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第71回(178号)

受付の役割を重視していますか?

株式会社ロングアイランド 接遇講師 伊藤 純子

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ASSISTANT ASSISTANT

医院の収益アップのためにできること〜スタッフ全員が医院の顔〜

株式会社ロングアイランド 接遇研修講師伊藤 純子

先日治療のために歯科医院に行った時のことです。入り口を入るとカランカランとドアの空いた音がします(受付から入り口は見えないところにあるので、このような合図で来院を知らせているのでしょう)。
受付に行くと初めて出会ったスタッフが満面の笑顔と声で迎えてくれました。新人のようで会計時のやり取りでもクレジットカードの手順など、他のスタッフに聞きながらではありましたが、目をしっかりと合わせて笑顔で対応してくれました。とにかく笑顔と挨拶がとっても感じ良かったので、なんだかうれしくなって帰りました。
次の日、仮の詰め物が取れたためその医院に電話を掛けました。「昨日治療を受けた伊藤純子です」というと「アッ、こんにちは!伊藤さんですね」と明らかに私の顔と一致しているという親しみの感じられる声でした。前日に初めて会ったばかりのスタッフなのに、覚えてくれているんだと思うとさらにうれしくなりました。
そして、医院に行くと、受付には前回とは違うスタッフがカルテらしき書類を見ながら考え事をしているようで、顔をあげてくれませんでした。
以前のスタッフなら顔を合わせて「こんにちは」と挨拶があり、「すみません、先に手の消毒とお熱を測らせてください」という流れでしたが、今回のスタッフは目の前に行って診察券を置いても一向に顔を上げてくれませんでした。そのスタッフがあまりにも集中して考え込んでいたようなので、声を掛けづらくなり、腰かけて気づいてくれるのを待っていました。するとそのスタッフはこちらに目も向けず、中に引っ込んでいきました。しばらく待っていると奥からまた別のスタッフが出てきて、「伊藤さん、どうぞお入りください。こちらへどうぞ!」と案内してくれました。案内されたということは私が来院したことを中で連絡してくれていたということです。
でも私は手の消毒はしましたが、検温を受けていないのです。前回のスタッフとあまりにも対応が違うのでがっかりしました。気に入っていっている歯科医院でしたからなおさらです。まして感染予防対策がおろそかだという不安も湧きました。

以前、この医院は受付の方がいつもカウンターにいました。最近は忙しいせいか、歯科助手の方が受付とチェアを行ったり来たり忙しくしています。歯科衛生士の方も受付で書類をチェックするために行き来しています。誰もいないこともあります。
私が2回目に受付で出会ったのはおそらく歯科衛生士の方だったのかもしれません。でも受付周りにそのスタッフしかいなければ、受付の方だと思いますよね。歯科衛生士であれ、歯科助手であれ、誰もいない受付に患者さんが来院すれば応対すべきでしょう。「私は今別の仕事をしているから」と思っていても、患者さんには関係のないことです。何よりも重要なことは仕事の優先順位です。事務作業をしている最中に患者さんが来院したら優先すべきは患者さんです。そして同時に電話がかかってきたら、電話が優先です。もちろん目の前の患者さんに一言断ってから電話に出ます。3回以上お待たせしないよう意識してほかのスタッフが変わって対応する意識も必要です。
昔と違い、多くの企業は受付デスクを置いているところは少なくなりました。その代わり、内線電話が置いてあり、直接訪問先の部署や担当者につながり、対応してくれるようになっているところが多くなりました。きちんとした企業では内線の取り方、取り次ぎ方、来訪者の対応を誰が出ても“会社の顔”として対応できるようしっかりと教育されており、丁寧な対応をしてくれます。
ある歯科の口コミで、「院長は優しくて感じが良いけど、受付のスタッフがすごく感じが悪いのでもう行きたくない」と書かれていました。院長がどんなに患者さんと信頼関係を築こうとしたとしても、それ以外のスタッフのうち一人でもその意識を持てないでいることで患者さんを失っていることもあるのです。
患者さんが増え、忙しくなることは喜ぶべきことです。しかし同時に手薄になってくることも出てきているかもしれません。入り口に人の出入りを知らせるベルを付けるというのも一つの工夫だと思いますが、その合図を受けてどうすべきか、どう対応すべきなのかを全スタッフが認識していなければ意味がありません。
受付が不在になることがないような役割分担とスタッフ全員が受付の応対マナーを身に付けておくことも必要です。歯科の受付に求められる役割はとても重要です。予約をとる時の対応は声の第一印象であり、受付の対応は対面での第一印象、会計を終えて帰る時の印象はラストの印象となり、患者さんの来院意欲を左右するといっても過言ではありません。気持ちの良い応対で受付をし、安心感を与え、歯科助手、ドクター、歯科衛生士と連携し、医院全員で信頼関係を築いていくのです。
患者さんが増え、スタッフが増えてきたころ、今一度、医院の患者さんに対する姿勢をスタッフ全員で共通認識できているかをチェックする時期ではないでしょうか。

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