皆さんの歯科医院では人材の採用はどのようにしていますか？
求人広告や歯科スタッフ採用専用サイトに出す、自院のホームページに求人のお知らせを出す、など様々な方法をとっているかと思います。にもかかわらずなかなか応募がない、やっと採用しても職場に馴染めずすぐ辞めてしまうなど、スタッフの採用に苦労している医院が多いようです。
歯科医院に就職したいと考えている方はまず求人広告や採用専門サイトを見るでしょう。給与条件、教育体制、福利厚生、通勤時間などを見て希望に沿う医院を絞り込んでいくでしょう。次の行動としてはそれぞれの歯科医院のホームページを見てさらにその歯科医院を知ろうとするでしょう。
皆さんは自分が勤める歯科医院のホームページを見たことがあるでしょうか？　多くの歯科医院のホームページを拝見すると、最初にその医院の理念や治療に対する考え方、方針などが書かれています。またドクターの経歴や専門分野、治療実績が書かれていて患者さんはそこに目が行くことが多いと思います。
ではこれから歯科医院に就職したいと考えている方はどのように見ているでしょうか？
以前、歯科スタッフ向けの研修で受講者の方に「なぜ今の歯科医院を選んだのですか？」と聴いたことがあります。“家から近くて給料や勤務時間など条件が良かった”“面接の際、院長やスタッフが優しそうだった”“自身が以前治療に通っていた歯科医院で、院長やスタッフと面識があった”“ホームページにスタッフのブログ欄があり、勉強会やイベント、取り組んでいることなどを見て、楽しそうだと思った”などの意見が出ました。

スタッフがこれから勤める職場を選ぶときに重視するポイントはお給料や勤務地、勤務時間、仕事内容などの条件面でしょう。次に気になる点は、院長の人柄、職場環境、自身が成長できる職場かどうか、ということではないでしょうか。もしその医院を知っている人がいれば聴くことができるでしょう。でも全く知らない場合は、ホームページを見る、採用サイトを見る、見学に行くなど、その医院を知ろうとするでしょう。
ホームページは患者さんにとってわかりやすいことは最も重要ですが、実はスタッフの採用にとっても重要な役割を果たすものなのです。ホームページの一般的な内容に加えて、ドクターの治療に対する思い、医院内、受付の雰囲気、スタッフが働いている様子、さらにスタッフのブログ欄があるとより職場のイメージがわきやすいのではないでしょうか。
ある医院のホームページには院長のブログ欄があり、日常感じたことや出来事などが書かれていて定期的に更新されていました。ある時には患者さんから受けた質問に対して丁寧に答えているなど文面から院長の仕事に対する姿勢やお人柄がうかがえました。
別の医院のホームページにはスタッフのブログ欄があり、受付、歯科衛生士、歯科助手の方が交代で月に3回ぐらいのペースで更新されています。ブログですから女性ならではの言葉で書かれていて親近感がわきます。勉強会を受けてきたこと、例えば歯周病について、舌磨きの仕方、エアフローの効果など、普段細かく患者さんにお伝えできていないことを自分たちの言葉でわかりやすく書いています。またある時は受付に飾られている花についての思いや医院全員で行ったバーベキューパーティーやサッカー観戦の様子なども載せられていました。
これらを読んだだけでもスタッフが治療や勉強会に前向きに取り組んでいる様子や人柄、活気ある職場が想像できますね。就職活動している方にはとても知りたい情報でしょう。もちろん患者さんが読んでも参考になる知識や情報が盛り込まれていますので、どちらにとっても魅力的な医院だと感じるのではないでしょうか。
採用やホームページについては院長や採用担当者が行っているとは思いますが、皆さんと一緒に働くスタッフとしてどんな方が入ってくるのかということは皆さんにとっても重要なことですね。自分たちが直接採用に関われなくとも、職場の雰囲気や皆さんの仕事に対する姿勢を“自分たちの言葉で発信できる場を設けてはどうか”ということを院長や採用担当者に提案することはできます。もちろんホームページにブログ欄を設けることは費用が掛かります。また毎回ブログを更新するのは大変！と思うかもしれませんが、より自分たちの職場を理解、共感してもらうことは必要です。さらに自分たちが勉強してきたことを人に伝えるためには復習が必要ですので、自分たちの知識の整理、定着にも効果があります。一石二鳥です！
「採用は私たちの関わることじゃない」と傍観するのではなく、自分たちのできることを考え、提案してみてはいかがでしょうか。もちろんそのためには実際に魅力的な職場環境であるかどうかを見直してみることも大切ですね。