DENTAL MAGAZINE デンタルマガジン

アシスタントのためのイメージアップ講座

第64回(171号)
スタッフは患者さんのサポーターです!
株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター 伊藤 純子
ASSISTANT ASSISTANT

スタッフは患者さんの
サポーターです!

株式会社ロングアイランド 接遇マナーインストラクター伊藤 純子

先日、歯科関係の方からこんな話を聞きました。歯科矯正を始めた患者さんが治療半ばにして、いつの間にか来なくなってしまうことがあるというのです。多くは引っ越しや職場を変わったという理由、それ以外では、止めてまた他の医院に行き、また次…というように医院を渡り歩いて10年近く矯正をしている患者さんもいるそうです。
どの歯科医院でも最初のカウンセリングでは診断結果をもとにしっかりと説明し、納得していただいたうえで、矯正治療をスタートさせていると思います。にもかかわらず、治療を途中であきらめてしまう理由を知りたくて、最近矯正を終えたという知り合いに話を聞いてみました。
彼女は現在24歳で、矯正を始めたのは中学の終わり頃だそうですが、高校に入ったころにやめてしまったらしいのです。しかし20歳になって、やはり歯並びをきれいにしたいという思いから、別の医院に頑張って通い約4年かかって最近ようやく終わったそうです。その間、「今日、矯正に行ってワイヤーを絞めたので痛いんです」と辛そうに話していたことを思い出します。
彼女が完治まで通い続けられた理由として話したことは、
・自分に目的意識があったこと…最初は就職活動に向けて歯並びをきれいにしたいと思ったこと、さらにリテーナーの装着以降はめげそうになったが、その頃は結婚を目前にしていたので、写真にきれいな歯並びの姿で写りたいという目標ができたこと
・毎月医院に行ったときには痛い思いをしたが、スタッフや先生が優しくて明るかったこと
・置いてある雑誌が毎月新しくなっていて飽きないこと、サロン的な雰囲気があったこと
・用事を優先したり、予約日を忘れてしまった時にスタッフの方が連絡をくれたこと
などが、何とか完治するまで通い続けられた要因だと話してくれました。
しかし、こうも話しました。「でも高校の頃の怖いドクターは嫌でした。途中で、さぼってしまっていた時に怒られたので、行かなくなりました。その後再び通い出した別の医院のドクターは話し方が優しくて、今の状況の説明や、間をあけてしまうとせっかく頑張って治療していることが戻ってしまうことなどを丁寧に説明し、励ましてくれたので、頑張れたと思います」と話してくれました。
もちろん、いろいろな患者さんがいらっしゃるとは思いますが、彼女の話からヒントを得たように思います。
まず開始時に説明をしっかりと行うことは当然ですが、その際、説明だけをしていませんか?カウンセリングでは治療方法の具体的説明、費用、期間を説明すると思うのですが、患者さんの思いや気持ちにしっかりと耳を傾けていますか?

・なぜ矯正をしようと思ったのか
・どんな時に口元を気にするのか
・そのことによる弊害があったのか(例えば、人前で口をあけて笑えない、手でいつも隠してしまう、はきはきと話せず、口ごもってしまう、など)
・いつまでにきれいにしたいなど目標や期限があるか
・きれいになったらどうしたいか
など、過去の思いや将来のことをしっかりと聞いてあげてください。もちろん不安や疑問にもしっかりと答えることが大切です。そのうえで「これから一緒に頑張っていきましょう」と励ましてほしいのです。
そして治療がスタートします。しかしこれで安心してはいけないのです。たとえカウンセリングによって患者さんのモチベーションが高まったとしても、それから毎月患者さんは治療で痛い思いをするでしょうし、毎月時間を割かなくてはなりません。食事をする際にも毎回、不便を感じるはずです。
半年、1年、と経つうちに、慣れる反面、さぼりたいな、装置を外してしまいたいなと思う瞬間も出てくるはずです。何より矯正は「あと○ヵ月で終了します」と断言できないと聞いています。しかも装置が外れた後もさらにリテーナーをつけなければならないとなると、「いったいいつ終わるのだろう」という不安やストレスが出てきても当然です。
このような気持ちになるのはどの患者さんでも多かれ少なかれあるかと思います。だからこそ、長い治療期間に、何回かに一度でも進捗状況の説明はもちろんのこと、患者さんの気持ちや不安、時には愚痴も聞いてあげてほしいのです。これらを受け止め、完治した時のイメージを話題に織り交ぜ、それに向けてあともう一歩頑張っていこうというモチベーションを取り戻してあげるコミュニケーションが大切なのです。
スタッフの皆さんはドクターのサポートだけではなく患者さんの強力なサポーターだと思います。初回のカウンセリングだけでなく、治療期間を通じてのコミュニケーションの取り方が鍵となるのではないでしょうか。

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