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第67回(174号)

ホスピタリティという言葉に疲れていませんか?

株式会社ロングアイランド 接遇講師 稲葉 享子

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ホスピタリティという言葉に 疲れていませんか?

株式会社ロングアイランド 接遇講師稲葉 享子

数年前「おもてなし」という言葉が話題になりました。「おもてなし」を英訳すると「ホスピタリティ」が一番近いと思います。私たちは日常生活の中で色々なホスピタリティにごく自然に接していると思います。ただ、ホスピタリティを提供する立場になると、何をどうすればよいのかわからなくなってしまったりしていませんか?
「私が提供できるホスピタリティとはどういうことなのか?」「そもそもホスピタリティって一体なんなのか?」など、ホスピタリティという言葉に疲れてはいませんか?
現在一つの町に驚くほどたくさんの歯科医院があります。その中から選ばれる医院になるためには技術面はもちろんのこと、患者さんの精神的な部分に満足感を与えられるようにならなければなりません。痛みをこらえて来院される方、治療費や治療にかかる日数など、患者さんが抱く不安はたくさんあり、そういった不安を抱えて来院される患者さんにまずしなければならないことが「笑顔でのご挨拶」です。
これはホスピタリティの第一歩です。皆さん、心からの笑顔で患者さんをお迎えできていますでしょうか?心からの笑顔は単に顔が笑っている、ということではありません。ご自身の気力、体力共に充実していないと心からの笑顔は出せないのです。仕事やプライベートにおいて悩みごとがなく、明るく前向きな気持ちをキープできていますか?風邪気味、腰痛・頭痛等、健康面に問題はありませんか?こういう自分自身の気力、体力の充実が「笑顔」という表情にダイレクトに出るのです。
心身ともに充実している方でも笑顔が苦手という方ももちろんいらっしゃいますよね。今はスマートフォンで簡単に自撮り写真が撮れる時代ですので、一度自分の顔を撮ってみてください。案外笑えていないものです。笑顔が不自然と言われる方のほとんどが口元は笑っているのですが、それより上の表情が乏しいのです。口元は「イ」の発音で口角を上げてちょっと力を入れて試してみてください。目元は力を入れて思い切り開いてしまうと目力が強すぎて逆効果です。目が怖い、笑っていない、と言われる方は要注意です。目はぼんやり見るようにして、ほお骨の部分を上に上げて目尻に少し力を入れてみてください。こうすると目元と口元のバランスが良くなり、より自然な笑顔に近づけます。笑顔が苦手な方は、自分の顔の表情の動きやすいところと動きにくいところを把握して、朝、鏡の前で練習してみてはいかがでしょうか?

「笑顔でのご挨拶」の次に大切なのは「声」です。普段何も意識しないで発していると思いますが、声には声の出し方、大きさ、高低、テンポ、口の開け方、と様々な要素があります。
以前私が体験したことですが、年配の方とお話する時に「え?」と聞き返されることがありますよね。そのとき大きな声で繰り返し話しても聞き取ってもらえませんでした。実はゆっくり、口をはっきり開けて一つひとつ区切りながら話したほうが聞き取っていただけるのです。相手の方が補聴器をつけている場合はなおさらです。補聴器をつけている方に大きな声で話してしまうと耳の中でハウリングを起こしてしまいかえって聞こえないのだそうです。
声というものは不思議なもので人間の感情がダイレクトに出てしまいます。マナー研修では「笑声」という言葉をよく使います。笑っているような声は笑顔から生まれるのです。怒っている時は怒った声に、困った時は困っている声になりなす。忙しくバタバタしている時に患者さんが来院されたら、その時のご挨拶は心のこもらない投げやりな挨拶になってしまいます。普段から一つひとつの言葉にも注意を向けて表情を意識してご挨拶してみてください。とびきりの笑顔で発すると、素敵なご挨拶になると思います。
また患者さんが不安に思っている治療プランや治療費等の説明をする際には、相手の表情に常に注目しておかなければなりません。その上で声の出し方、トーンに気を配る必要があります。一般的に高い声は子供を連想し、かわいらしい、楽しいというイメージを。低い声は大人を連想し安定、安心、余裕というイメージを持ちます。しかし、高すぎる声は説得力に欠けることもありますし、低すぎる声は恐怖や緊張感を与えてしまうかもしれません。基本的な考え方としてはご挨拶や電話応対はワントーン高く、治療について等の説明はワントーン低くしておけば、患者さんに安心や好感を持っていただけるのではないでしょうか。
「ホスピタリティ」は決して難しいことではありません。相手のことを考えて心のこもったおもてなしをすること。その第一歩が「笑顔でのご挨拶」です。「ご来院ありがとうございます」という心を込めたご挨拶、笑顔での応対、患者さんの気持ちに寄り添った声のトーンでの会話。このような基本的なことに一ヵ月に一度はスタッフの皆さんで立ち返る一日を作ってみてもよいのではないでしょうか?

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