DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

アシスタントのためのイメージアップ講座

第61回(168号)
“患者教育” 定期健診の定着に向けて
株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子
ASSISTANT ASSISTANT

“患者教育”
定期健診の定着に向けて

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

“患者教育”という言葉があります。少し上から目線で、あまり好きな言葉ではないのですが、予防歯科を習慣づけていただくためには、必要なことです。
最近、人生100年時代、健康寿命という言葉をよく耳にします。皆さんの歯科医院でも、高齢者の患者さんは増えてきているのではないでしょうか。健康寿命を延ばすために運動する、食生活に気を付けるなどを心がけている方も多いと思います。しかし、運動をするには食べることが必要です。食べなければ力も湧かないでしょうし、身体を動かさなければ食欲もでないでしょう。そこで改めて思うことが、「歯の大切さ」です。
健康な歯を脅かす病として歯周病がありますが、歯周病は生活習慣病の一つであり、その他の生活習慣病にも大きくかかわっていると言われています。高齢者の方でこれらの知識をしっかりと理解している方がどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。もちろん高齢の方も「痛みがある、歯の具合が悪い」という自覚症状があれば、歯科に行くとは思いますが、治療が完了すれば、そのあとメインテナンスに通うという概念、習慣がない方も多いかと思われます。このような患者さんにこそ、治療が終わるまでの間に定期健診(メインテナンス)や予防歯科の重要性をしっかりと理解していただくことが必要なのです。
なぜメインテナンスが必要なのか、期間はどれぐらいで行うとよいのか、どのようなケアをすればよいのか、などをわかりやすく説明することが大切です。一人ひとり生活スタイルや習慣、使っているケア用品が違うのですから、その方にあった磨くタイミングやケア用品を選択し、お勧めしてあげることが必要でしょう。また、その方の持病や生活習慣病もしっかりと聞き出し、それらとの因果関係をわかりやすく説明することも必要でしょう。その方の抱えている問題に合わせた説明をすることで、納得度が高まり、定期健診に通おうというモチベーションにつながります。
さらにモチベーションを上げるためには、毎回のクリーニングで「気持ちよくなった」「磨き方をほめてもらえた」「前よりも状態が良くなってきた」などを実感していただき、健康状態も聞き取りながら、「持病も改善されるとよいですね。さらに良い状態にしていきましょう」と勇気づけ、期間を開けず、メインテナンスに通うことを習慣として持っていただくようにするのです。
さらにメインテナンスのタイミングも重要だと思います。私が通っている歯科医院では、主訴が完治した後、1週間後にメインテナンスを行い、さらに2週間後に指導したことが実践されているかどうかのチェックもします。
その後は患者さんの口の中の状態、ケアの様子によって違いますが、2〜4ヵ月ごとの健診をします。2週間後のチェックでは、「細かいところまで、磨けていますね。歯周ポケットの深さも改善されていますし、(以前の画像と現在の画像、数値を示しながら)前回、歯間ブラシを入れると出血していたところも今は全然血が出ませんよ。このまましっかりとご自身でケアしてくださいね」とほめられてうれしかったです。
「次回もほめてもらえるよう、がんばって磨こう。そして次回のメインテナンスも絶対に行こう」というモチベーションにつながりました。

メインテナンスは患者教育の場だと思います。指導という観点で考えてみましょう。指導方法として有名な言葉があります。「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という山本五十六という方の言葉です。昔の言葉ですが、指導の方法としては今でも応用できると思います。
患者さんにとって歯のケアは仕事ではありませんが、習慣として身に付けることを教えると考えれば、この指導方法が当てはまるのではないでしょうか(①と②は前後してもよいでしょう)。
①やってみせ…正しい磨き方の見本を示す。※鏡で確認してもらう。
②言ってみせ…患者さんの歯の形状や状態に合わせて、特に意識して磨くところを説明し、磨く頻度やタイミング、なぜそうしたほうが良いのか、効果をわかりやすく説明する。※歯科衛生士が進めたケア用品はすぐに受付に伝え、受付ですぐに案内できるようにしておくとよい。③させてみて…患者さんにも実際にやってもらう。※その場でやってみてもらうのと同時に、その後、自宅でも行ってもらう。
④ほめてやる(あとを見る)…期間をおいて、患者さん自身で行った状態をチェックし、ケアの成果(具体的に褒める)や改善点を伝え、今後の継続を促す(言葉で説明するだけでなく、画像や分かりやすい図や数字で伝えると効果的)。※受付や助手の方も「きれいになってよかったですね。次回もお待ちしています」など、連携するとよい。
今まで習慣としていなかったことや意識を変えて習慣としていくことは、簡単ではありませんが、根気強く、丁寧にお伝えしていくことが大切です。来院時でのやり取り、コミュニケーションを通じて信頼関係を築くと同時に患者さんの歯の健康に対する意識を高めることは歯科スタッフの大切な役割です。

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