコミュニケーションを目指しましょう。

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