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アシスタントのためのイメージアップ講座

第60回(167号)
激戦区での開業
株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子
ASSISTANT ASSISTANT

激戦区での開業

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

最近、私の自宅から徒歩10分の範囲内に歯科医院が3軒開院しました。すでに15分圏内には25軒ほどあります。こんな激戦区での新規の開院はさぞかし大変だろうと思います。
開院した歯科医院のドクターはどんな方なのだろう、スタッフはどんな対応をするのだろうと興味があり、自宅から徒歩2分の所に開院した医院の内覧会をのぞいてみることにしました。この医院の方針は、カウンセリングを重視し、特に歯周病治療に力を入れているとのことでした。ちょうどメインテナンスの時期が近いこともあり、チェックとホワイトニングを受けてみることにしました。
予約当日、まず問診票の記入に基づいての簡単なカウンセリングから入り、X線撮影をしました。チェアでは正面に配置された画面で撮影された画像を基にドクターが現状を説明してくれました。さらに過去の治療歴、どのような治療がなされているか、どんな材料を使っているかなども詳しく説明してくれました。昔に治療した箇所は当の本人もすっかり忘れていることもあり、ドクターの説明で自身の現状がよくわかりました。
歯周病のチェックも、「何番何ミリOK、何番何ミリOK」というように読み上げていき、「今のところ、歯周ポケットの深さは2ミリから3ミリなので、歯周病にはなっていません。ただ、この部分が歯肉炎を起こしかけていますので治療しましょう」との説明後、その治療をしました。そして「歯磨きの際、このような歯ブラシでこの部分をこのように磨いてください」と具体的な磨き方も教えてくれました。
今まで、他の医院で歯周病のチェックは受けたことはありましたが、このように説明されたことはなく、初めて理解したことが多くありました。そして、今大丈夫でも3ヵ月で進行することもあるので、定期的なチェックが必要であることも改めて納得しました。また過去の治療歴についての質問をしました。「保険治療で使う材料と自費治療で使う材料とでは、寿命が違うと聞いたのですが、ずいぶん昔に治療した歯のかぶせものは、変えたほうが良いということですか?」と聞くと、保険治療と自費治療の違いを分かりやすく説明して下さり、自費治療の費用についても説明がありました。
「ただ今は特に問題は出ていないので、変えたいというご希望があれば、徐々に変えていけばいいですよ、それより先に歯肉炎を治療しましょう」と優先順位を付けた提案をしてくれました。
カウンセリングと治療で1時間。説明とその他質問対応をしてくれたことで、今までわからなかったことがクリアになり、気になっていた歯の治療をしたいというモチベーションがわいてきました。開院前に伺った“カウンセリングを重視する”というドクターの方針はしっかりと実践されていると実感しました。と同時に、なぜ私は今まで通った歯科医院での説明で理解できていなかったのだろうかと疑問もわいてきました。
「歯周病にはなっていません。大丈夫ですよ」と伝えても、歯周病が及ぼす影響やどのようにケアすればよいか、どれぐらいの期間でチェックをすればよいのかをその患者さんがしっかりと理解していなければ、「以前に大丈夫と言われたから、歯科には行かなくてよい」と自分の都合の良いように考えて来院しなくなる患者さんもいるかもしれません。

日頃当たり前に使っている言葉は理解されているかどうか、改めて、その患者さんの知識や理解を確認してみることは大切なのではないでしょうか。
今回改めて感じたことは、治療前に今治療したいと感じている箇所の説明だけではなく、現状をしっかりと理解してもらうこと、そしてそれらについての質問に分かりやすく答えていくこと、その際には、歯科の専門家と素人の知識や考え方にはギャップがあるので、その患者さんの知識、理解度に合わせて言葉を選び、説明していくことが重要であると実感しました。治療前の状態をしっかりと理解していただくことは、完治した際の変化、成果の満足度につながります。
最初は時間がかかりますが、患者さんに治療に対する意欲と安心感を持ってもらうことができれば、主訴の治療だけで終わることなく、信頼感が生まれ、定期的なメインテナンスにもつながるはずです。これだけ丁寧にわかりやすく説明していただけると、きっと小さな子供の保護者は安心して通わせることができるだろうと思いましたし、知り合いがいれば、紹介したいとも感じた医院です。
もちろん、これらの説明をドクターがすべて行うと、一人ひとりに時間がかかり、一日に診ることができる患者数も限られてきます。今後はこのカウンセリングや説明を歯科衛生士と手分けしていかれると思いますが、医院の方針はしっかりと患者さんに伝わっているはずです。開院してから2ヵ月がたとうとしていますが、予約は順調に埋まってきているようです。とはいえ、近隣の歯科医院の数は、コンビニエンスストアの数より上回っている激戦区です。今後安定経営していくためにも一人ひとりの患者さんを大切にして固定顧客を増やすと同時に“地域の患者さんに選ばれる歯科医院”となっていただきたいなと応援したくなりました。

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