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第58回(165号)

リコール率を上げるための働きかけ

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子

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リコール率を上げるための働きかけ

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

昨年まで1年間通った歯の治療を終え、その後はメインテナンスのために定期的に歯科医院に通っています。この歯科医院では治療最後の会計で「次は歯周病の検査と歯石をとって歯のお掃除をします」と、次回の予約を取る流れになっているようです。私としては長い間かかった治療がようやく終わったのに、まだ続くのか、という気持ちが少しありましたが、再度悪くならないようメインテナンスを受けることにしました。実際クリーニングしてもらうと、自分でいくら意識して磨いていても歯石はたまっていますし、磨いてもらった後はとても気持ちが良く、すっきりとしました。
3回目の予約を取った後、しばらくたって歯科医院から電話をいただきました。「次回のメインテナンスですが、担当の歯科衛生士の都合が悪くなったため、別の日の予約を取り直していただくか、同じ日であれば、別の者が担当させていただきます。如何でしょうか」という連絡でした。しかし、歯科衛生士の方はずっとマスクをされていましたし、名前も聞いていなかったので、担当と言われてもピンとこなかったのが正直なところです。結局、どの歯科衛生士の方でもよいかなと思い、元々取っていた予約日のままにしました。その時に初めて知ったのですが、メインテナンスは担当制になっているとのことでした。そうであれば、お世話になる歯科衛生士の方のお顔とお名前は事前に把握しておきたかったなと思いました。
メインテナンスつまりリコールは患者さんにとっても歯科医院にとってもとても重要です。歯科にとってのリコールの目的は口腔内の衛生状態などをチェックし、歯石の除去、虫歯や歯周病などが進行していないかなどを確認することです。さらに定期的にブラッシングの指導を行うことで患者さんの歯に対する健康意識を高めるとともに、異常個所を早期に発見することが目的でしょう。そして異常個所が見つかった際には、ドクターにつなぐことも大切な役割です。
患者さんにとっては、定期的にチェックを受け、クリーニングしてもらうことで、自身の歯を常に健康に保てる、たとえ改善が必要な個所が出てきたとしてもひどくなる前に知ることができ、結果的には時間も費用も抑えることができるというメリットがあります。しかし、それをしっかりと認識してメインテナンスのために来院する患者さんはどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。
多くの医院でよく耳にすることですが、治療終了後、2、3回来院した後、来なくなってしまう患者さんも少なくないとのことです。確かに治療が終わった直後に、「治療後のチェックをし、歯石を取ってクリーニングをします」と言われれば、1、2回は来院する率は高いと思います。ただ、忙しくて予定が入ってしまったりすると、「今回は忙しいからやめておこう」などと考えてだんだん足が遠のいていくのではないでしょうか。

患者さんはせっかく時間とお金を払ってきているのですから、「やはりプロに磨いてもらうと気持ちいいな」と感じてもらうことはもちろんのこと、口腔ケアに関する具体的で適切なアドバイスをすることで満足感を与えることができ、次回の来院につながるのだと思うのです。
それらを聞き出すためにはコミュニケーションが必要です。会話を通して信頼が築ければ、患者さんは相談や質問もしやすくなるはずです。
また、完治後自動的にメインテナンスの予約を取る流れにするだけでは不十分です。完治の1回前ぐらいの治療の際にメインテナンスの必要性と内容、メリットについて説明し、理解していただきましょう。そして、完治した後にも「長い間お疲れ様でした。きれいに治ってよかったですね。この状態を保てるように前回お話ししましたが、定期的にチェックとクリーニングをしますので、受付でメインテナンスの予約を取ってお帰りください」と誘導することで、よりスムーズにリコールにつなぐことができます。
そして初回のメインテナンスに来てくれた際に、担当する歯科衛生士が改めて自己紹介をすることが重要です。「△△と申します。これから〇〇さんの担当をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします」と(できれば)名刺を渡して担当としての挨拶をします。
ここでの挨拶の際には、マスクをとり、患者さんの目を見て笑顔で挨拶をし、“私があなたの担当です”という責任感を伝えていくことが大切です。もちろん毎回のメインテナンスの際にも、淡々とチェックやクリーニングをするだけではなく、しっかりと声掛けをしてコミュニケーションをはかることが重要です。
会話を通して良い関係が築ければ、改善点が見つかった際の治療の提案もスムーズに聞き入れてもらうことができ、自費治療の提案もしやすくなるでしょう。
新規の患者さんを増やすことも大切ですが、まずは既存の患者さんを大切にし、継続して皆さんの歯科医院を利用していただけるような働きかけ、対応を工夫してみてはいかがでしょうか。

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